撮影:木村篤史/取材:高木智史

ゆったりとしたストロークだが、エッジの効いたギターサウンドが響き渡る。それが「AMPLIFIED TEEAGE STRESSES AND STRAINS」の始まりを告げ、『たからさがしツアー』ファイナルが始まった。徐々に合わさっていくバンドアンサンブルが心地良く感情を押し上げていき、揺れ始めるオーディエンス。そして、オルタナティブな音像に五味岳久(Vo&Ba)のヴォーカルが乗ることでlostageの音楽は世界を広げる。高域の稀有な彼の声は神秘的でもあり、“lostage”という言葉は純粋な少年性を表しているのだが、その声はそれを雄弁に語っているのではないだろうか。放たれる一音一音にいろいろな思いがあふれてくる。次の曲は「RED」。サウンドは荒々しさを増していく。ポップで疾走感のある「PUREHONEY」、その次には浮遊感漂う「ドラマ・ロゴス」と起伏を付けながらオーディエンスを魅了。そしてMCでは、これまでのライヴでは考えられないほど、言葉多く語る五味岳久がいた。“うれしくて今日は饒舌です”と自らも語っていたが、少し辿々しくも味わいのある口調で、時々話につまると弟である、五味拓人(Gu)に視線を送りながら、演奏中とは違った和やかな場面も見せていく。再び演奏に戻ると緻密な美しい轟音を繰り広げ、美しいメロディーが印象的な「母乳」(爆乳バージョン・五味岳久談)やファストでメロディーの展開がたまらない「DIG」を披露し、ラストは壮大な世界感を見せる「海の果実」で締め括ったのだった。深まったlostageの世界感と今のバンドの状態の良さを感じたライヴ。2009年の春くらいには次のアルバムを考えているという、うれしい発言もあり、今からそれが楽しみだ。
LOSTAGE プロフィール

01年に五味兄弟を中心に結成された奈良県出身の3ピース・ロック・バンド、LOSTAGE(旧表記:lostage)。現メンバーは、五味岳久(vo&b)、五味拓人(b)、岩城智和(dr)の3人。04年7月、<UK PROJECT>内に自身で立ち上げたレーベル<qoop music>よりデビュー・ミニ・アルバム『P.S.I miss you』をリリース。アルバム楽曲のクオリティの高さと日本人離れしたスケールの大きさに各方面から大絶賛を受ける。06年1月には満を持して1stアルバム『PLAY WITH ISOLATION』を発表。エモーショナル・パンク/ハードコア/グランジ/NYパンク/ポスト・ロックといった幅広い音楽性を吸収しつつ、芸術性の高いLOSTAGEでしか鳴らせないオリジナリティ溢れるサウンドを封じ込め、日本のロック・シーンの新たなムーブメントを予感させる作品となった。作品の評価も去ることながらライヴや大型フェスにおいても、圧倒的なパフォーマンスで毎回オーディエンスの度肝を抜いている。07年7月に<TOY'S FACTORY>より2ndアルバム『DRAMA』をリリース。サウンドの勢いそのままに全国ツアーを20本行い、東名阪のクアトロを廻る自主企画イベント『SHOWNEN TOUR』は、全会場ソールドアウトに終わる。08年1月には、7年間の歩みを共にした清水雅也(g)が脱退。2月より中野博教(g)が加わり、9月に2ndミニ・アルバム『脳にはビート 眠りには愛を』を、続いて09年3月には3rdアルバム『GO』を発表。それまでのサウンドやライヴ・パフォーマンスへの評価に加え、ソングライティングに対しても大きな評価を得ることになるが、同年12月には中野博教(g)がバンドから脱退。10年元旦、バンド表記を“LOSTAGE”に変更したのち、6月には自身のバンド名を冠した4thアルバム『LOSTAGE』をリリースし新たな進化へのスタートを切った。lostage Official Website
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OKMusic編集部

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