高橋 優
『世界で一番読まれたい手紙』
- 第23回 僕の中沢啓治さんへ -
拝啓 「はだしのゲン」を世に生み出してくれてどうもありがとう。 僕が初めてあなたの作品に出会ったのは小学2年生のときでした。学校の図書館に置かれていた あなたの本が同級生の間で話題となり、どんな内容なのか気になって読んでみたのが最初でした。 まだ何も知らなかった当時の僕は、漫画の中で描写されていることの凄まじさにただただ驚いた ものでした。
同級生の間では「人間が沢山死ぬ残酷な漫画」ということで話題になっておったよう でした。内容は確かに物凄く残酷だったけれど、これが作り話などではなく、実際に今自分が住ん でいるこの国で起こった出来事なのだと理解して再度読み返したのが小学校6年生のときでした。以前に読んだのとは少し違った見え方をしたように記憶しております。
それから中学、高校、大学と、今日に至るまで、何度「はだしのゲン」を読み返したか分かりません。 一度読むといろいろ考えてしまって、すぐにもう一度読み返す気にはなれないのだけれど、しば らくするとまたその「事実」を読まなければいけないような気持ちになり、これまで数えきれない ほど読み返しました。この作品に対する感想を二言三言で簡単に述べることが僕には出来ません。けれど「はだしのゲン」に出会えたおかげで見えてきた景色や唄おうと思えた歌が、僕にはいくつも存在します。
いつかどこかでお目にかかれましたそのときには、どんな状況に置かれても捨てられることのな かったゲンの「生きる希望」について、あなたと話してみたいのです。 敬具
あなへの一文字・・・「希」
同級生の間では「人間が沢山死ぬ残酷な漫画」ということで話題になっておったよう でした。内容は確かに物凄く残酷だったけれど、これが作り話などではなく、実際に今自分が住ん でいるこの国で起こった出来事なのだと理解して再度読み返したのが小学校6年生のときでした。以前に読んだのとは少し違った見え方をしたように記憶しております。
それから中学、高校、大学と、今日に至るまで、何度「はだしのゲン」を読み返したか分かりません。 一度読むといろいろ考えてしまって、すぐにもう一度読み返す気にはなれないのだけれど、しば らくするとまたその「事実」を読まなければいけないような気持ちになり、これまで数えきれない ほど読み返しました。この作品に対する感想を二言三言で簡単に述べることが僕には出来ません。けれど「はだしのゲン」に出会えたおかげで見えてきた景色や唄おうと思えた歌が、僕にはいくつも存在します。
いつかどこかでお目にかかれましたそのときには、どんな状況に置かれても捨てられることのな かったゲンの「生きる希望」について、あなたと話してみたいのです。 敬具
あなへの一文字・・・「希」