高橋 優
『世界で一番読まれたい手紙』
- 第5回 僕の西川美和さんへ -

拝啓、あなたという方が映画監督になってくれたことに、本当にどうもありがとう。


『蛇イチゴ』とは、レンタルビデオでのたまたまの出会いでしたが、それを機にあなたの 作品に惚れ込んでからは、『ゆれる』『ディア・ドクター』、どちらも公開初日に劇場に観 に行ったものです。


たてまえキレイ事を抜きにすると、人間関係って面倒くさいことが沢山です。何事も白 黒はっきりさせたがる僕たちであり、なかなか白黒はっきりしづらい僕たちでありま す。ややこしいし、憎たらしい...だけど愛おしい。日常の中に潜む、人の素晴らしさと煩わしさを実に巧妙に物語として仕上げられたあなたの作品は、僕の創作活動におけるひとつの模範解答として勉強させてもらっております。内容は勿論のこと、ほんの少し だけホッとさせてくれる終わり方がたまらなく大好きです。


いつかお会い出来たその時には、是非とも僕の曲をあなたの作品のエンディングテーマに使っていただきたいのです。 敬具



あなたへの一文字・・・「判」