【星羅】
取材:武市尚子
耳元に感じる温かなウタゴエ
歌い始めたきっかけは何だったのですか?
小学生の頃に地域の合唱団に入っていて、そこで配られる楽譜に振ってあったアルファベットに興味が沸き、中学1年の頃に、それがギターコードと知って、コードブックを買って来て、家にあった家族のお下がりのギターを弾き始めたんです。その頃、友達はJ-POPを聴いていたけど、私はまったくそういう音楽に興味がなく、ただただ歌うことが好きで、合唱団で歌っていたんです。でも、16歳の頃、初めて自分で歌詞と曲を書いたのをきっかけに、多くの人に自分の歌を聴いてほしいと思うようになって、オーディションにデモテープを送ったんです。そこから、今回のメジャーデビューにつながっていったんです。
なるほど。デビュー曲の「数字と恋」は、心がほっこりするような温かさを持った1曲ですね。
はい。まさに、“心がほっこりする曲”を作りたかったんです!この曲は去年の6月くらいに大枠を作り始めて、秋くらいにちゃんと形にするために向き合った曲だったんです。最初から、“恋が始まるドキドキ感”をテーマに曲を作りたいなって思っていて、そこからイメージを広げていきました。思っていたよりも、ポップな仕上がりになったなと思ってます。
ポップだけど、ファニーなギター音と、ちょっと気だるさを含んだ空気感がロックだったりしますね。
ギターの音にはすごくこだわりました。インディーズ時代はアコギ1本で届けられる曲というものにすごくこだわりを持っていたんですけど、今回のシングル曲から、いろんな音色を加えたバンドサウンドで表現してみたんです。3曲目に入っている『なっちゃん』のCMソングでもあるエレファントカシマシさんのカバー曲「はじまりは今」は、まさに私の原点に近い弾き語りスタイルで収録されています。ライヴでは今のところ全てアコースティックで届けているので、また音源とは違った響き方になっていると思いますね。より言葉を近くで感じてもらえたり、じっくりと受け取ってもらえるんじゃないかなと。
確かに。今回の表題曲「数字と恋」は、タイトルも歌詞もすごく印象的でしたよ。
はい。歌詞は、“数字で愛は量れない”っていうフレーズから広げていったもので、数えられるモノと数えることができないモノという、対比するふたつを並べて書いてみたんです。
でも、その対比具合が、恋のワクワクを上手く表現してますね。何を数えてるのか分らないけど、数えたりしません? 恋って。電話かかってきた回数とか、デートの回数とか。
そうなんです! 対比するものなのに、なんかちょっとつながってる、みたいな。そんな感じが出せたら良いなって思ったんです。
カップリングの「わたしが君に出来ること」は、すごく感情が前に出た曲ですよね。
この曲は、自分がこの曲を作った時に感じた気持ちをそのまんま曲と歌詞にしたものなんです。すごく大切な人と別れる最後、自分は何ができるだろう?っていう想いを、そのまま歌詞にしてみました。歌詞というより、感情そのままという感じですね。
離れているけど、傍に居てくれる優しさを感じる歌詞だし、耳元で歌ってくれている温度を感じさせてくれる歌声でした。
あ、それ、すごくうれしいです。聴いてくれる人が、安心してくれるような歌を歌っていきたいっていうのが一番の目標だったりするんです。このシングルを聴いてくれた人が、温かい気持ちになって、笑顔になってくれたらうれしいなと思います。
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