L→R 桐田勝治(Dr)、真島昌利(Gu)、甲本ヒロト(Vo)、小林 勝(Ba)

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【ザ・クロマニヨンズ】バンドをやっ
ているのが一番楽しい

3rdアルバム『Fire AGE』を完成させたザ・クロマニヨンズ。シングル『エイトビート』「スピードナイフ」を含む全14曲は、どれもロックンロール本来のカッコ良さを感じさせるものばかり。最高に突き抜けたアルバムだ!
取材:岡本 明

1年に1枚という、いいペースでアルバムをリリースしていますが、自分たちでもちょうどいい感じですか?

甲本
成りゆきですよ。だって、ツアーやるじゃないですか。それが終わったらレコーディングするし。そんな感じですよ。

ちょっと間を空けようということにならなくて、いい状態でレコーディングできたと?

真島
ちょっと間を空けると、そのちょっとの間に煮詰まりますからね。だってバンドをやってるのが一番楽しいじゃないですか。休んでいるとつまんないんだ。
甲本
日々、バンド演奏ができて。たまに2?3日の休みがあって、その休みは朝から晩までレコードを聴いてっていうのがいいね。

その気持ちはずっと続いているわけですよね?

甲本
うん、だって好きなんだもん。みんなそれぞれ好きなものがあるみたいに、僕らはこれが好きだから。

ずっと音楽に熱を持っていられる、入り込めるのはいいですね。

甲本
単純な話、子供って“今日のご飯はハンバーグよ”って言われると“わーい! ハンバーグだ”って喜ぶじゃないですか、あの感じです。

好物なんですね。

甲本
そう。“まだハンバーグが好きなのか”と言われても、やっぱ好きなんですよ(笑)。それだけのことです。

大人になると、好みが変わったりしません?

甲本
それはハンバーグとロックンロールの違いです。一生かかっても聴き切れないぐらいのレコードが世の中にあるんだ。時間が欲しい、眠りたくない。

レコード屋に行くことも多いですか?

甲本
うん、行かないようにガマンしたりする。その時はもちろん部屋でレコード聴いてますけど(笑)。
真島
そうだね、あんまりいっぱい買っちゃうとさ、1枚ごとの聴きが浅くなるじゃないですか。それがちょっと寂しいんだ。

1枚1枚をもっと聴き込みたい?

真島
うん、中学生の頃のような感じで聴けるのが一番かな。
甲本
同じレコードを朝聴いて、夕方聴いて、夜聴いて。それが1ヶ月続いたりする。
真島
1ヶ月間聴いていると、ドラムのフィルとかギターのフレーズの細かいところも頭の中で鳴るぐらい覚えるじゃない。歌詞も英語なのに覚えちゃったり。そういう聴き方ができると最高。今もそうだよ、同じレコードを聴いたりする。カッコ良いな?って。
甲本
つい、聴くもんな。

聴く音楽は新旧関係なく?

甲本
関係ないけど、個人的に今の旬は60年代ビートグループ。まぁ、ずっと旬ですけど。もともと自分たちはそういうものが好きでロックを聴き始めて。今もそれが旬ですね。
真島
それもモノ(モノラル・ミックス)ね。
甲本
いいね、モノ。UKオリジナル。CDは聴かない。
真島
アナログばっかり聴いてる。モノは最高ですよ。

音が出てくる瞬間から違う?

真島
音の飛び出し方というか、スピーカーより前にあるんだ。
甲本
バンドが部屋にやってくるよね。
真島
目の前にドン!って広がる、あの感じは最高ですよ。ステレオだとスピーカーの後ろで鳴ってる感じ。だけど、モノだとドーン!と入るんだ、突き破って。夢中になっちゃいますよ。バディ・ホリーとかモノを聴いていると、隣にいるみたい。

レコーディングとツアーの間は、ひたすらレコードを聴いて、そのサイクルで一年が回ってる?

真島
それもなんとなくなんですけど。
甲本
でも、日本の都道府県の数が違えば、このサイクルも変わってくるかも。
真島
都道府県が今の10倍あったら大変だ(笑)。
甲本
全部ツアーしてたら、レコード出すのは3年に一回とかね。

外タレなみですね。

真島
ローリング・ストーンズみたいにね。
甲本
ストーンズの場合は休んでる時間も長いと思う。僕の勝手な想像だけど、ストーンズのメンバーは60歳になった今も、暇な時間に家でレコードを聴いてる気がする。
真島
基本的なものを聴いてそうだよね、チャック・ベリーとかマディ・ウォーターズ。
甲本
それも、チャック・ベリー、マディ・ウォーターズとかさんざん聴いているはずなのに、やっぱりいいんだよ、最高なんだ。

覚えるぐらいまで聴いているはずなのに?

甲本
うん、なんで「リトル・クイニー」があんなにカッコ良いんだって思うもん。

ロックがまだ完成する前の音楽だから?

甲本
いや、完成も何もロックンロールは完璧ですよ。ロックンロールはロバート・ジョンソンが登場した瞬間に完成してますよ。もっと古くから完成してたかもしれないけれど、ロバート・ジョンソンがレコードとして定着させた瞬間だと僕は思います。あの2枚のアルバムに録音されている楽曲。そこから誰も進歩させてないし、進化もしてない。ずっとあれだけやってる、みんな。

その時代ごとにバリエーションがあるにしても?

