ナイン・インチ・ネイルズ、3部作の最終章となる新作『バッド・ウィッチ』を遂にリリース

ナイン・インチ・ネイルズ、3部作の最終章となる新作『バッド・ウィッチ』を遂にリリース

ナイン・インチ・ネイルズ、3部作の
最終章となる新作『バッド・ウィッチ
』を遂にリリース


グラミー賞2度受賞、全世界で通算3000万枚以上のアルバムセールスを誇るモンスター・バンド、ナイン・インチ・ネイルズが3部作の最終章となる新アルバム『バッド・ウィッチ』を遂にリリースしました。


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2016年12月に突如EP『ノット・ジ・アクチュアル・イベンツ』をリリースし3部作となる作品の発表を宣言。2017年7月にも突如EP『アッド・ヴァイオレンス』をリリースしファンからは新アルバムのリリースが待ち望まれていました。新アルバム『バッド・ウィッチ』は初期ナイン・インチ・ネイルズを思わせるパンキッシュで暴力的なビートにサックスやトレント・レズナーのシャウトが響く重量級のトラックなどを収録した快心のアルバムとなっています。


トレントとアッティカス・ロスは当初3部作の大枠のストーリーを考えていましたが、アルバムの制作を進める内に構想の変更を行ったと言います。「すべてをひとつの糸で繋ぐアイデアが初期にはあったんだけど、最終的に俺たちどちらもそれがコンセプト的にあまりエキサイティングじゃないと感じたんだ」、「適切なボックスにチェックマークを入れるのが自分たちのやるべきことだ、とは感じられなかった」とふたりはコメントしています。


「ここで俺たちは、悟りが幻想だったって言っている。俺たちはなにか高尚な超越した存在なんかじゃなく、ただの瓶の中に閉じ込められたバクテリアだよ」とトレントは新アルバムのアイディアに関してコメントしています。


今年8月に開催されるSONICMANIA 2018にヘッドライナーとして出演、更にはサマーソニック出演(大阪公演のみ)が決定しているナイン・インチ・ネイルズが5年振りの新アルバムで堂々の帰還を果たします。



オフィシャル・バイオグラフィー


二十歳の頃に住んでいた部屋の、世間から隔絶されたプライベートな感覚を、トレント・レズナーは今も覚えている。何人ものレコードマニアたちに混じって徹夜で並んで買った、新品のLPレコードを透明な袋から引き抜くときの感覚を。着信ベルの音に邪魔をされないよう、本体から受話器を外した電話機が発していた音を。そうして準備を整え、即席でスピーカーを積み重ねて作った壁の前についに腰を下ろし、真新しいレコードに落とした針がレコードの溝にはまって立てる微かなノイズを。「ただそこに座って、耳を傾けるんだ」と彼は思い起こす。「レコードを再生しながらアルバムのジャケットを眺め、それが何を意味しているのか考えながら」。溜息をつく。「そうするのが大好きだった」。


レズナーがその当時を恋しく思っている、と言うのは少し違う。なにしろここで話しているのは80年代のクリーヴランドのことだ。「音楽を聴く以外に、することなんて本当になかったんだ」と彼は言う。しかし彼は、その当時の音楽の消費の仕方に存在していたひっそりとしたプライベートさ、レコードを買うという行為へ我々が抱いていた情熱、そしてそれらのレコードを作ったミュージシャンたちに感じたミステリアスさを恋しく思っている。「これは現代の生活がろくでもない、って決めつける話じゃないんだ」と、笑いながら彼は強調する。「俺はただ音楽に向けられていた集中力と、音楽が果たしていた役割を恋しく思うだけだよ――自分自身の人生においてもさ。なにしろ、俺自身だって最後に腰を据えて、携帯を見たりせずにアルバムを最初から最後まで聞き通したのはいつだったか思い出せない。カルチャーや生活や社会が時代とともに変化したのはもちろんだけれど、もしも当時から無限にレコードを持っていてそこにスキップボタンがあったら、俺の人生を変えたレコードの多くでさえ1曲目を30秒以上聴くことなくスキップしていたと思うね」。


