取材:石田博嗣

楽しい雰囲気が常にあった

a flood of circleのサウンドはブルースや70年代のロックが下地にあるのですが、最初からそういうものをやろうと?

結果、そうなってしまったという感じです。最初はギターの岡庭(匡志)とふたりで遊びでやってたんですけど、彼が持っているものがブルース寄りだったというか…ミスチルも知らずに、エリック・クラプトンとかレッド・ツェッペリンばかり聴いている男だったんですよ(笑)。だから、最初は単純に“楽しいな”ってことでギターのセッションをしていただけなんで、今気付くとブルースロックが基になってるんだなって。

そこに他のメンバーが入ったりして、バンドとしても変わっていったという感じですか?

そうですね。でも、最初のミニアルバムを出した後のツアーが、一番の変化のきっかけになってますね。CDを出したということで、“人に届ける”という意識が芽生えたツアーだったんで、そこが意識の転換期でした。

そして、今回のアルバムでメジャーデビューとなるわけですが、初めてのフルアルバムということで意識したことは?

将来振り返った時に、越えられないでっかい壁みたいなものになってればいいなって感じでしたけど、特にコンセプトとかはなかったですね。今までの3年間の集大成になってればいいかなとは思ってましたけど。

インディーズ作品の音源や代表曲が入ってますしね。

はい。あと、22年と半年の人生をまとめたものでもありますね。遊びの延長だったり、自然発生の曲が多いので、バンドを始めてからの3年間だけじゃなく、今までやってきたことの全てが詰まっているのかなって思うので。

ロックナンバーだけじゃなくて、ポップな曲も入っているのは、それぞれが聴いてきたものが出ているんでしょうね。

それはあると思います。逆に“ブルース”っていうキーワードは途中から意識し始めたんですよ。やっぱり、そこは自分たちが身にまとってきたものなので。だから、『-session-』や『ブラックバード』みたいなブルースロックっぽいものはアルバムとしての芯を通すために入れました。

また、アレンジ等では、遊び心も忘れてないですね。例えば、「Buffalo Dance」のアワワ~という雄叫びとか(笑)。

今回のアルバムは特にそうかもしれないですね。岡庭と最初にセッションを始めた時みたいに、“楽しもう”っていう気持ちが4人にあったし、周りのスタッフにもあったんで、それが曲に反映されていると思います。だから、アワワ~もちょっと前だったらダメってなってたかもしれないけど、今回はアリでしたね。それだけバンドも成長したというか。アワワ~がダメだった時の空気というのは、変に真面目だった。ライヴとかでも“お客さんを楽しませないといけない”って思ってたし。でも、人がどうこうよりも、まず自分が楽しいかどうかだろうって思うようになったんで、そういうものも許せるようになりましたね。

では、本作でデビューして、メジャーというフィールドでどんなことをやっていきたいと思ってますか?

今までと変わらないでいたいですね。自分に素直にあり続けるというか…変にフィールドは意識したくない。取材の本数を増やしてくれたり、関わってくれる人の数を増やしてくれたりして、音楽がやり易い環境を作ってくれているので、より自由に音楽をやりたいです。それがこういう状況を作ってくれていることに対して、失礼のない態度だと思うので(笑)
a flood of circle プロフィール

ア フラッド オブ サークル:2006年結成。下北沢、渋谷を中心にライヴ活動を開始。ブルース/70年代のロックをルーツとした重厚かつフリーキーなサウンドに、佐々木の圧倒的なヴォーカルを加えた他に類をみない独自のスタイルを追求する。早熟な音楽センス、そして卓越したライヴ・パフォーマンスには定評があり、『FUJIROCK FESTIVAL』など数々の大型フェスにも出演を果たす。09年4月に1stフルアルバム『BUFFALO SOUL』でメジャーデビューを果たし、結成15周年となる21年8月には、THE BACK HORN、SIX LOUNGE、田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)、山中さわお(the pillows)、Reiが作詞作曲をし、AFOCがレコーディングをしたという前代未聞のアルバム『GIFT ROCKS』をリリース。a flood of circleオフィシャルHP

OKMusic編集部

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