いつまでも人々の心の片隅に残り続ける珍曲や迷曲たち。売れることを考えて作られたとは思えない破天荒な作品に、その時代の心の豊かさと歌謡界の度量の大きさを感じる。いまこそ、その真髄を継承すべく、魔法のカルタで拡散!

「出来事」

1981年発表
歌:ヒカシュー
作詞:巻上公一
作曲:海琳正道
編曲:ヒカシュー

「♪出来事が出てこない 出来事ができそこない」ーー発想として到底湧いてこない奇天烈なフレーズ。

曲中このフレーズが繰り返される「出来事」は、アメリアの映画『フリークス』 (1932年公開 監督:トッド・ブラウニング)に感銘を受けて制作されたヒカシュー3枚目のアルバム『うわさの人類』(1981年発売)の収録曲。ラストの「できそこない できそこない」と繰り返す絶叫に近いコーラスが、より摩訶不思議な世界観を作り上げている。

ヒカシューは、1979年、シングル曲「20世紀の終りに」(作詞・作曲:巻上公一 編曲:海琳正道・新井田耕三)でデビュー。メロトロンやリズムボックスを使用したテクノポップを主体とし、P-MODELプラスチックスと共に『テクノ御三家』と呼ばれた。その彼らが、戸川純をボーカルに要すヤプーズの泉水敏郎をドラマーとして迎えて制作された『うわさの人類』ではロック・バンドの様相も呈するようになり、テクノからロックへ幅を広げる。と同時に、個性的で多彩な声、時にコブシを効かせて表現する巻上公一のボーカルがより強調される。曲と詞と声が融合された変幻自在のサウンドは、まるで異空間に引き込まれるような独特の世界観をかもし出している。

作詞を担当した巻上公一は、超歌唱家、即興演奏家、ソングライター、プロデューサー、日本トゥバホーメイ協会代表、<JAZZ ART せんがわ>プロデューサーと、その活動は多岐に渡る。彼がリーダー・ボーカルとして引っ張るヒカシューは、2018年で結成40周年を迎え、唯一無二の存在として活動している。

解説・イラスト:はらめがね

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