少し前までのレズナーは、こういった類のセンチメンタルな話を恥ずかしいものか、場合によってはクリエイティヴなプロセスの敵だとさえ思っていた。「俺はノスタルジックな人間じゃなかったんだ」と、頭を横に振りながら彼は言う。「いつも前を向くことだけを考えていた」。しかし、2016年の『ノット・ジ・アクチュアル・イベンツ』リリースから昨年の『アッド・ヴァイオレンス』リリース、そしてレズナー曰く"アルバム三部作"のクライマックスとなる6月22日リリース予定の今作『バッド・ウィッチ』に至るまでの数年間で、何かが変化した。過去は戻りたい場所としてではなく、そこにあった要素を取り出し、インスピレーションを受ける場所として、再び魅力を放つようになった。それは、秋に予定される"Cold and Black and Infinite"ツアーのチケットを、実際にショウが開催される(それもアリーナ級ではない)ヴェニューのボックスオフィスで対面のみで販売するなどといった実務的な面においても、音楽そのもののサウンド面においても反映されている。「これらのアルバムには自己言及的な感覚がある」と、この三部作についてレズナーは語る。「そして新しい種類の攻撃性も」。とはいえ実際、これは古くからある種類の攻撃性、そしてそれに纏わる憤怒や暴力、危険、不安といった要素を全て、新しいレンズに通したものだ。その結果生まれたのは、決定的に新しく――どの作品も新鮮なサウンドと戯れ、全く新しい物語を語っている――それでいて疑いようのない馴染み深さをもったミニアルバムの集合体だ。『バッド・ウィッチ』は、聴く者を掻き乱そうと目論んでいる。このレコードは人前で聴くには強烈すぎると感じた、と私が告白するとレズナーは、少しシャイな笑みを浮かべながら「また一人やっつけたな」といたずらっぽくジョークを飛ばす。「任務成功だ」。


やがて『ノット・ジ・アクチュアル・イベンツ』に収録されることとなるトラックの数々の制作のため、レズナーと彼の長年の作曲パートナー、アッティカス・ロスが2016年にスタジオに入ったとき、彼らが最後にナイン・インチ・ネイルズとしてのレコードを作ってから3年以上が経っていた。しかしスタジオ入りするとすぐに、彼らがまたナイン・インチ・ネイルズの新たな傑作を作ろうとしていることが明白になった。ただし今回は、『ザ・ダウンワード・スパイラル』のような幾つものパートからなるひとつの壮大な物語としてではなく、複数に分かれた作品を一つずつリリースすることになった。「今回はもっと直球なものになる」と思ったと、レズナーは振り返る。「そしてアドレナリンのレベルと勢いがより長続きするだろうと」。第1話は怒涛の勢いでやってきた。「もしも自分の人生にマッチを擦って、何もかもが燃え尽きるのを受け入れたらどうなるだろう、という内なる夢想」だと、レズナーは自身の観念的なインスピレーションを説明する。その感覚にマッチしたサウンドは、言うまでもなく強烈だ。そして意識的に自己言及的でもある。「あのストーリーは俺たちが興味を惹かれていたもの、たとえばアグレッシヴな音楽だったり、あるいは過去のアルバムを見てそのアートデザインから一部の要素を抜き出したり、っていうことと合致していたんだ」とレズナーは言う。「俺はそういう過去のレコードのこととかを考えていて、どんな理由であれもう二度としないと決めていた、ギターを弾くことを試してみた......そしたら、うわっ、めちゃくちゃ良いじゃないか!って気づいたよ」。


『アッド・ヴァイオレンス』では、そのストーリーは拡大し幅を広げていった。「アイデアとしては、物事の説明はよりグローバルでズームアウトしたものなんじゃないかってことだった」とレズナー。「もしかすると俺たちはみんなシミュレーションの中にいるのかもしれない。それが、どうして何もかもがズレているように感じられるかということの説明として、無意味さという概念を導入してくれるんじゃないかって」。こうしたイデオロギー上の美的感覚に合わせ、レズナーとロスは暴力的なほどのノイズにすべてを賭けることにした。それらのトラック作りが上手くいくと、ナイン・インチ・ネイルズは幾つかのショウでプレイすることにし、それらのショウが上手くいくと、今度はそれにインスピレーションを受けた彼らは年末に短期間、再度スタジオへと戻った。「ショウの勢いを維持したまま戻ってきて、さあスタートするぞ!考えすぎず、いろいろ試してみよう!っていうスピード感を持ち帰ってこようとしたんだ」とレズナーは言う。「最初の2作は、音楽的な目標の点でより明確なスタートポイントがあったんだ」とロスが付け加える。彼らはまず、自分たちの以前のセッションから、未完成のサウンドの一部を集めたという。「歌詞のない曲をスタート地点にするのはエキサイティングだった」とレズナー。「馴染みのある感覚がしたんだ」。しかし蓋を開けてみれば、その馴染み深さが問題だった。「結果的にそれらのトラックは、自分たちが以前の作品で選ばなかった曲みたいに感じたんだ。それってもしかしたら良いことかもしれないって?まあ、良いかもしれないけど」とレズナーが振り返ると、「実験的というよりも、機械的な感じがしたんだ」とロスが説明する。


その結果学んだのは、レズナー自身が、苛立つくらいに繰り返し学んでは学び直すという教訓だった。自分自身がどこに向かっているのかはっきり分かるときは、その方向に進むな、というものだ。「自分自身にもっと頻繁にそのことを思い起こさせられたらいいのにと思うよ」とレズナー。「いずれまた、全てがクリアになって、自分をまた型に嵌めてしまったって気づく瞬間が来るんだからさ。俺にそういうやり方をしなきゃいけないって誰も言っていないんだ。どんな方法でも自分のやりたいようにやることができる。だからそんな型投げ捨てちまえばいい。お馴染みのものなんかに手を伸ばしちゃだめだ。リセットして、もっと広げるんだよ」。今回それは、レズナー自身が二度とやらないと思っていたこと、ギターを弾いたり、サックスを手に取ったりすることを意味した。また、馴染みのあるものを求めてしまう逃れがたい自分自身の傾向に対する怒りを原動力に、超高速で荒々しく尖ったビートをたたき出すことを意味した。「これはすごく良いか、あるいはとんでもなくクソだ」と、彼はそうした瞬間のことを思い返しながら言う。「誰にも分からなくていいんだ」。


