【ライヴレポート】
『LUNATIC FEST. 2018』
2018年6月23日 at 千葉・幕張メッセ
■ GLIM SPANKY ■
2018年6月23日 at 『LUNATIC FEST. 2018』(GLIM SPANKY)
5月に単独での日本武道館公演を成功させたとはいえ、この日のMOTHER STAGEは
GLIM SPANKYにとってこれまでで最大規模のステージであった。ライヴハウス時代にSUGIZOと知り合い、海外のバンドのライヴ会場でも再会するなど、シンパシーを感じ、絆を強くしての出演となった今回。1曲目の「アイスタンドアローン」が“荒野を進め!”と言わんばかりに、同曲の擁するアーシーなサウンドと松尾レミの歌声を会場中に広がらせていく。続く「END ROLL」ではパーカッシブなビートがフロアーを踊らせにかかり、映画『ONE PIECE FILM GOLD』主題歌としても知られる不穏な雰囲気を纏ったワイルドなロックナンバー「怒りをくれよ」で沸かせると、松尾の歌い出しから始った「闇の目を凝らせば」ではギターの亀本寛貴を中心とした不思議な浮遊感のあるサウンドがゆっくりとそのサイケさを浸透させていく。後半ではSUGIZOが呼び込まれ、ツインギターにて「愚か者たち」をプレイ。“お前なら、さぁどうする?”とアシッドなロックで詰問してきた同曲。ここでは普段あまり聴けないSUGIZOのアーシーなギターも楽しめた。ラストはデビュー前より歌ってきたという「大人になったら」。今やすっかり大人になった現在でも変わらずに自分探しをしている感のある同曲は、まるで集まった多くの人を映す鏡のようにも響いた。
text by 池田スカオ和宏
- 1. アイスタンドアローン
- 2. END ROLL
- 3. 怒りをくれよ
- 4. 闇に目を凝らせば
- 5. 愚か者たち(with SUGIZO)
- 6. 大人になったら
■ シド ■
2018年6月23日 at 『LUNATIC FEST. 2018』(シド)
クラップに迎えられて登場した
シドのステージは「青」からスタート。Shinjiが爪弾くアコギにマオのウエットな歌声が乗り、しっとりと始まるが、ドラムのカウントでノリのいいバンドサウンドに。そのままポップチューン「V.I.P」でイニシアティブを握って観客を扇動すると、“リスペクトの意味と感謝の意味を込めて”と
LUNA SEAの「I for You」をカバー。マオの艶っぽいヴォーカルであり、明希のずっしりと響くのベースが映えるナンバーで観客を魅了…と、そこにご本人、RYUICHIが登場! この場にいる者全てが、その魅惑的なツインヴォーカルに酔いしれたことだろう。“シド、15周年おめでとー!”と言い残してRYUICHIが去ったあと、“緊張した〜。でも、一生の思い出ができました!”とマオ。そして、ここからは緊張感から解放された4人の独せん場。憂いあるメロディーのポップチューン「嘘」、ジャンプを誘った爽快な夏ソング「夏恋」と畳み掛け、フロアーいっぱいに笑顔を咲かせる。さらにアッパーな「one way」で会場をひとつにし、ラストは濃厚なラブソング「眩暈」。Shinjiのファンキーかつスリリングなギターとゆうやのダイナミックなビートが絡む、ヘヴィでタフなミディアムサウンドが会場のテンションを際限なく引き上げ、大団円を迎えたのだった。
text by 土内 昇
- 1. 青
- 2. V.I.P
- 3. I for You(LUNA SEAカバー/with RYUICHI)
- 4. 嘘
- 5. 夏恋
- 6. one way
- 7. 眩暈
■ DIR EN GREY ■
2018年6月23日 at 『LUNATIC FEST. 2018』(DIR EN GREY)
ここで場内の空気をガラリと一変させたのが
DIR EN GREY。最新シングル「人間を被る」での幕開けから目を背けたくなるような映像と圧倒的重低音とのコラボレーションで、人間の秘められた深層心理を抉り出し、白日の下に曝け出してオーディエンスを戦慄させていく。もちろんMCもなければ、中盤には未音源化の新曲「Ranunculus」を披露したりと、初見者の気を引こうという色気はゼロ。どんな状況であろうと己の信じた道を貫く…そんな彼らの姿勢が極まったのがラスト前の長編「VINUSHKA」だ。第二次世界大戦にまつわる画を映し出し、その歌声を静かな囁きから激情迸る叫びへと昇華させた京(Vo)の放つ“此処が真実だ!”の言葉は、万全の説得力を伴って“かかってこい!”の煽りとともに無数の腕を振り上げさせる。そして、真っ赤なライトを浴びた京の背後でリトルボーイが落下し、傷付いた人々の映像は現代の戦争へとつながって、人間の愚かさを剥き出しに。そのあまりにも先鋭的な世界観ゆえに、さまざまな趣向を持つオーディエンスの中には受け入れられないと感じた人も少なからずいるだろう。だが、自分が理解できないものがこれだけの熱狂を呼ぶのだと目の当たりにすることは、生きる上で重要な意味のあることだ。そんな経験を与え得るのもまた、ジャンルも世代も超えた巨大フェスの大きな意義であったに違いない。
text by 清水素子
- 1. 人間を被る
- 2. Sustain the untruth
- 3. THE FINAL
- 4. audience KILLER LOOP
- 5. 新曲
- 6. 孤独に死す、我に孤独。
- 7. VINUSHKA
- 8. 詩踏み