プログレッシブロックの名曲10選 19
70年代から猛威を振るった楽曲を紹介

Shine On You Crazy Diamond – Pink
Floyd

ピンクフロイドは1965年から2014年まで活動したイギリスのプログレッシブロックバンド。プログレのパイオニアとしても知られ、プログレを語る上で5大バンドの1組として数えられます。
英国のバンド、ピンクフロイドが1975年にリリースしたコンセプトアルバム「炎~あなたがここにいてほしい(原代:Wish You Were Here)」からのシングルカットがこの”Shine On You Crazy Diamond, Pts. 1-5 – ピンク・フロイド”。バンドの初期メンバーであり、薬物中毒により精神状態を崩し脱退したヴォーカルのシド・バレットへのトリビュートとして作られた曲です。
9つのパートで作られた曲は、アルバムの最初と最後の部分に収録されています。デビッド・ギルモアとリチャード・ライトの二人によって、これ以上ない程の最高に哀しいメロディで作り上げられた作品。ロジャー・ウオーターズがヴォーカルをとるのはパート5と7。その他のパートは全てインストです。哀愁とメランコリーがたっぷり込められた美しい曲です。

Close To The Edge – Yes

1968年にロンドンで結成されたバンド、イエス。1981年に一度休止した後、再結成、現在まで活動を続けています。ピンクフロイドと同じく5大プログレバンドの一角です。
イエスが1972年リリースした5枚目アルバムからの同名タイトルでのシングルカットがこの”Close To the Edge (I. The Solid Time of Change, II. Total Mass Retain, III. I Get Up I Get Down, IV. Seasons of Man) – イエス”。4つのパートで構成されており、全編で18分以上の長さ。LPレコードの片面全てを網羅しています。
ジョン・アンダーソンが描く夢想的な歌詞は、ドイツ作家ヘルマン・ヘッセの「シッダルータ」からヒントを得たもので、釈迦や川などをテーマとしたミステリアスなもの。様々な音を折り重ねた重厚なサウンド、そして何よりも聴き応えのあるのはリック・ウェイクマンによる鍵盤テクニックがその所以でしょう。彼等が発揮した最高の才能により、この曲は後にプログレの金字塔と呼ばれる様になります。
イエス、そしてプログレの歴史を語る上で欠かせない、完璧とも言える作品です。

A Passion Play – Jethro Tull

ジェスロタルは1967年から2011年まで活動したイングランドのプログレッシブバンド。
”A Passion Play – ジェスロ・タル”は英国のバンド、ジェスロタルが1973年にリリースした6枚目のアルバム収録曲です。イアン・アンダーソンのフルート演奏が映えるコンセプトアルバムであり、1人の男がアフターライフを旅するという精神世界をテーマにした芸術性の高い作品です。
”A Passion Play”はLPのA面と B面にそれぞれ1曲づつ収録、この曲だけでアルバム全体を構成しています。リリース当時は酷評だったものの、アメリカなどでのセールスは好調、全米1位となりゴールドディスクを獲得する程の人気でした。
長い演奏にも関わらず、見事な演奏と曲の構成。そしてどこかコミカルなその雰囲気。後のハードロックにも多大なる影響を与えたと言われる名曲。ジェスロ・タルのマスターピースと言える作品です。

Epitaph – King Crimson

キングクリムゾンはイギリス・イングランド出身のプログレッシブバンド。1968年活動開始、5大プログレッシブバンドの1組です。
英国のバンド、キング・クリムゾンが1969年にリリースしたデビューアルバム「クリムゾン・キングの宮殿」収録曲がこの”Epitaph”。情緒的でドラマチックな歌詞とメロディーは、アルバム及びバンドの代表曲として有名です。日本でも当時のアイドル歌手らによってカヴァーされた曲でもあります。
時代への混沌や恐怖を反映させた曲であり、作詞はピート・シンフィールド、作曲はグレッグ・レイクが担当。曲全体のスケールの大きさとダイナミックに描かれた情緒的な世界は、当時の英国国民に受け入れられました。この曲を収録したアルバムは全英チャート1位となり、ロックの時代が変わった歴史的な瞬間となったのです。ロバート・フリップを中心にバンドメンバーも最強だった頃の超名曲です。

