【THE BACK HORN】THE BACK HORN JC
B HALL 2009年4月29日

撮影:橋本 塁/取材:石田博嗣

音楽は音符の組み合わせであり、その羅列が美しく並ぶことで旋律を描き、ひとつの楽曲が完成する。そこには無数のパターンがあるとはいえ、次第に似通ったものが生まれ、やがては尽きてしまうかもしれない。…というのは、あくまでも机上論だ。そのことを、このライヴを観ていて実感した。結成10年という節目を経て、感覚的に音を共鳴させて『パルス』というアルバムを完成させたTHE BACK HORN。そして、バンドの原点であるライヴハウスを回るなど、全52本という自己最長のツアーを行ない、その最終公演としてJCB HALLのステージに立った。1曲目の「世界を撃て」から目の前の何千という観客に闘いを挑むかのような鬼気迫る気迫が4人に感じられ、放たれる音の威力も尋常ではない。長いツアーの中でバンドがよりピュアに、感覚的になっているのだろう。“バンド感”や“熱”、“勢い”、“瞬発力”といった『パルス』を形成しているものを全解放し、生々しいまでの生命力を持つバンドサウンドでもって、瞬く間に会場中の空気を自分たちのものに変えてしまった。さらに、感情という目に見えないものを音という目に見えないもので表現し、聴く者に心をえぐるような衝撃を与えていく…その様も圧巻だ。山田将司(Vo)がダブルアンコールの時に“『パルス』っていうアルバムが今日のライヴで本当の意味で完成したんだなと思っています”と語っていたが、まさにひとつひとつの音が、声が感情を持っている。つまり、そこにはメンバーそれぞれのパッションが詰まっているということだ。それはピュアになればなるほど、感覚的であればあるほど、説得力と殺傷力を増し、唯一無二な存在となる。であるなら、その音楽の可能性や発展性は無限だろう。…ということを、肌で感じさせられたライヴだった。
THE BACK HORN プロフィール

ザ・バックホーン:1998年結成。“KYO-MEI”という言葉をテーマに、聴く人の心を震わせる音楽を届けている。01年にシングル「サニー」をメジャーリリース。17年には宇多田ヒカルとの共同プロデュース曲「あなたが待ってる」が話題に。結成20周年となる18年、3月にメジャーでは初となるミニアルバム『情景泥棒』を、10月にはインディーズ時代の楽曲を再録した新作アルバム『ALL INDIES THE BACK HORN』を発表。また、ベストセラー作家・住野よるとのコラボレーション企画も注目を集め、2021年末にはフィジカルとして約4年5カ月振りとなる待望のシングル「希望を鳴らせ」をリリース!THE BACK HORN オフィシャルHP

OKMusic編集部

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