Creature Creature 撮影・大島康一

Creature Creature 撮影・大島康一

Creature Creature、「休眠」――最
新ライブレポート&“休眠の理由”を
語るMORRIEロングインタビュー

7月8日東京・新宿ReNYにて、Creature Creature「Beyond Light & Lust」ツアーファイナル公演が行われた。本記事では、ライブレポートと、MORRIEへのアフターインタビューを掲載する。

7月8日東京・新宿ReNYにて、Creature Creature「Beyond Light & Lust」ツアーファイナル公演が行われた。本記事では、ライブレポートと、MORRIEへのアフターインタビューを掲載する。
この記事の完全版を見る【動画・画像付き】
2005年末にその姿を現し、翌年にシングル3枚と1stアルバム『Light & Lust』をリリース、シーンに衝撃を与えたCreature Creature。メンバーは変動しつつも活動を重ね、昨年4thアルバム『Death Is A Flower』をリリースし、今年1月にこのツアーを持って「休眠」することを発表した。
この“Creature”は眠りにつく前に、どんな姿を我々に見せてくれるのか。
HIRO(G)、Shinobu(G)、人時(B)、ササブチヒロシ(Dr)、そして最後にMORRIE(Vo)がステージに登場。Shinobuの不穏なギターから始まったのは『Death Is A Flower』。禍々しい雰囲気から一転して『Dream Caller』へ。
人時の低音が響くイントロから、鮮やかなサビへ切り替わる瞬間が心地よい『虚空にハイウェイ』、緻密なのにどこか掴みどころのない、Creature Creatureの世界に引き込まれる。
『Fire Burn With Me』、『くるめき』といった疾走感と躍動感を併せ持つナンバーから、ダウナーな『Mirrors』や、サーチライトを手にしたMORRIEのパフォーマンスが印象的な『天醜爛漫』まで、Creature Creatureならではの楽曲群で観客を魅了していく。
そして、グルーヴィーな『愛と死の遊戯場』でフロアを揺らし、終盤は『Sexus』、『Dead Rider』などのハイスピードナンバーを畳み掛け、『Swan』で圧巻というほかない本編は幕を閉じた。
アンコールの声にこたえてステージに再び登場するメンバー。
『夢鏡』や、『春の機械』で幻想的な空間を作り上げ、「始まりがあるものには終わりがあります」と、12年の活動に終止符を打つというMORRIE。
「“今ここ”で体験していることは、想い出として、記憶として、胸に刻みますよね。しかし、それを思い出すのも、あるいは、未来を考えたりするのも、“今ここ”でしかない、そうですよね? そして、この“今ここ”が永遠に続いてゆく」とオーディエンスに語りかけ、「とりあえず、今はCreature Creatureを眠らせてください」と述べると大きな拍手に迎えられる。そして、メンバーひとりひとりにコメントを求める流れに。
メンバーのコメント
「12年のうちの6年、約半分、ありがとうございます。最後の最後まで、難しかったですね! なにかこの先のドラムの引き出しの中に入れていけたら」(ササブチヒロシ)
「2009年から、9年間やらせてもらって、その年は色々あって、そこでこのお話をいただいて、地獄から天国に引き上げてもらったような感じがしました。
俺にとっては、夢のようなメンバーで、9年間も、こんな環境で音楽できるなんて。Creature Creatureがなかったら出来なかった経験、出会えなかった出会いがいっぱいあって、全て感謝してます」(Shinobu)
「始まった頃のリハーサルが昨日のように思い出されます。ハードルが高くて、音楽を精一杯、必死で、それぞれが皆MORRIEさんについていくのが必死で、一生懸命で、それが昨日のように思い出されます。
理解できたかどうかわからないけど、曲を深く掘り下げることができたのかなと、最近ようやく思います。毎回が勝負、毎回が試験勉強のような感覚でやっていました。こういう場所でやれて、幸せでした」(人時)
「今までライブに来てくれた皆さんに感謝します。こういう場でギターを弾くチャンスをくれた、MORRIEさんに感謝します。
最初は夢のようなお話でした。実際こうやって同じ音楽を共有して、Creature Creatureの唯一無二の音楽を奏でられたことを嬉しく思います。
俺も、皆と同じように、またいつか目がさめることを祈って、これからは、また、”いちファン”としてMORRIEさんの活動を楽しみに応援していきたいと思います。しばらくは、この白の七弦も見れなくなるかも知れないので、しっかり目に焼き付けておいてください!」(HIRO)
それぞれ、Creature Creatureとしての活動期間は異なるものの、それぞれの想いのこもった言葉で、今の気持ちをオーディエンスに伝えていた。
