【Bentham ライヴレポート】
『Re: Wonder TOUR 2017』
2017年10月21日 at 赤坂BLITZ
『Re: Wonder』の曲を中心に、この日演奏した全19曲は、以前の“踊れるロック”がもはや幅広いレパートリーのひとつでしかないことを改めて印象付けた。辻 怜次(Ba)と鈴木 敬(Dr)が奏でるソリッドなリズムが演奏をリードする「Heartbreaker」のような力強い曲が増える一方で、須田原生(Gu)がピアノを奏でる曲も「夜明けの歌」に「Sunny」が加わり、長尺のセットにさらにアクセントが生まれた。その2曲と「戸惑いは週末の朝に」のようなじっくり聴かせる曲も実はBenthamの持ち味。
“今回のツアーで感じたこととか、思ったこととか、今日1日かけてぶつけていきたい”と語った小関竜矢(Vo&Gu)は短いMCを挟みながら曲に込めた想いをはっきりとした言葉でも伝えるようになった。また、これまで終盤にやっていたコール&レスポンスを序盤に持ってきたことからも、彼らが積極的に観客を巻き込もうとしていることが伝わり、会場の規模は大きくなったが、逆にバンドとファンの距離は縮まったように思う。この日、“あなたのために存在するバンドになりたい”と小関は語ったが、その想いは今回のツアーでさらに強いものになったようだ。インプロからなだれこんだ「透明シミュレーション」から演奏は一気に加速。“一緒に踊ろうぜ”と小関が訴えかけた本編最後の「パブリック」では観客の合唱が響き渡った。“もっとデカいところを埋めようぜ。このままでは終われない、負けられない。このまま突き進んで、どこまで行ってやるぜ!”という小関の宣言は、ツアーファイナルを新たなスタートに変えたのだった。
取材:山口智男
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