Watcher of the Skies – Genesis

ジェネシスは1967年に結成されたイギリス・イングランドのプログレッシブバンド。こちらも5大プログレバンドにくくられます。1970年代は王道プログレを武器にしていますが、1980年代からはポップよりの楽曲にシフトしていきます。
1972年にジェネシスがリリースした4作目アルバム「Foxtrot」からのシングルカット曲”Watcher of the Skies – ジェネシス”。イギリスの児童文学のファンタジーをテーマにするのが得意だった彼等ですが、この曲のタイトルは詩人キーツの詩の一説から拝借しています。
メロトロンのみを演奏した、美しいソロから始まるイントロ。90秒以上も続くメロトロンの音は、この曲によってプログレ史上最高の表現をしていると評判になりました。実は、この機器はキングクリムゾンから買い取ったお古だったという話。このサウンド効果がサイエンスフィクションの様な歌詞をより幻想的に仕上げています。ピーター・ガブリエルはステージで必ず仮装するなど、異星人になりきる事にもこだわっていた様です。

Tarkus – Emerson, Lake & Palmer

エマーソン・レイクアンドパーマーは1970年に結成されたイギリスのプログレッシブバンド。プログレッシブロック5大バンドの1つです。
キース・エマーソン、グレッグ・レイク、カール・パーマーの苗字を並べたバンド名、略して「ELP」と呼ばれる英国のバンド。元キングクリムゾンのグレッグ・レイクを始めとするメンバーは長い音楽キャリアがあり、バンドは「スーパーグループ」と呼ばれていました。
おすすめしたい曲は”TARKUS a. ERUPTION b. STONES OF YEARS c. ICONOCLAST d. MASS e. MANTICORE f. BATTLEFIELD g. AQUATARKUS – Emerson, Lake & Palmer”です。1971年にリリースされた同名タイトルアルバムA面全てを構成する曲で、構成として7つのパーツに分けられています。アルマジロが戦車となった「タルカス」が地球壊滅に来るという架空の物語をテーマに、バンド3人による最高にパワフルな演奏が聴ける作品です。
彼等の代表曲であり、プログレ史上における名曲と言われています。アルバムは全英チャート堂々1位、イギリス中を熱狂させました。

Lunar Sea – Camel

1971年にイギリスで結成された4人編成ロックバンド、キャメル。キングクリムゾンらの5大プログレバンドに次ぐ人気を誇ったバンドです。
バンド結成時から固定メンバーで続けて制作した最後の4枚目のアルバム「Moonmadness」は 最もキャメルのサウンドスケープを表現しきった完成度の高い作品です。
今回紹介する曲”Lunar Sea – キャメル”は、アンドリューラティマーのフルートやギターを奏でる甘美にもマイルド感があり、ピーターバーデンスの包み込むようなストリングスアンサンブルなど非常に幻想的な雰囲気や時として程よく変拍子が軽やかに舞う展開などがあり、温かみあるファンタジーさやスペーシーさに溢れた叙情さが素晴らしい作品です。
全体的にはどこかゆったりとしていて優しさのある感じやどの楽曲にも甘いメロディーがふんだんにあり非常に耳に心地良いサウンドです。
また、プログレッシブロックらしいテクニカルなナンバーは、手数多くのアップテンポなドラム(小刻みなシンバルをまじえたリズムセクション)でもキャメルらしさを全く失わずアートワークな楽曲を完成させています。

Limelight – Rush

1968年カナダのウィローデールで結成された3人編成のロックバンドがこのラッシュ。
デビュー当初は平凡なハードロックバンドとしてしか見られていませんでしたが、5枚目のアルバム「A Farewell to Kings」あたりからプログレッシブロック色を前面に押し出し始めます。しかし、アメリカでの評価が一向に上がらず7枚目のアルバム「Permanent Waves」からシングルリリースすることを目標に制作され、試行錯誤を重ねキャッチーでありながらテクニカルで複雑なリズムアレンジを施されたラッシュ独特のサウンドが確立されると同時にバンドとしても評価されるようになります。
ラッシュの代表作でもある8枚目のアルバム「Moving Pictures」は、ライブで再現不可能な楽曲は制作しないというコンセプトに基づき、安易なオーバーダビングという手法に頼らないスタンスがラッシュらしさを感じます。
4曲目”Limelight – ラッシュ”はイントロから変拍子ですが、比較的キャッチーなナンバーに仕上がっているので耳に馴染みやすくおすすめできる曲です。

