高橋 優『世界で一番読まれたい手紙』

高橋 優『世界で一番読まれたい手紙』

高橋 優
『世界で一番読まれたい手紙』
- 第44回 僕の藤 貴子さんへ -

拝啓 『呪怨』にて佐伯伽椰子を演じて下さり、本当にどうもありがとう。

現段階で、『呪怨』に勝る ジャパニーズホラーは誕生していないと僕は考えます。『リング』における貞子の立ち位置がわり とメジャー化し、世間的にも恐ろしい幽霊の象徴として挙げられることがあります。僕も『リン グ』という映画が本当に素晴らしいという点には同意しております。

しかしながら『呪怨』の伽椰子の恐ろしさには、ストーリーどうこう以前に、あなたが演じたから こその恐怖が随所に見受けられるように思います。その“女”の表情や動きは、見ているだけで身 の毛もよだちます。

ここで、僕が最も特筆したい伽椰子の魅力は、よもすると“笑いに転じてしまいそうなほどの奇 怪”を表現しているということに
あります。あまりに突飛な動きをすれば冗談に受け取られ、人に 笑われる恐れがあります。同じく、変な顔をしたり声を出しても一緒です。あなたが伽椰子を表現 する上でやっていることはおそらく、そこまで覚悟の上での振り切った演技なのではないかと想 像します。監督が作り出す劇中の雰囲気やストーリー展開を100%信頼出来たからこそ、あの伽 椰子を表現出来たのではないかと。結果的にハリウッドリメイクまでされた『呪怨』。織り成す世 界観は本当に恐ろしくて見応え十分です。

その恐ろしさも見応えも、あなたが身体全部で表現した伽椰子という女の占める割合が非常に 大きいように僕は考えます。ときどきまた観たくなる。そんな不思議な中毒性さえも含有する『呪 怨』の看板娘ならぬ看板幽霊があなたで本当によかった。エンターテイメントとしての恐怖を、あ なたは体ひとつで世界に知らしめたのです。
いつかお会い出来ましたそのときには、あなたの女優にかける想いを是非僕に教え ていただきたいのです。 敬具

あなたへの一文字・・・「技」
高橋優 プロフィール

タカハシユウ:1983年12月26日生まれ。札幌の大学への進学と同時に路上で弾き語りを始め、08年に活動の拠点を東京に移し、10年7月21日、シングル「素晴らしき日常」でワーナーミュージック・ジャパンよりメジャーデビュー。13年11月には日本武道館での単独公演を成功させた。デビュー5周年迎える15年7月にはベストアルバムをリリースし、同月25日には秋田県の秋田市エリアなかいちにてフリーイベントを開催。高橋 優 オフィシャルHP

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。