『みねこ美根の“映画の指輪のつくり方”』

『みねこ美根の“映画の指輪のつくり方”』

『みねこ美根の
“映画の指輪のつくり方”』
- 第十回 -
「レモニー・スニケットの世にも不幸
せな物語」の指輪

2017年から本格的に活動を開始したシンガーソングライター〈みねこ美根〉が大好きな映画の世界から作り出す紙粘土細工と指輪の制作過程をお見せします。ミニチュア好きな方、アクセサリーづくりに興味のある方は是非見ていってください。指輪はライブ会場にて展示しております。

動画監督・撮影・編集・演奏:みねこ美根

「ジム・キャリーは強烈」
(2004年「レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語(Lemony Snicket’s A Series of Unfortunate Events)」)

 ディズニーの「ファインディング・ニモ」の音楽が怖い。なぜか聞くたびにゾッとする。作曲家トーマス・ニュートンによる楽曲なのだが、実は今回紹介する「レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語」の音楽も担当しているのだ。これを書くにあたって調べてみて初めて知った。映画の雰囲気にぴったりの音楽で、不気味さはトラウマ級だ。脳の中で不気味さとニモがリンクしてしまっていたらしい。ごめんね、ニモ。
 この映画は、13巻から成る小説「世にも不幸なできごと」シリーズの1巻から3巻までの話をもとにしたストーリーとなっている。今回久しぶりに見直してみたら、ジム・キャリーがもうジム・キャリーすぎて困った。原作より騒々しく、おとぼけ感が増してしまっているのだが、あのオラフ伯爵の不気味さには、子どものころ恐怖を覚えた。そして主人公の3姉弟妹を囲む大人のキャストが、ティモシー・スポール(『ハリー・ポッター』のピーター・ペティグリュー)、メリル・ストリープ、キャサリン・オハラ(『ホーム・アローン』のお母さん)、ジュード・ロウ、ダスティン・ホフマンなど、錚々たる顔ぶれ。そして、陰気臭く灰色にさびれた世界観を支える、細やかなセットや丁寧に凝られた衣装に魅了される。

 「ハッピーエンドを好むのなら読まない(見ない)方が良い」というなんともひねくれたうたい文句の通り、両親を亡くした3姉弟妹に次々と不幸が降りかかるのだが、発明家の15歳の長女、読書家で博識な12歳の長男、噛むことが好きな赤ん坊の次女、この優秀な3人が互いを愛し、協力し合いながら出す知恵に毎回わくわくさせられる。(映画自体の構成、演出はまあまあ…ではあるが)この世界観はぜひ楽しんでもらいたい。エンドロール前のアニメが好き。
 私は小学生のとき、この原作シリーズに夢中になった。映画を見たのが先か、本が先か忘れたが、あの時の新刊が待ち遠しい気持ちや、表紙の手触り、想像した世界は忘れられない。物語であると理解していても、どこかで本当にこの登場人物たちが存在しているような気がして、毎回魅力的で秘密めいた作者のあとがきを推理して楽しんでいた。何度も読み返すほど好きなシリーズであったが、小学生の当時、ネットでこの本について調べたところ、大変ショックな記載を見つけた。

 「この作品はレモニー・スニケットというペンネームで作家ダニエル・ハンドラーが書いた子ども向けの小説である」…。これほどまでに残酷な説明書きがあるだろうか。登場人物がこの世界のどこかにいるかもしれないと信じる私のささやかなときめきを打ち砕き、「そんなことを信じるお前は子どもなのだ」と言われたようだった。泣きながら憤怒した記憶がある。でも、どんな物語でも信じることがそれを楽しむ一番のコツだろう。現実を突きつけてやろうと得意げな顔が近づいてきたら、彼らの人生を哀れみ、中指を立てよう。
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指輪:モチーフ…ヴァイオレットの黒いリボン、クラウスの本、サニーが開けた缶詰、
        モンティおじさんのヘビ、あの“目”が描かれた旅行用のかばん、望遠鏡、
        ヒルに食べられるオール
音楽:「VFD」 Thomas Newman(オルゴールver. cover)
みねこ美根 プロフィール

ミネコミネ:東京都出身の現役大学生シンガーソングライター。幼少時よりバレエ、ピアノを習い、6歳の時にピアノで初めて作曲。11歳からはギターでの作曲を開始し、現在はピアノとギターを用いて活動中。映画をテーマにデザインした指輪の制作なども行なっている。みねこ美根 オフィシャルHP

OKMusic編集部

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