【D'ERLANGER presents 】D'ERLANGE
R presents 新木場STUDIO COAST 20
07年9月22日

text:石田博嗣

“禁断の扉”と銘打たれたD'ERLANGER主宰のイベント『ABSTIN ENCE'S DOOR』。そのトップバッターをメリーが務めた。いきなりネロのドラムソロからスタートしたステージは彼ららしく、パンキッシュでありながらも哀愁が漂う楽曲で客席を沸かせていく。そして、ネロの“このステージに立てることを感謝します”というMCの後にプレイされたのは、D'ERLANGERの「1999 -shy boy Story-」。ツインギターを効果的に使い、オリジナルとはまた違った、メリー特有の妖艶な色に染め上げていたのが印象的だった。 二番手はムック。初っぱなからグランジやオルタナをルーツとするラウドロックばりのダイナミックなグルーヴを叩き付けたと思うと、疾走感あふれるナンバーやメロディック&ドラマチックな楽曲でオーディエンスをぐいぐいと惹き付ける。D'ERLANGERの代表曲「La vie en rose」も、さらに激しく、さらに速くと、彼らならでのはサウンドでカヴァーし、その後もムックらしい迫力あるパフォーマンスで、場内の温度を沸点にまで持っていった。 トリはもちろん、D'ERLANGERだ。サポートキーボディストのホッピー神山の奏でる音色にドラム、ベース、ギターと順に乗っていき、さらにホッピーがそこにソプラノボイスを絡めるというアバンギャルドな演出でライヴはスタートする。しかし、kyo(Vo)がステージに現れ、オープニングナンバーである「月光」がプレイされると一転、D'ERLANGERならではの刺々しくもミステリアスな音世界が場内を制覇した。毒性の強いリフを華麗に刻むCIPHER(Gu)、楽曲の勢いを加速させるグルーヴを生むSEELA(Ba)、破壊力に満ちたドラミングで楽曲に刺を与えるTETSU、そんな3人の強すぎるほどの個性にも揺るがないクールかつ挑発的なフロントマンkyo。復活後、まだ数本しかライヴをしていないというのに、構築されるバンドサウンドの強靭さはさすがだ。しかも、結成時より掲げてきた“SADISTICAL PUNK”の進化系、復活アルバム『LAZZARO』からのナンバーを中心にメニューを組み、現在進行形の姿を見せつけていたのも特筆すべきところだろう。クライマックスにあの名曲「So...」「LULLABY」「DARLIN'」を並べるも、本編ラストを締めくくったのは『LAZZARO』の収録曲であり、現在の彼らの代表曲になるべく「XXX for YOU」である。このイベントを主宰していることも含め、D'ERLANGERの復活が過去の再生ではないということが伝わってくるライヴだった。 メリー、ムック、そしてD'ERLANGERによってこじ開けられた“禁断の扉”。今回が“#001”だけに、“#002”はもちろん、3桁を実現するほど続いていくことを願う。17年前に現在のビジュアルシーンの礎を築いたように、ここから新たなるシーンが派生していくことを期待している。

OKMusic編集部

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