「ミュージシャンに関しては、人格よりも音を信用している」というMORRIE。「この4人と、ずっとやってきたことを誇りに思います」と結ぶと、再び大きな拍手に包まれた。アンコールは『Aurora』で締めくくられたものの、観客のCreature Creatureを求める声は鳴り止まない。ダブルアンコールと相成り、奏でられたのは1曲目と同じく『Death Is A Flower』。まるで12年の円環を閉じるかのように。逆光の中、咆哮を響かせCreature Creatureは”休眠”となった。また再び目覚める時が来る、その日まで。
MORRIEアフターインタビュー――先日の新宿ReNYでの”休眠”ライブを経て、Creature Creatureの約12年の歴史にひとつの区切りが付きました。
MORRIE:どこを始まりとするかにもよるけど、2006年の7月にシングル、8月にアルバムが出た。そこから数えたら12年ですね。ササブチが入って現在の編成になったのは2012年だから、このメンバーでは6年やってきました。
――Creature Creature始動時は「あのMORRIEさんが」と、正直驚きました。
MORRIE:僕がアメリカに行ったのが1992年、アルバム『影の饗宴』を1995年に出したものの、ツアーはやらなかったし、そもそも日本に帰ってなかったしね。まったく日本で活動していなくて。2005年の末にCreature Creatureで久しぶりに、ちゃんとしたステージに立ったのが12年ぶりくらいでした。
――そこからまた約12年経って、「休眠」したと。Creature Creature故に「休眠」という。
MORRIE:Creature Creatureだから「休眠」、察していただけましたか? 言葉のあたりが柔らかいよね、「休止」や「解散」に比べて。以前のインタビューでも話したけど、「Creature Creature」というバンド名を着想するきっかけになった出来事があったんですよ。
「Creature」にはいろんな意味合いがあるけど、まあそれで「休眠」です。
――単刀直入にお伺いしますが、何故眠らせようと?
「休眠」の理由は
MORRIE:端的にいうと、人生100年とはいかないにしても、半世紀という区切りを越えると、人生、逆算になるんですよ。それは僕だけじゃない。あなたくらいだと、突然事故にあったり、殺されたりしないかぎりは死なないし、普通に生きていたら、漠然とした形の未来を考えるでしょ?
――そうですね。
MORRIE:これは相対的なものだけれども、半世紀という区切りを越えると、この世の人生を終点から見て、残りの人生をどうするかという逆転が起きるんですよ。
この世の唯物的な「肉体」の話。いつかは肉体は朽ちてなくなる。そうなってくると、人生は逆算。あとどのくらいアルバムを作って、どのくらいライブが、どんなことができるのか。「この世の終わらせ方」を考えている、肉体は有限なんでね。
基本的に歌うことは肉体労働ですから(笑)。楽なことはやっていないので、肉体には限界は見えてくる。僕の主観的にはまだ大丈夫ですけど、この先、生きるということは「老いる」ということなので、それが徐々に現れてくるだろう。だからこそ、いかに人生を終わらせていくかを考えるようになった。
あれしたい、これしたいとかではなく、ひとつのことに集中したい。その気持ちが強くなったということです。
――それがCreature Creatureを「休眠」させた理由だと。
MORRIE:過去にもDEAD END、Creature Creature、ソロと同時進行していた時期もあったし、できないことはないんですけど。今は絞って、ひとつのことに集中したい。明日死んでもいいという想いは昔からあるけれど、それをさらにリアルに感じるようになりましたね。『Death Is A Flower』という集大成的なアルバムも出来たし、ツアーもして、12という数字の区切りもいいし、「休眠」させようかと。
――ライブ当日も、ダブルアンコールまで完全燃焼で、メンバーの方もやり尽くしたという表情をしていたように思います。
MORRIE:そうですね、3時間以上やったのかな。前半は原因不明のトラブルやミスが続出してどうしようかなと思ったけど。ああいう時はいろんな人の念もこもるし、色々起こるんですよ。
――ライブを終えての感慨みたいなのもはありますか。
MORRIE:感慨ですか? まだそれはないですね。意外にあっけらかんとしてる。「感慨」なら、やってるときはありました。一応「最後」なんで、ステージ上ではしみじみした瞬間はありましたね。終わってからは……、アンコールが締まって良かったというか、ある種の最後の落とし前的なものはつけられたかな。
――さきほどおっしゃっていた「ひとつに集中する」というお話ですが、今後の活動形態はバンド、あるいはソロですか?
MORRIE:ソロですね。
