高橋 優
『世界で一番読まれたい手紙』
- 第2回 僕の稲葉浩志さんへ -

拝啓、『マグマ』というアルバムを世に出してくれて本当にどうもありがとう。繊細さと 自分勝手さを併わせ持つ、世間的に“付き合うのが面倒臭い”とされる僕のような天の 邪鬼の存在を優しく肯定してくれるバイブル、それが『マグマ』でした。


B’z でのあなたの描く詞がヒーローの哀愁であるなら、ソロのあなたが描く詞はよ りパーソナルな哀愁...まるで個人的な感情を綴った日記を見せられているような曲の 連続でした。“自由とは 何かを 知りたい人よ/自由とは ぼくだけに 都合いいことで しょう”“一番大事なところは 上手に逃げる”...月並な感想だけれど、「冷血」の詞は僕 の気持ちを代弁してくれました。


人の身勝手な感情や弱さを唄うには、それを踏まえた強さを持っていなくてはならない と僕は思います『。マグマ』の中に綴られたナヨナヨしいあなたの詞は、同時にあなたの人と しての力強さを物語っています。そんなあなたへの憧れは今尚尽きることがないのです。 いつかあなたを目の前で「冷血」を弾き語りたい。そして曲の終わりにあなたへ直接 ありがとうを言いたいのです。それが『マグマ』を初めて聴いたときから僕の中に芽生 えた、“僕だけに都合いい自由”なのです。 敬具



あなたへの一文字・・・「我」