Dinosaur – King Crimson

1990年代に新たな編成となった彼らが放った強烈な一曲”Dinosaur”。ツインドラムの絶妙なズレと掛け合いが、曲のテーマである重い足取りで前進する恐竜を想起させます。
このダブルトリオ編成では演奏巧者が各パート二人づつ存在しているので、曲自体は隙のない緻密な完成度を誇っています。今回初導入されたスティックと呼ばれる珍しい楽器は、ベースとギターの中間を行き来する重要な役割を担っています。
テーマである恐竜は地球上ではすでに絶滅した存在。それが誰かによって掘り起こされていると歌い上げられます。「先進的なロック」を意味するはずであったプログレッシブロックがいつの間にか時代に取り残されていたのではないか、という自身への鋭い考察も窺え、曲の最後にギターで奏でる恐竜の鳴き声がシニカルな余韻を残します。

In The Dead Of Night – U.K.

U.K.はイギリスにて結成されたプログレッシブバンド。1978年に結成、約2年間しか活動しませんでしたが、その有名すぎるメンバー、多彩な楽曲のためプログレを語る上では外すことができないバンドです。
プログレッシブロックの代表バンド、キングクリムゾンのベースボーカルのジョン・ウェットンが1980年代にASIA(エイジア)というバンドで世界的なヒットを出す前に活動していたバンドがU.K.です。丁度キングクリムゾンのプログレ感とエイジアのポップ感の中間のようなバンドで、だれでも聴きやすく、しかも音楽性が高いのがこのバンドの特徴ではないでしょうか。
ファーストアルバムの1曲目であるこの曲”In the Dead of Night – U.K.”も、変拍子(7拍子)で特徴的なリズムを多用したリズムセクションとポップなキーボードサウンドで始まり、変拍子のままポップな歌が始まり、曲名であるコーラスにつながる、ポップでありながらこだわりが感じられる音楽です。
歌以外の間奏パートはプログレ感が一段と増し、強烈なフレーズのユニゾンやテクニカルでありつつ美しいギターソロなど、聴きどころ満載。アルバム全曲、素晴らしい音楽のオンパレードなので、オススメです。

Tubular Bells – Mike Oldfield

マイク・オールドフィールド1967年に活動を開始したイギリスのミュージシャン。
プログレッシブロックの魅力は、ロックでありながらいわゆる普通のロックと言い切れない要素を多く含んでいることだと思います。プログレッシブロックが誕生する前夜までの従来のロック、ギターとドラム、ベースに歌・・・のようなフォーマットから離れることによって新たなロックが生まれたのがプログレッシブロックであり、その最も偉大な成果といるアルバム(曲)がマイク・オールドフィールドの”Tubular Bells, Pt. I – マイク・オールドフィールド”でしょう。
レコードのA、B面合わせて1曲という大作である時点で、それまでのロックの常識を覆し、8分の15拍子という非ロック的なリズムのピアノから始まるこのアルバムは、多種多様な楽器が使われていますが、A面ではドラムも声も入っていません。少し奇抜すぎとも感じますが、あらたなジャンルと呼ぶにふさわしい内容だと思います。
また、このレコードの製作秘話や新興のレコード・レーベルであったVirginレコードのこと、映画『エクソシスト』のことなど、知れば知るほど奥が深く重要なアルバムであることは間違いないでしょう。

Happy With What You Have to Be Happ
y With – King Crimson

キングクリムゾンからもう一曲紹介します。
紹介するのは呪文のような、しりとりのようなタイトルのこの曲”Happy With What You Have to Be Happy With”。
Cマイナーを基調としたヘビーなリフ、サビ部分のタイトルをひたすら繰り返す歌詞、変拍子はプログレッシブロックの醍醐味というべき特徴ではないでしょうか。実際にバンドで演奏してみると、特にサビの変拍子部分を合わせることが難しいのですが、うまくバンドで体現できたときは非常に快感です。
転調後のギターソロはギターオンリーになるブレイク部分の間合いがなんとも言えないタイム感で、目には見えないかっこよさがあります。
変拍子=プログレッシブロックと一言で言うのは浅はかですが、言葉遊びが変拍子とハマり、同じ歌詞の繰り返しでも、単語のアクセントがバンドのオケと上手く混ざることで繰り返すフレーズに深みがある曲です。

まとめ

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