SILENT SIREN × 原宿ASTRO HALL
- the Homeground 第23回 -

ライヴ活動を行なうアーティストの拠点となるライヴハウス。思い入れ深く、メンタル的にもつながる場所だけに、アーティストとライヴハウス、それぞれの目線から出会いや第一印象などを語ってもらった。もしかしたら、ここで初めて出る話もあるかも!?

L→R あいにゃん(Ba)、ひなんちゅ(Dr)、すぅ(Vo&Gu)、ゆかるん(Key)

L→R あいにゃん(Ba)、ひなんちゅ(Dr)、すぅ(Vo&Gu)、ゆかるん(Key)

SILENT SIREN プロフィール

サイレントサイレン:2012年11月、シングル「Sweet Pop!」でメジャーデビュー。通称“サイサイ”として親しまれ、原宿を中心に女子中高生に人気が広がり、15年にガールズバンド史上デビューから最短で日本武道館ワンマンライヴを開催。17年にはデビュー5周年記念日にツアーファイナルとしてバンド初となる日本武道館2デイズ公演を成功させ、18年は自身最多となる33公演のライヴハウスツアーを完走。デビュー6年目を迎え、さらに勢いを増す唯一無二のガールズバンド。SILENT SIREN オフィシャルHP

原宿ASTRO HALLは“悔しい”“もっとこ
うなりたい”という夢も置いてきた場所

初めて原宿ASTRO HALLにSILENT SIRENとして立った日のことは覚えていますか?

すぅ
結成してすぐの2010年かな? その時、ステージに立ってるのはパフォーマーも含めて5人でした。
ひなんちゅ
読モの男の子と女の子がランウェイを歩くようなファッションイベントで。そこに友達が出ていたので、紹介してもらって。出演し始めた最初の頃のイベントはファッションショーとライヴがセットになっていることが多かったですね。
すぅ
その頃、バンドをやってる読モの男の子たちもいたんだよね。
ひなんちゅ
L'Arc-en-CielさんとかRADWIMPSさんとかをコピーしてるバンドがいて、そこに出させてもらってました。その頃からオリジナル曲をやっていたんですけど、自分たちはまだまだ下手くそなのに、お客さんが満員なんですよ。だから、すごい売れているような感覚に陥り…(笑)。SuGさんと一緒にファッションショーがあるイベントに出たりもしてました。そういうシーンが原宿で巻き起こっていたんですよね。

原宿は他のライヴハウスが多い場所と比べるとカルチャーが違いますよね。

すぅ
やっぱり来やすいっていうのはありますよね。ライヴハウスっていうだけで若い子たちはちょっと怖かったり、どういうところなんだろう?っていう不安もあるかもしれないけど、自分がいつもお買い物とかをしている原宿で自分が好きなアーティストが出るってなったら結構入りやすいんじゃないかな。
ひなんちゅ
あんまりライヴハウスっていう感覚がないっていうか、若者が行くには本当に大丈夫?みたいな立地のライヴハウスもあるじゃないですか。ASTRO HALLは原宿のど真ん中にあるので、安心して親も“行っておいで”って言えるような環境だと思いますね。
あいにゃん
うん。原宿にあって良かったなって思います。当時のファン層も雑誌を見て好きになってくれた子が多かったので、中高生の女の子のほうが多かったし。そういう子がすごく行きやすいし、ライヴハウスに初めて行くっていう子たちも受け入れやすいですよね。

読者モデルをしていたこともあって、原宿という土地にも思い入れが深いのでは?

ひなんちゅ
原宿でビラを配ったりしてましたね。“ライヴに来てください!”って言って。その時はサロンモデルや読者モデルをやってたんですけど、“恥ずかしい”っていう気持ちもあったかな。自分たちを知ってる人もいる中、“すいません、バンドやってるんですけど…”って声を掛けても無視されたり…。心が折れながらも、“これをやらなければ誰にも知ってもらえない!”と思って。
あいにゃん
ビラも自分で作ってたもんね。メンバー紹介とかも全部書いて、アメブロのQRも入れて、それをライヴ後に配るっていう。
ひなんちゅ
あいにゃんが手書きで作ってた。確か、“サイサイ新聞”だったよね?

メンバー自らが苦労してフライヤーを配っていた時代もあったのですね。

あいにゃん
はい。そのあとに新宿のライヴハウスで読モとか関係なく対バンを組んだライヴに出た時は、お客さんが4~5人くらいしかいなくて。そこで初めて自分たちの実力を知って…だから、ASTRO HALLに帰るとホーム感がありますね。最初、“原宿発”みたいなことを書かれてたし、そこが原点ですね。
ひなんちゅ
ASTRO HALLのおかげで、“原宿発”って堂々と言えるような環境になったのかな。

ゆかるんさんが加入してからは?

あいにゃん
ゆかるんがクリスマスの時にめっちゃ大きなリボン付けてたのは覚えてる(笑)。
ひなんちゅ
加入してすぐですね。あのツインテールの大きさから想定すると。
全員
(爆笑)。
ゆかるん
その時にピンクサンタの衣装を着てライヴをしたことはすごく覚えてますね。それ以外は、10代の子たちが作る新聞のイベントと『adidas NEO』。
ひなんちゅ
ゆかるんが入ってから、ワンマンライヴも2回やった気がする。
あいにゃん
クリスマス2デイズじゃなかった?
すぅ
やった?
全員
……。

もう記憶が…(笑)。

すぅ
(笑)。じゃあ、ASTRO HALLでのワンマンは4回はやってるってことか。最初にやってた時と比べると、音を出してみても全然違うなっていうのは感じました。自分たちの機材も増えてて、ステージが小さく感じたというか。

そういった変化や進歩も出るたびに感じているということですね。ASTRO HALLでやったライヴで覚えてることはありますか?

