【ゲーム実況者わくわくバンド
インタビュー】
この曲を演っている最中は
よりパワフルになれる
エンタメのひとつとして近年人気急上昇な“ゲーム実況”。その人気実況者たちがバンドを組みCDを発売!…とは言え侮るなかれ、彼らは楽曲のクオリティーも演奏能力も高い。そんなゲーム実況者わくわくバンドがニューシングル「シグナル」(PS4ゲーム『NARUTO TO BORUTO シノビストライカー』イメージソング)をリリースする。
ゲーム実況者たちによるバンドと聞いてゲーム音楽などを想像してましたが、実際はかなりカッコ良いロックバンドですね。
フジ
名前に“ゲーム”こそ付きますが、ゲームを意識した曲はほぼないですから。当初は若干ピコピコした曲もあったけど。やりたいこと、歌いたいことをやらせてもらってます。
せら
もちろんみんなゲームミュージックも好きですが、それ以上にバンドが好きなんで。それが歌やサウンドに表われている感はあります。
湯毛
もともとロックバンドをやりたい! やろう!と始めたバンドでしたから。メンバーもメタルやV系、アニソン等々、みんなさまざまなタイプのロックバンドの経験者たちで。“ゲーム実況者が集まってロックバンドをやっている”という認識がありがたいです。
何か目指していた音楽性はあったのですか?
湯毛
キャッチ―で伝わりやすいものというぐらいで、特にはなかったですね。こんなバンド名なので、いい意味で蓋を開けた時に何か新しい出会いをもらえたら嬉しいな…ぐらいで。曲はバンド経験の少ない、せらさんが作るところもまた面白い話で。
せら
基本打ち込みで作るんで、ついつい生で演奏する概念が欠落しちゃいがちですが(笑)。
湯毛
キーやレンジもすごく幅広く、音も詰まっていて息継ぎができない曲もあったりで。お陰さまでかなり鍛えられました(笑)。
フジ
そう、結果的にそれが逆に自分たちを鍛錬させてくれた部分もあって。ここまでこれたのも、せらさんの作曲やアレンジ能力があってこそです。
あと、どこかみなさんにはこの趣味に背徳感を持っていたり、他人に大きな声で言えない人たちの想いを背負っているように感じるのですが。
湯毛
前作のシングル「デンシンタマシイ」でより広がりも出て、いろいろな方の想いを代弁したり背負ったりという経験もさせてもらったんで、それによる自覚は芽生えた気がします。なので、今となっては逆に“ゲーム実況者”を掲げていることが良かったかなと。
フジ
そうそう。“このバンドで初めてライヴを経験しました”って方もちらほらおられますからね。
湯毛
そのライヴ初体験が我々って重くもあり嬉しくもありで。そういった使命感を逆に今は感じています。もともとは実況者なので、ライヴでは演奏だけでなく喋りも長いですが(笑)。
その“背負う”との気概は今回のニューシングル「シグナル」からはより強く感じました。以前の“一緒に行こうよ”から“俺たちに付いてこい!”的な使命感やリーダー感が滲み出ているというか。
湯毛
今回に関しては『NARUTO TO BORUTO シノビストライカー』というゲームのイメージソングである面が大きいですね。このゲームを僕らなりに解釈して曲を作った…このゲームありきで、まずはせらさんに曲を作ってもらったんです。
フジ
楽曲提供ということもあり、みなさんよりも早くゲームをプレイできたので、その世界観を活かした曲を作ってもらいました。
せら
疾走感があってパワフルなゲームであることを分かった上で作ったので、自ずと力強い曲になりましたね。この曲の雰囲気と僕らのバンドの勢いみたいなものがリンクしていると感じてもらえたら嬉しいです。
「シグナル」は疾走感とドライブ感にあふれた楽曲ですもんね。
せら
これまで僕が作った中で、もっともみんなから褒められている曲です(笑)。すでにライヴでも演っていますが、この曲を演っている最中は僕らもよりパワフルになれるんです。
フジ
どんなに疲れていても、この曲を始めると元気になりますからね。まっ、終えたあとのツケもその分、すごいですが(笑)。プレイ後はちょっとブレイクしないと(笑)。
湯毛
メンバー全員、この曲を演っていると力が込み上がってきますからね。あとは、自分たちでも自信みたいなものが多少は感じられるようになったかなって。
歌詞や歌はいかがでした?
湯毛
これぞ僕たちの真骨頂でしょう。僕はもう、このような少年漫画チックなバトルものとか大好物で。ストレートなバトル、勝利、仲間…といった僕たちの得意なものが全て揃ってますからね、この曲には。聴き手も“待ってました!”って方が多いんじゃないかな。せらさんがかなり疾走感のある楽曲に仕上げてくれたんで、それらに僕の中で持っていたイメージをストレートに合わせてみました。もともと僕たちはドライブ感のある曲が得意なので、その辺りがより映える曲になったかなと。
カップリングの「てのひらジャーニー」と「感状線」もそれぞれタイプはさまざまですね。
湯毛
「シグナル」がかなりの高カロリーなので、他はバランスも考えながら。「てのひらジャーニ―」は3曲の中でも最後にできた曲なんですけど、“さわやかでポップな曲”とリクエストをしたんです。ここらでみんなが笑顔になって、肩肘を張らずに楽しめる曲が欲しくて。
せら
できるだけアレンジもシンプルにしたかったんですが、そうはなりませんでした(笑)。思いのほか癖のある演奏に仕上がってしまって。とはいえ、これまでの自分たちにはない新しいタイプの楽曲ができたとは自負しています。
「感状線」は?
せら
この曲は憂鬱な世界観に浸ってノッてほしいですね。
湯毛
雰囲気はちょっとダークな感じを醸し出しつつ、ヴォーカルはストレートに押し切ってます。で、この曲の歌詞に関しては吐き出しでしかない。譜割もむっちゃ詰まっていて歌詞の情報量も多いんで、特にサビは歌も大変でした(笑)。これはせらさんの良いところでもあり、悪いところでもあって。
せら
(笑)。
湯毛
ヴォーカル殺しの曲ですよ、これは(笑)。まっ、“これを歌いこなせ”ってことなんでしょうが。僕なんてライヴ中、この最後の部分をロングブレスで歌い終えて一瞬目の前が白くなりましたから(笑)。でも、それもこのバンドの魅力なんでしょう。最終的にはみんながなんとか片付けていくバンドですからね、うちらは。
せら
やればできるじゃん!って(笑)。
湯毛
“惹き付けている感”に“明るい応援歌”、それから“吐き出し系の鬱”と、今回のシングルはいくつ人格があるんだよって(笑)。人格が全て違うように映るかもしれませんが、この幅と表現力がうちらの強みでもありますから(笑)。
取材:池田スカオ和宏