かりゆし58 が2009 年に最初に放つのは、“別れの先にある出会い”をテーマにしたハートウォームなナンバー! 歌詞、サウンド、どれを取っても丁寧に作られた今作をじっくりと堪能してほしい。
取材:ジャガー
「さよなら」は聴き終わった後に、“ここから新しく出発しよう”という前向きな気持ちになりました。
前川
この曲はドラマのために書き下ろした曲なんです。主人公はものすごく貧乏で、そのせいで大事な母ちゃんを亡くしたり、学校でバカにされたり、社会からはぶられて、復讐に近いモチベーションでお金のために生きていくんですけど、そんな絶望にいながらも、小っちゃい希望にすがりついて一生懸命生きていく、“人間にとって幸せは何か?”を描いたドラマなんです。そのドラマに合わせて書く曲だから、自分も“本当の幸せって、絶望って、何か?”って考えたら、俺にとっては無常に過ぎていく時間が絶望でした。俺がどんだけ楽しい人生を過ごしてても、いつか必ず死んでしまう。これは逃れようのない絶望だなと。その中で、ひとつ見い出せる希望は、いつか来る終わりにビビるんじゃなくて、過ぎ去るのと同じスピードで来る新しい今日を一生懸命生きていくことが唯一の希望なんじゃないかなって。
書き下ろしということで、歌詞の書き方も変わるのでは?
前川
今回20回ぐらい歌詞を書き直しましたね。レコーディング当日まで、ずっと迷っていて、本当にこれでいいのかって。過去最高に迷いました。
そういう時はメンバーに相談してみたり?
前川
彼らは俺が歌詞を書いてる時にオセロしてましたから…興味ないんですよ。
新屋
ひとりになりたいかなって。その場の空気になって見守ってました(笑)。でも、本当に真悟の作る曲がいいと思っていて、感心してるんです。
前川さんの曲を受けて、みなさんはどう表現しようと?
新屋
今まで自分たちが作ってきた音を全部取っ払って一度ゼロにしてみて、そこからお互い一個一個の音を重ねて出すっていう…原点に戻って楽器のアンサンブルを大切にしました。
前川
迫力ある音にしたい時は、野太いギターを出して一生懸命歪ましてたんだけど、そうじゃないく出す音ひとつひとつを大切にすることで十分迫力が出せることをプロデューサーさんに教えてもらって。初めてプロデューサーさんに付いてもらったおかげで、発見も多かったし、画期的でしたね。
中村
確かに。演奏自体はシンプルなのに、ひとつの音がしっかりしてるので、かりゆし58が行ったことのないフィールドへ行けた感じがします。しかも、シンプルな音の良さとかき鳴らす音のカッコ良さも知ってるんでお得だよね。
宮平
今回のレコーディングは、いろんなアプローチの仕方を学べたのですごく新鮮でしたし。
シングル全体では、「さよなら」は別れ、「ミライドン」は未来、「魚(UO)」で生命を表現することで、人生観を歌っているのかなと。甘すぎず、辛すぎず、丁度いい距離感が心地良かったです。
前川
自分たちの音楽は、誰かにメッセージするツールや手段だったりするとは思うんだけれども、それ以前におもちゃだと思ってて。わぁーってみんなが遊んでいる中に、音楽ってものがあったらもっと楽しめるよねっていう、人を楽しませるためのちょっとしたスパイスであればいいなって。「さよなら」にも風景描写が多くて俺の主観はあんまり入ってないのは、鏡みたいに、その人の中にあるものをその人が見つけてくれたらなと。俺が誰かの気持ちを引き出すんじゃなくて、曲を聴いた時に自分の何かを思い出すぐらいの距離でいたいなと思ってます。
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「さよなら」2009年02月04日発売LD&K Records
- 初回限定盤(DVD付)
- LDCD-50053 1575円
カリユシゴジュウハチ:2005年4月に沖縄で結成。06年2月にミニアルバム『恋人よ』でデビュー。同年7月にリリースした「アンマー」が多くの共感を呼び、日本有線大賞新人賞を受賞。11年発表の初ベストアルバム『かりゆし58ベスト』はオリコンアルバムチャート1位を記録。沖縄音階にロック、レゲエをチャンプルーしたサウンドと、飾らない言葉でメッセージを発信し、世代を超え人気を呼んでいる。沖縄で生まれ育った彼らならではの“島唄”を全国に向け歌い続け、2016年でデビュー10周年を迎える。かりゆし58 オフィシャルHP
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