これこそあなたが『バッド・ウィッチ』で聴くことになるものだ――どれもが緊迫しどこかネジの外れた、それでいてどれもが全く違う6曲。それぞれのトラックにおいて、異なったバリエーションの歯ぎしりするような衝動的で不協和音のノイズが、唯一すべてに共通するニヒリズムでつなぎ合わされている。"陳腐、無意味、時代遅れ、的外れ、無知の賛美、無理だと分かっているのになぜ変えようと努力する?"と、「Ahead of Ourselves」でレズナーは絶叫する。3曲目の「Play the Goddamn Part」には歌詞が一切なく、破壊されたベースラインと不気味なストリングスの引きずるような鼓動が、やがてデス・スターの廃棄物圧縮機の中で演奏するフルオーケストラのようなサウンドへと昂揚していく。


またレズナーは当初、この三部作の大枠のストーリーに異なった、おそらくはより満足感のあるエンディングを用意するつもりだった。『アッド・ヴァイオレンス』から"ズームアウト"し、"そのマトリクスにさらにもう一つのメタ・レイヤーを加える"ようなものだ。そうした気持ちよく(ひどく残酷であるにしろ)包括的な、我々の集合的な現実世界の全体像こそ、彼が望んでいた結論だった。しかし、その引き金を引くことが彼にはできなかった。「すべてをひとつの糸で繋ぐアイデアが初期にはあったんだけど、最終的に俺たちどちらもそれがコンセプト的にあまりエキサイティングじゃないと感じたんだ」とロス。「適切なボックスにチェックマークを入れるのが自分たちのやるべきことだ、とは感じられなかった」。音楽面でもそうだったように、レズナーが長い間自身の心の中に抱いていたものを実際に作ろうとし始めると、どうにも型にはまって、小綺麗すぎ、既にやったことのあるもののような感覚がして仕方がなかった。そこで彼らは180度方向転換をする。説明の真逆をいき、答えも意味も存在しないところを目指した。「ここで俺たちは、悟りが幻想だったって言っている。俺たちはなにか高尚な超越した存在なんかじゃなく、ただの瓶の中に閉じ込められたバクテリアだよ」とレズナーは笑う。「まあ、そんな感じの陽気な真相暴露さ」。


しかし、それでいて『バッド・ウィッチ』の最終トラック「Over and Out」は、アルバム中の他のどの曲に負けないほど苦みばしって悲惨でありながら、トレントが最初に"I just want something I can never have"と歌ったときからずっとナイン・インチ・ネイルズの音楽の核に存在し続けてきた、理想主義と絶望との間のダンスがここにも感じ取れる。"Time is running out, I don't know what I'm waiting for. I think this keeps happening over and over again. I feel like I've been here before, over and over again,(もう時間がない、俺は自分が何を待っているのか分からない。同じことがもう何度も繰り返し起きているような気がする。自分がもう何度も繰り返しここに来たことがある気がする)"そして"Am I remembering you correctly?(俺はお前のことを正しく覚えているか?"、"俺はいつだってお前より10年先を走ってきた"と彼は歌う。彼は誰に語り掛けているのだろう?レズナーはそれを言わない。しかしはっきり分かることは、『バッド・ウィッチ』の世界がいかに無意味で粗削りだとしても、少なくともそこでレズナーは独りではない。そして私たちも、そこで独りではないのだ。



SONIC MANIA 2018


2018年8月17日(金)
出演アーティスト:ナイン・インチ・ネイルズ、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、コーネリアス、電気グルーヴ他
会場:幕張メッセ
http://www.sonicmania.jp


SUMMER SONIC 2018


2018年8月18日(土)/ 8月19日(日)
出演アーティスト:ベック、ナイン・インチ・ネイルズ(大阪のみ)、ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バード、チャンス・ザ・ラッパー他
東京:ZOZO マリンスタジアム&幕張メッセ
大阪:舞洲 SONIC PARK(舞洲スポーツアイランド)
http://www.summersonic.com


企画・制作・招聘:クリエイティブマン・プロダクション


Bad Witch by Nine Inch Nails
ナイン・インチ・ネイルズ「バッド・ウィッチ」
発売中
The Null Corporation
HSU-10208

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アーティスト

Hostess Entertainment

独立系音楽会社Hostess Entertainmentがリリースする数々のアーティスト情報、そしてタッグを組むYnos(イーノス)が行っているライヴ公演シリーズ「Hostess Club」の情報をお届けします。

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