【GLIM SPANKY】『GLIM SPANKY 野音
ライブ 2017』2017年6月4日 at 日比
谷野外大音楽堂

 抜けるような青空と公園の緑と無機質な官公庁のビル群。独特な環境の中に存在する野外の音楽堂から放たれていく重いグルーブが、その風景を揺らし、“GLIM SPANKYの特異な世界”に染め上げ、そして巻き込んでいく。幕開けのサイケデリックチューン「アイスタンドアローン」から前半はほぼノンストップで展開し、絶妙な緩急を付けながら心地良い酩酊感を誘う。これはまさしく合法的なトリップだ。まだ明るいうちに「闇に目を凝らせば」から「お月様の歌」までの流れをどう聴かせるかというのはひとつのチャレンジでもあったと思うが、音楽が風景を変えることを見事に具現化。とりわけ、インストから入るアートロック的な鳴らし方が成されていた「MIDNIGHT CIRCUS」は、それを象徴する一曲となっていた。

 野音を埋め尽くすオーディエンス(立ち見エリアもびっしり!)との自然な一体感によるコーラスの大合唱から生まれた「風に唄えば」からの後半戦は、広がりながら突き抜けていくサウンドスケープを響かせる。スタジアムクラスのスケール感を湛えた「NEXT ONE」、疾走しながら畳み掛けていく「怒りをくれよ」、そしてアンコールの「ワイルド・サイドを行け」では若きロックのパイオニアとしての決意と誇りが、その声に、音に込められていた。ふたりと同世代の人たち、60〜70年代のロックをリアルタイムで体感したであろう人たちーーさまざまな世代が集まっていたが、とても印象的だったのは、4〜5歳の女の子が「時代のヒーロー」でノリノリで手を振り上げていたこと。そこに新たな“音楽の希望”を見た。

撮影:HAJIME KAMIIISAKA/取材:竹内美保


■ SET LIST ■

  1. 1.アイスタンドアローン
  2. 2.E.V.I
  3. 3.時代のヒーロー
  4. 4.褒めろよ
  5. 5.ダミーロックとブルース
  6. 6.闇に目を凝らせば
  7. 7.NIGHT LAN DOT
  8. 8.MIDNIGHT CIRCUS
  9. 9.お月様の歌
  10. 10.風に唄えば
  11. 11.太陽を目指せ
  12. 12.Freeder
  13. 13.NEXT ONE
  14. 14.いざメキシコへ
  15. 15.Gypsy
  16. 16.怒りを くれよ
  17. 17.夜風の街
  18. 18.美しい棘
  19. <ENCORE>
  20. 1.大人になったら
  21. 2.ワイルド・サイドを行け
GLIM SPANKY プロフィール

グリム・スパンキー:⾧野県出身の男女二人組ロックユニット。ハスキーでオンリーワンな松尾レミの歌声と、ブルージーで情感深く鳴らす亀本寛貴のギターが特徴。特に60~70 年代の音楽やファッション、アート等のカルチャーに影響を受けており、それらをルーツに持ちながら唯一無二なサウンドを鳴らしている。2007 年結成、14 年メジャーデビュー。18 年に日本武道館ワンマンライヴを成功させ、同年開催の『FUJI ROCK FESTIVAL』GREEN STAGEに出演。ドラマや映画、アニメなどの主題歌を多数手掛けている。最近ではももいろクローバーZ や上白石萌音、DISH//、野宮真貴、バーチャル・シンガーの花譜など、幅広いジャンルで他アーティストへの楽曲提供も行なっている。GLIM SPANKY オフィシャルHP

OKMusic編集部

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