甲本
それは細かいことだよ。アコースティックギター1本でも、オーケストラ使っても、そんなことはささいなことですよ。

そんなロックンロールの魅力を語るのは難しいと思いますが。

真島
それは語れないですね。もう、最高じゃないですか、この世で。ロックンロール最高!
甲本
昨日も夜中、ロックロールのアルバムを聴いて、今日も出かける前に聴いてる。その興奮がずっと浮かれさせてくれるんですよ。“ロックンロール、カッチョええ!”って家を出て、ふとした瞬間に頭の中で鳴ってますから。

それが何年も続いているわけですね。

甲本
中学、高校と授業中に頭の中で鳴っていて。家に帰ってすぐ聴いてる。あれです、カッコ良い。

いろいろ要素はあるけれど、カッコ良いとしか言いようがない音楽ですよね。今回の『FIRE AGE』もカッコ良い曲が14曲が詰まったアルバムになっていると思います。

甲本
それは良かった。

基本は変わらないですね、ロックンロールのカッコ良さが全編を貫いていて。いつもアルバムは3日ぐらいでレコーディングするという話でしたけど、今回もそのぐらいの期間ですか?

真島
今回はもうちょっとかかったのかな。
甲本
かけたんだ、終わるのが寂しいから(笑)。このまま早く終わったら、みんなで晩ご飯食べに行けないからって。それも演奏に時間かけるんじゃなくて、ダラダラ、コーヒー飲んだり、“昨日のテレビ観た?”とか。そういう話をして、誰かがイライラして“そろそろやろうよ”って言うまで時間かける(笑)。じゃあ、ちょっとやるかって。その頃は夕方ですよ。それでチョコチョコっとやって…でも、すぐには聴かないの。サラッと聴いて“あれ?”って思う部分があっても、そのままご飯を食べに行く。楽しい会話をして、おいしいものを食べて、スタジオに帰ってみたら、さっき“あれ?”と思っていたところがOKになってるんだ(笑)。
真島
あれは不思議だよね。なんとなく“あれ?”って思っていても、あとでもう一回やればいいかって。で、帰ってから聴いてみると全てがOK。

楽しそうなレコーディングですね。バンドの調子の良さが伝わるような。

甲本
調子はいいです。
真島
調子に乗ってます(笑)。

“FIRE AGE”というタイトルは?

甲本
成りゆきですね。
真島
最初になんとなく“FIRE”っていうのがあって、入れようと。ウダウダしているうちに、いつの間にかできた。
甲本
内容とは関係ないです。内容がどうであれ“FIRE AGE”になっていた。コンセプトアルバムでストーリー性があるわけじゃないから。ただ僕とマーシーが曲を作って、スタジオでみんなでバッと音を出したらこうなっただけだから。それをまとめた時のパッケージに名前は付けにくいんです。

ツアーをやりたいのが基本にあるから、そのための曲、そのためのアルバムという発想もあると思いますけど?

甲本
そういう部分もある。より楽しくなるじゃない? 新譜が出て、新曲がいっぱいあって、それをみんなが楽しみに観に来てくれたりという感じ。毎回同じ曲でツアーをやるより、新鮮で楽しいと思うよ。それだけのためにアルバムを作っているわけじゃないですけど、それもある。中にはこれはライヴでやらないかもっていう曲もあるし。

10月からのツアーが楽しみですね。

真島
ツアーは楽しいよ。やってるなっていう、やってる感がいいですね(笑)。
甲本
やってるからね。いいね。

ツアー中は外出したりするんですか?

甲本
レコード屋に行くよ、よく本番の前に。俺たち、リハーサル時間が短いから、楽屋入りがゆっくりなんですよ。19時からライヴが始まる場合、17時入りだったり。それまでたいした準備もないからレコード屋に行くんです。そうすると、近所のファンの子に“これから観に行くんですけど、こんな所にいていいんですか?”とか、“何やってるんですか!”って言われる。“何、お会計しているんですか!”って(笑)。
真島
それも“しっかりしろよ!”っていう感じで言われるよね(笑)。“今日、ライヴじゃないですか!”って。いいのかよって感じで。

どこに行ってもレコード店を巡る楽しみが尽きないですね。もちろん、ツアーが大前提ですけど。

甲本
うん、ツアーやってるからこそ、空いた時間が楽しめてる。ツアーやってないとその時間さえも楽しめない。
真島
やってる感でしょ(笑)。やってる感がないと休みも充実しないから。
甲本
ライヴ終わった後のメシなんか楽しいね。
真島
“やったな、やったよ俺!”っていう感じでね(笑)。
FIRE AGE
    • FIRE AGE
    • 通常盤
    • BVCR-11122
    • 2008.10.15
    • 3059円
ザ・クロマニヨンズ プロフィール

ザ・クロマニヨンズ:2006年7月23日13時41分、『FM802 MEET THE WORLD BEAT 2006』に出現。その後、数々の夏フェスにも出現し、デビュー前から話題を呼んだ。そして、同年9月に待望のシングル「タリホー」でデビュー。22年1月に15枚目のアルバム『SIX KICKS ROCK&ROLL』、23年1月に16枚目のアルバム『MOUNTAIN BANANA』を発表。そして、24年2月に17枚目のアルバム『HEY! WONDER』をリリースし、同年2月16日より『ザ・クロマニヨンズ ツアー HEY! WONDER 2024』(全国43公演)を開催。ロックンロールをこよなく愛する4人が最強のロックンロールを響かせる!ザ・クロマニヨンズ オフィシャルHP

OKMusic編集部

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