【夜の本気ダンス インタビュー】
自由にやっても根底には
共通する儚さが!?
前アルバム『INTELLIGENCE』でも新たな夜ダンを感じられたが、それを経ての4thシングル「Magical Feelin'」はさらなる進化を遂げている。完全限定生産盤のみ収録の「Crazy Dancer(POLYSICS 午後の本気TOISU Mix)」もすごいです。
今回のシングルも攻めた内容になってますね。
米田
タイトル曲の「Magical Feelin'」はそれこそ初めての試みで、僕たちがレギュラーでやらせてもらってたラジオ番組(J-WAVE『THE KINGS PLACE』)の企画が取っかかりなんですよ。リスナーのみなさんと一緒に曲を作るというか。“ラジオ”や“夜の本気ダンス”からイメージできる歌詞になりそうなフレーズを募集して、そこから曲を膨らませていって。前からそういうことはやってみたかったんです。
鈴鹿
「Magical Feelin'」は僕が大好きな銀杏BOYZに近い熱量を感じて、自分らしく全力でぶちかませる曲やなと思いました。ほんまはね、もっとドラムセットに飛び込んだりもしたいんですけど。
マイケル
そうなん? ええよ、自由に飛び込んでもらって(笑)。
鈴鹿
2年前くらいに一度だけやったことあるけど、観てる人みんな“鈴鹿さん、なんかおかしくなってしまったんやな”的な反応だったやん! おまけに米田のVOXのアンプが2回転する惨事で。
米田
しかも、ドラマーが定位置から自ら突っ込むっていう。ニルヴァーナのジャケでカート・コバーンもやってるけど、普通はフロントマンがやるもんや(笑)。
確かに(笑)。じゃあ、今回は曲作りのスタートからして違ったと。
マイケル
レコーディングまでの時間も余裕があったほうで、特に「Music For Life」はベースラインを作り込んだものにできました。ちょっと独特のグルーブ感になってるんですよ。
鈴鹿
「Music For Life」は西田が打ち込みでドラムパターンを作ってきて、それを生で表現していく工程が初めてで難しくもありつつ、“西田やったらこう叩くんやな”みたいな発見もあって楽しく取り組めましたね。
米田
タムを使うリズムは今まであまりやってなかったんですけど、そこを西田が推してくれて。
西田
“これをこのまま叩いてくれ”って感じで結構細かく提案しましたね。
米田
アコギを入れるのは僕が提案したから、アイデアが良い具合に混在してます。作品ごとにBPMは落としていってるんですよ。これはなんぼやっけ?
米田
僕らの中ではかなり落としてるほう。「Crazy Dancer」は180くらいやから。今回の完全生産限定盤に収録のミックスはPOLYSICSのハヤシさんってのもあって、振れ幅がすごいことになってます。
西田
いろんなアプローチの曲があるけど、根底にはどれも哀愁というか、共通する儚さをはらんでる気がしますね。一本筋が通ったことをやれてるのかなと。
米田
前回のアルバムで曲と曲をメドレーっぽくつないだりとかいろいろ考えた分、今回は自由にやりたい曲をやったけどね。
今やりたいことがどんなかたちで曲に出ましたか?
米田
「Magical Feelin'」に関してはほんのりシューゲイザー感というか、うるさく歪んだギターが鳴ってながらもキャッチーに仕上げたくて。最近になってSUPERCARとかを聴き始めたことが大きいですね。そう言えば、銀杏BOYZもやかましいのにさわやかみたいなところあるな。
鈴鹿
Aメロのドラムが歌詞の通り、駆け出してるやろ? ええ感じで忙しない。サビもポップに聴こえるけど、熱がこもった8ビートにできたんとちゃうかな。
西田
リバーブとディレイをかけまくってるから、ちょっとギターが引っ込むんですよね。でも、抜けが良くなるようにL/Rを振り分けたり上手く調整して。
「Magical Feelin'」のイントロもあまりなかった感じですね。夜明けっぽいイメージで。
マイケル
ああいうフェードインはほぼなかったですね。
米田
深夜にラジオで流れたら気持ち良いような曲調は意識したんですよ。学生の時にAMラジオをよく聴いてたんで、あのノイジーなモノラル感、あれを表現したくてシューゲイザーにつながったところもあります。
鈴鹿
このイントロもタムが活きてる。僕、あまりタム叩かないタイプなんで新鮮です(笑)。
米田
「SHINY」(2017年4月発表の2ndシングル「SHINY E.P.」収録曲)とかに比べたら、やっぱり何かと大人っぽいねんな。2番のAメロの歌詞なんてこれまで以上に儚い。
何かしらの殻を破りたい想いも3曲を通してより強く感じました。
米田
そうですね。「Music For Life」「KIKI」は歌詞で結構苦労しました。表題曲とは異なる側面も見てほしいとも考えてたら、ダークサイドに追い込まれる感じが出ましたね。まさに“生きるために音楽をやってるのか、音楽がやりたくて生きられてるのか”みたいな。メジャーで活動する中で自由にやらせてもらってるとはいえ、しがらみを覚える瞬間もあったりして、追い求めていけばいくほど出てくる葛藤だと思います。
「KIKI」はどうですか?
米田
ダークな中でもThe Birthdayの「KIKI The Pixy」みたいなストイックな曲をやりたかったんですよね。それと、グランジというよりは90年代のオルタナティブロック。そんなイメージで作りました。
マイケル
できるだけ無骨な感じで、明るくならないように。
鈴鹿
そうやな。これは我慢したほうがええ曲。ビートのテンション感とかで変化を付ければ活きると思った。
西田
アウトプットの仕方はいくつも考えられるけど、「KIKI」に関しては何かをしようとするんじゃなくて、ギターを持ってこのグルーブを感じられるかどうか。それを受けて閃いたフレーズをバン!と出しました。
「Crazy Dancer」のハヤシさんのリミックスも最高ですね。
マイケル
僕らの結成10周年イベント(『O-KAGE-DOSS!10th Anniversary!』)にDJで出てもらった時、「Crazy Dancer」のリミックスをかけてくれたんですよ。それは今回のバージョンとは違う、LCDサウンドシステムとのマッシュアップでしたけど、ものすごくカッコ良かったので、改めてお願いさせていただいて。いやー、ほんまに感慨深い!
米田
クレジット入れなくても一瞬でハヤシさんって分かるもんな(笑)。
取材:田山雄士
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シングル「Magical Feelin’」2018年8月8日
Getting Better Records
- 【完全生産限定盤】
- VICL-37420 ¥1,500(税抜)
- ※スペシャルブックレット付
- 【通常盤】
- VICL-37421 ¥1,200(税抜)
ヨルノホンキダンス:2008年に結成された、京都出身の4人組ダンスロックバンド。踊れて泣ける100パーセントのダンスロックとライヴパフォーマンスを武器に着実に支持を獲得し、全国のイベントやフェスに出演を果たす。満を持して、16年3月9日にアルバム『DANCEABLE』でGetting Better Recordsよりメジャーデビュー。同年9月をもってギターの町田建人が脱退し、10月に西田一紀が加入。夜の本気ダンス オフィシャルHP
「Magical Feelin’」
MV(YouTube Ver.)