――今後、しばらくソロに注力すると。3月のライブでは、ソロアルバムも製作中とのことでしたが……。
MORRIE:青木(裕)くんの代わりを探す気はまったくないです。いないんで。ジミヘンくらい呼んでこないとね(笑)。
僕の中では彼はジミヘンと同じタイプで、彼ならではの本当にユニークな……、いろんな言い方ができるけど、僕にとっては彼のギターは、ギターじゃないんですよ。彼のサウンド自体がエネルギー体というか。「上手」とか「綺麗」じゃないんです。よく言うじゃないですか、「チョーキング一発で決まる」って。そういうのはすごく重要で。
もちろん、テクニカルなことではあるんですけど、そうじゃない部分でもある。青木裕は僕にとってその塊のような人。後任のギタリストが見つかっても、スタイルは全く違う人だと思う。
ソロだし、いろんな人とセッションできればいいんですけど、僕はそういうタイプではないので、コンスタントにできるギタリストを探してはいますね。
――9月には『MORRIE the UNIVERSE “SOLITUDE“』 もありますし、11月18日・19日に咲人さん、人時さん、TOKIEさん、絵野匡史さんを迎えた"SPECTRAL ATTACK"と称したライブが開催されますが、当面はソロという形を選択していくと。
MORRIE:自分は別に不器用な方ではないし、色々出来るとは思うんですけど、今は自分のやりたいことがさらに明確になってきてるので、それに全てを注ぎ込みたい。そういう意味では不器用になっていってるのかもしれないね。
――その“不器用さ"も、ある種楽しんでいるようにも見えます。
MORRIE:僕がよく言う、「存在」や、自分が自分であるところのこの「私」や、常にそうでしかない「今ここ」の境地から見ると、見ること聴くこと、感じること、あらゆる現象が等価。そこからすると、あらゆることが「楽しい」。何をしようが幸せなんですよ。だから、例えば、音楽をやることはもちろん幸せとしても、自殺するとしても幸せだし、死にたいときにすっと死ねたらいいですね。
死生観を語る
――文字にすると大変重たい印象があるかもしれませんが、すごく穏やかにおっしゃいますね。
MORRIE:「死」は、未知だから、というかこの「私」の「死」は存在しないので、恐怖はないんですよ。本当の恐怖は「知ってること」ですね、本当は知ってて、奥深くに隠されている何か。
映画の『SEVEN』は観ましたか? ラストの箱に何が入っているのか、わかっているじゃないですか。ああいうことですよ。歌詞にも書いてますが、死の過程で苦しむかもしれないという恐怖はあるかもしれないけど、死というものを怖れる必要はない。むしろ楽しみです。死んだらどうなるのか。
――お話を伺っていると、生と死の境界線が曖昧なのかなと
MORRIE:無いですよ、多分。「生」とは何か、「死」とは何か。しかし、「あの世」と「この世」を成立させているところのこの「私」、この「私」が「存在」しているということ。これは文字通り「永遠」で、生とか死を超越しているものなのでね。
いつどこでどうやって私がこの「私」になったのかわからないし、恐らく「死」というようなものを「経験」することもない。それを直観して自覚しつつ表現活動を続けていくことが、自分の使命のような気がします。
直覚しているところから言うと、この世のことはごく一時の暇つぶしです。「死後」や「来世」があっても、それは謎の解明を意味しないので、「暇つぶし」は謎が解けるまで続きます。そして、謎が解けることは恐らく永遠にないので、永遠の暇つぶしになるでしょうね。
MORRIEスケジュール―LIVEスケジュールー
『MORRIE SOLITUDE in NEW YORK』
8月26日(日)
場所 Kraine Theater
開場 18:30/開演19:00
『MORRIE the UNIVERSE “SOLITUDE“』 Season 6
9月15日(土) 札幌Duce

9月29日(土) 名古屋Jammin’

10月13日(土) 京都Muse
10月27日(土) 横浜O-site
1部 開場13:30/開演14:00
2部 開場18:00/開演18:30
一般発売チケット発売中
Lコード…70398
MORRIE Solo Live『SPECTRAL ATTACK』
11月17日(土) 高田馬場Phase
※Gu咲人 Ba人時 Dr絵野
11月18日(日) 高田馬場Phase
※Gu咲人 Ba TOKIE Dr絵野
開場 16:30/開演17:00
●一般発売:8月25日(土)10:00~
Lコード…74074
―リリース情報―
CREATURE CREATURE
休眠前ラストライブ映像化決定!
詳細は追って公開。
タイトル:Beyond Light & Lust ~光と欲情の彼方~
収録日程:2018年7月8日
収録場所:新宿ReNY

ウレぴあ総研

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着