【阿部真央】『阿部真央らいぶNo.6』
2015年5月31日 at 東京国際フォーラ
ム ホールA

撮影:緒方秀美/取材:竹内美保

 軽やかで、和やかで、とても温かい空気に包まれたライヴだった。柔らかい光がいつまでも降り注いでるような、穏やかな多幸感に満ちた。切なさなや危うさを内包している楽曲でさえ、“彼女の苦悩や葛藤は、この日のこのひと時が生まれるための過程として存在していたのかもしれない”と思えてしまう、そんなライヴ。大切なパートナーとの入籍、授かった新しい命…プライベートな環境の幸せな変化がその源にあるのはもちろんだろうけど、それとともにアーティストとして円熟し始めていることも重なったからこそのステージではないかとも思う。

 また、椅子に腰掛けてじっくりゆったり歌い上げるシーンや、贅沢なメドレーなどの初の試みがあった構成もこれまでにないスタイルで、それも楽しく気持ち良い流れが。“体を気遣いながらベストなかたちを”というところから導き出されたスタイルだと思われるが、無理のないやり方を選択したら、それが功を奏して歌の伝わり方に新たな面が見えたり、言葉の表現にも変化が表れていたり。もちろん“細心の注意をはらって無理なく”とは言っても、全身全霊で歌を、音を届けることに変わりはない彼女だから(だから、「ふりぃ」やカウパンク調の「メールのお尻にハートマーク」などのアッパーな曲で跳ねる姿にハラハラもした)、これは意図を超えたひとつの進化の表れと言えるだろう。

 “素敵なライヴをありがとうございます”ーーアンコールでの彼女の言葉。お礼を言いたいのは、こちらのほう。お休みが明けで再開する日が、もう待ち遠しい。

セットリスト

  1. 這い上がれMY WAY
  2. 優しい言葉
  3. ふりぃ
  4. 走れ
  5. 深夜高速
  6. words
  7. じゃあ、何故
  8. 天使はいたんだ
  9. always
  10. いつの日も
  11. Hello, Jewelry Smile
  12. Marry me baby I love you
  13. メールのお尻にハートマーク
  14. メドレー
  15. ポーカーフェイス
  16. I wanna see you
  17. プレイボーイ
  18. 世界はまだ君を知らない
  19. モットー。
  20. Believe in yourself
  21. ロンリー
  22. <ENCORE1>
  23. 麹町
  24. want you DARLING
  25. それぞれ歩き出そう
  26. <ENCORE2>
  27. 相模ナンバーのグランドキャビンに乗って
  28. 母の唄
阿部真央 プロフィール

アベマオ:1990年1月24日生まれ、大分県出身。06年、高校2年生の時に『YAMAHA TEENS' MUSIC FESTIVAL』の全国大会で奨励賞を受賞。09年1月にアルバム『ふりぃ』でデビュー。感情的なアコギで押し出す、等身大でリアルな歌詞、表現力豊かなヴォーカル、バラエティーに富んだ楽曲、同世代の女性を中心に、幅広い層から注目と共感を集める。14年10月にデビュー5周年を記念して初の日本武道館公演を開催。16年5月、産休明け第一弾シングル「Don’t let me down」で完全復活を果たし、デビュー10周年となる19年1月にはベストアルバム『阿部真央ベスト』を発表し、2度目の日本武道館公演を成功させた。阿部真央 オフィシャルHP

OKMusic編集部

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