【the pillows】『OOPARTS TOUR』20
10年2月21日 at JCB HALL

取材:松木美歩

3階席まである会場を見上げ“ロックスターになったみたいだな”と山中さわお(Vo&Gu)がつぶやいた。結成21周年目を迎え、磨き抜かれたスタイリッシュなロックを確立させ、動員も年々増加。結成20周年を記念した武道館公演を瞬殺で完売させたのにも関わらずこのつぶやき。どの角度から観ても完全無欠のロックスターですがな(笑)。そんなピロウズの『OOPARTS』ツアーファイナル公演は「Dance with God」からスタート。“時を超えて響くだろうキミの胸に”、普遍的な楽曲を生み続ける彼らの真髄に触れる歌詞に拳が突き上げられる。後方までぎっしり埋め尽くされた会場の興奮が一気に高まり、序盤から新旧織り交ぜた選曲にどの楽曲でもシンガロングを巻き起こしていく。この爆発的な盛り上がりには毎度のことながら驚かされるのだが、20年という歳月で培われた音の隅々までをも、こぼさずに受け止めようとするオーディエンスのひた向きな想いが作り上げる光景がこの日も広がっていたのだ。「YOUR ORDER」まで畳み掛けていき、“ファイナルの今夜もいい夜にしたい。最後までよろしく”と山中が挨拶。「FOXES」「Lemon Drops」などアルバム収録曲が続いたのだが、キラキラしたメロディーと骨太なグルーブが逞しい音魂として放たれていき、このロングツアーで新曲たちが丁寧に磨き上げられたことが耳と心に明確に響いていった。“商業的な成功はもう十分だ。音への欲求をこれからも大事にしていきたい”という山中の言葉に、今後のピロウズへの期待とさらに膨らむ巨大なスケールがすでに広がっていることを確信した、感動的な夜だった。

セットリスト

  1. Dance with God
  2. ビスケットハンマー
  3. 空中レジスター
  4. YOUR ORDER
  5. FOXES
  6. Lemon Drops
  7. メロディー8.Kim deal
  8. Rodeo star mate
  9. ターミナル・へブンズ・ロック
  10. Curly Rudy
  11. Sleepy Head
  12. like a lovesong
  13. ジョニー・ストロボ 15.Beyond the moon
  14. LIFE SIZE LIFE(The bag is small,and I don’t enter)
  15. Primer Beat
  16. この世の果てまで
  17. No Surrender
  18. LAST DINOSAUR
  19. No Substance
the pillows プロフィール

1989年、山中さわお(Vo&Gt)を中心に結成。既存のJロックとは一線を画した、洋楽的な視点を持つギター・ロック・バンドの先駆者的存在。91年5月にシングル「雨にうたえば」で<ポニーキャニオン>よりデビュー。1993年にリーダーの上田ケンジが脱退し、表立った活動が休止状態になるも、翌年<キングレコード>に移籍し、残った3人で活動を再開。バンド・ブームの余韻が残る90年代前半、過小評価されていた彼らの音楽だったが、97年1月発表の5thアルバム『Please Mr. Lostman』より、徐々に状況が変わっていく。60's風のテイスティなメロディ、シンプルかつラウドなサウンドが耳の肥えた若いロック・リスナーを中心に話題を呼び、99年1月に傑作の誉れ高い7thアルバム『RUNNERS HIGH』をリリース。ロック・ファンを中心に絶大な支持を獲得していった。00年7月発表の「Ride on shooting star」はOVA『フリクリ』の主題歌、11月発表の「I think I can」が『スポーツMAX』のEDテーマに起用。その後もコンスタントにリリースやライヴ活度を続け、06年より<avex trax>に移籍。09年に結成20周年を迎え、結成20周年記念日となる9月16日には初となる日本武道館単独公演を敢行。チケットは一般発売後10分で完売したため入手困難なプレミアムチケットとなり、会場には全国から1万人のファンが集結した。また、そんな彼らは多くのミュージシャンから支持を得ており、14年2月には結成25周年を記念したトリビュートアルバム『ROCK AND SYMPATHY』がリリースされた。オフィシャルHP
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