L→R 吉田理幹(Pf&Vo)、佐々木陽吾(Gu&Vo)

L→R 吉田理幹(Pf&Vo)、佐々木陽吾(Gu&Vo)

【The Super Ball インタビュー】
歌っている瞬間は
世界中の誰よりも幸せ――
そんな“音楽愛”にあふれた
3rdシングル

1stアルバムを発売して以降、実に11カ月振りのリリースとなる3rdシングルは、とことんまで音楽と向き合って制作された自信作。自らの弱さも曝け出し、音楽への想いを再確認した「MAGIC MUSIC」は、魔法のように聴く者の心を救う。

約1年振りのリリースで、過去最長の制作期間がかかったということですが、何か理由があったのでしょうか?

吉田
もともと僕ら、ピアノとギターのふたり組なんで生音感が強かったのが、メジャーデビュー後は外部スタッフの参加もあって、打ち込み系の音を使うことが増えたんです。もちろん、おかげで曲のクオリティーはグッと上がったんですけど、1枚アルバムを作ってみた時にいろいろと思うことがたくさんあったんですね。もう1度音楽を勉強し直したい、心の底から“これがいい!”と感じられるものを探し出したいということで、外部の方が提供してくださったトラックも含めて…たぶん100曲以上作ったんじゃないかな?
佐々木
その中から選んだのが今回の「MAGIC MUSIC」なんですけど、もうイントロから一音一音、ここまでアレンジにふたりでこだわったのは初めてでしたね。特に生音感に関してはピアノで始めたり、ホーンを入れてみたりと、頭から最後までこだわり抜いてます。
吉田
今まで打ち込みの音が多かったから、ライヴでどうしても同期を使わないと無理だったのを、ふたりとサポートミュージシャンの生の演奏だけで成り立つようにしたかったんです。この1年で上達した自分たちの演奏力も活かしたかったですし。だから、ふたりの演奏だけのアコースティックバージョンも収録しているんですよ。

要するに、メジャーデビューして周りの力も借りながらグレードアップした音楽を、今度は自分たちの力だけで実現したいという想いがあったんですね。

佐々木
まさしく!
吉田
そうやって音楽と向き合っていく中で、次は音楽の楽しさや喜びを歌いたいと思った時に、この曲のデモトラックに合った雰囲気やコード感なら、それを表現できるような気がしたんですよね。自分たちがピアノやギターを弾いている絵が浮かんで、実際にMVでも僕がピアノを弾いている手元が、かなりフィーチャーされているんです。
佐々木
歌詞もふたりそれぞれ何パターンも書いて、作詞家さんからアドバイスもいただきながら、それこそ本当に1行ずつ仕上げていったんですけど、今回スタッフから“ちょっと内面の弱い部分も出してみたら?”という提案があったんです。確かに僕たちにも弱いところはいっぱいあるんで、そういうところを「MAGIC MUSIC」では普段より赤裸々に出してますね。歌詞を書くって、そういうことだろうと。

それで音楽に救われるまでの若干ネガティブな感情も、Aメロには描かれているんですね。

吉田
ダメなところを見つめ直した上で、心の底から出てくるものを言葉にしたほうが、きっと伝わるんじゃないかと思ったんです。実際、メジャーデビューしてからも悩んだこと、落ち込んだことはたくさんあったし、それでも音楽をやっていると救われるんですよね。
佐々木
中学生の頃、野球の試合でとてつもないエラーをして、もうひと言も喋れないくらい落ち込んだ時も、帰りの車の中で流れていた松任谷由実さんの曲が心にグワーッと入ってきて、ちょっと元気になれたんですよ。人生には辛い時も楽しい時もあって、常に音楽が寄り添ってくれている。それをサビ頭の《カラフルな時》っていうワードで表現したんですけど、もう、この1行目はめちゃくちゃ悩んだ! “これでOK”と決めても、次の朝に見たら“絶対に嫌だ”ってなったり、ほんと100パターンくらい作ったと思う。
吉田
最初は全然違う歌詞でレコーディングしていたのを、終わったあとに歌詞を変えて、また録り直したりもしましたからね。そこまでこだわったから、ヴォーカル録り自体も時間がかかりました。いくらピッチやリズムが合っていても、ちょっとした息の使い方や声色に納得できないと“いや、もう1回!”って。ここまで妥協しなかったことは今までなかったかもしれない。歌い分けも今まで以上に目まぐるしくて、絵的にも観応えがあるから、ぜひライヴで観てほしいです。

そして、カップリングの「人生ゲーム」ですが、いわゆる勝ち組への妬みを交えつつ、本当に“大事なもの=音楽”への想いを歌い鳴らしたロックチューンで、もう共感しまくりました。

佐々木
こんな世の中に対する妬み、ひがみみたいなものを歌えたってことは、僕らもちょっと大人になったのかもしれない(笑)。実際、広告代理店勤務でエリートコースを行く親友がいて、自分もこんなふうに生きてたら僕の通帳は今どうなってただろう?とか考えちゃったんです。それでサビで《差は開くばかりの貯金額》と(笑)。そうやって他人と比べてしまうのは、社会に出るとよくあることなんで、特に社会人に聴いてほしい曲ではありますね。
吉田
華やかな世界にいるって羨ましがられることもあるけど、上手くいかないこともめちゃめちゃあるし、普通に働いて頑張ってる人が羨ましくなる時もある。でも、レコーディングで歌っていたら、音楽に対する熱がどんどん沸いてきて、“いや、絶対に音楽をやってる! 俺の幸せが勝つ!”っていう想いをぶつけられました。
佐々木
実際にライヴをしている間って、ほんとに楽しいんですよ! なので、この曲をライヴで歌う瞬間は“どんな奴らより俺らは幸せだぞ!”っていう想いがこもるし、例え今、ふたりで住んでいる家から、もっと良い家に住めるようになったとしても、「人生ゲーム」を歌う時にはこの気持ちを思い出したいです。
吉田
こうやって内面から沸き出てくる感情を吐き出すということをやってみて、歌い方もまったく変わったし、より音楽を好きになれたんですよ。なので、これからも自分たちが本当にカッコ良いと思うもの、良いと信じるものを発信し続けていきたいですね。

取材:清水素子

シングル「MAGIC MUSIC」2018年1月24日発売 徳間ジャパンコミュニケーションズ
    • 【初回限定盤(DVD付)】
    • TKCA-74607 ¥1,500(税抜)
    • 【通常盤】
    • TKCA-74608 ¥1,200(税抜)
The Super Ball プロフィール

ザ・スーパーボール:佐々木陽吾(Gu&Vo)と吉田理幹(Pf&Vo)によるツインヴォーカルユニット。略称は“スパボ”。2013年結成。2015年から都内ライヴハウスや路上ライヴ活動を本格化させ、レコード会社数社の争奪戦の末、2016年7月にメジャーデビューを飾る。デビュー以来、数多くの楽曲がTVアニメ主題歌、連続ドラマ主題歌、番組テーマソングに抜擢され、ふたりの奏でるメロディーとハーモニーが大きな注目と人気を集めている。The Super Ball オフィシャルHP

L→R 吉田理幹(Pf&Vo)、佐々木陽吾(Gu&Vo)
シングル「MAGIC MUSIC」【初回限定盤(DVD付)】
シングル「MAGIC MUSIC」【通常盤】

OKMusic編集部

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