すぅ
私、すっごい覚えてるんですけど、号泣したライヴがあって!

どういうことですか!?(笑)

すぅ
音楽的な話ではなかったんですけど。
ひなんちゅ
でも、これ良い話なんですよ!

ぜひ教えてください(笑)。

ひなんちゅ
「吉田さん」(2016年3月発表のアルバム『S』収録曲)は、その時泣いた原因の女の子のことなんです。
すぅ
そうそうそう!
ひなんちゅ
今になって、そういうところにつながってるんです。その時はそうなるって思ってなかったけど…思ってなかったって、私の話じゃないけど(笑)。
あいにゃん
ライヴ直前に泣き出すから、うちらも“どうしよう!?”って思いました。
すぅ
もう号泣だったね。“なんで!?(泣)”みたいな。
ひなんちゅ
前に出ていたバンドに自分の友達がいて、男の子のバンド中で女の子ひとりで歌ってたんですけど、その子は可愛くて、歌も上手くて。うちらはバンド一本でやっていこうと思ってたから、悔しいって気持ちもあったのかな? それで“大丈夫だよ、うちらのほうがカッコ良いから”って励まして、ステージに出たっていう。泣いたのは珍しいね。
あいにゃん
初めてじゃない? ライヴ前にそんなことになったの。
すぅ
…相当嫌だったんですね!
全員
(爆笑)。

すぅさんは、悔しかったのですか?

すぅ
その子は「吉田さん」の歌詞通りすごい良い子だし、すごい可愛くて美人で…本当に高嶺の花だったんですよ。勉強もできて…全負けですよ! でも、結果的にうちらはこれだけ音楽できるようになったし、お客さんとかも応援してくれてるから、最終的に勝ってますけど(笑)。でも、すごく良い経験でしたね。何があんなに嫌だったんだろうか…。
あいにゃん
大人になったね(笑)。

当時のASTRO HALLのスタッフさんについては覚えていますか?

あいにゃん
あんまり音楽的なことを質問されると何も分からないのがバレるから怖くて、あえて自分たちから声を掛けたりすることがなかったんですよね。
すぅ
その時は何も分かんなかったからね。
ひなんちゅ
何回かASTRO HALLに出させてもらって、そんなに深くは話さなかったけど、店長さんは“上手くなったね”とか“もっとこうしたらいいんじゃない?”とか結構言ってくれる人でした。最初はアンプの設定とか、ドラムの設定とかも店長さんとかスタッフさんに“どうやるんですか?”って聞いたりとかもしてて、“まだまだだな”とか思われてたと思います。

そういう経験もしてきて、自信を持って原宿ASTRO HALLのステージに立てた瞬間は?

ひなんちゅ
メジャーデビューが決定しましたっていうのと、当時のメンバーが脱退しますっていうのを同じ日に発表したんですよ。メジャーデビューしますっていう横断幕みたいなのを自分たちで作ったんですけど、それを自分たちのホームのASTRO HALLでできたことがすごい嬉しくて。その時にみんなめっちゃ盛り上がってくれたのが印象的だったし。まぁ、そのあとに脱退を発表して変な空気になったんですけど(笑)。

順番が(笑)。

ひなんちゅ
順番が難しくて(笑)。でも、その時に盛り上がったので自信になったし、応援してくれてる人がいるんだっていうのが分かったので、よく覚えてる。
すぅ
脱退を発表したメンバーがすごい明るかったね。“これからは、うちもファンのひとりとしてサイサイを応援していくから~! よろしく~!”みたいな感じで、めっちゃ軽かった(笑)。
あいにゃん
でも、今思えばわざとだったのかもしれないよね?
すぅ
うん。気遣いだったのかもね。

その時はまだゆかるんさんの加入は決まってなかったのですか?

ゆかるん
そうですね。でも、それはライヴ映像で観ました。“おめでと~!”ってなってたのとかもすごい覚えてる。みんなが泣いてて、脱退するメンバーがすごい笑顔で“泣かないで”みたいな感じになるのも(笑)。

ゆかるんさんは、昔のサイサイの話を聞くとどう思います?

ゆかるん
取材の時に昔の話をよく聞いているので、“頑張ってきたんだなぁ”と思いますね。私はメジャーデビューからだけど、こうやって積み重ねてきてメジャーデビューに辿り着けたっていうのがすごく分かるし、いつも噛み締めてます。
あいにゃん
…噛み締めてます?(笑)
すぅ
噛み締めてる感はないよね?(笑)
ゆかるん
おい!(笑) みんなが頑張ってきたからメジャーデビューできることが決まったし、私はそこにあとから入ったから、その分頑張らなきゃ!っていうのはいつも思ってますね。

では、改めてSILENT SIRENにとって原宿ASTRO HALLとは?

すぅ
ASTRO HALLは、悔しさの塊…私たちの執念がすごく詰まっているので(笑)。あの時に“悔しい”とか、“もっとこうなりたい”っていう夢も置いてきてあります。それを果たしにいつかドカンとワンマンライヴをまたやりたかったのですが、年内で今のかたちでの営業を終了するという話を聞いて、とても寂しい気持ちです。

OKMusic編集部

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