【ライブレポート】LOUDNESS、満員の
ラウドネス愛が爆発

LOUDNESSがオーガナイズする4日間連続のイベントMETAL WEEKEND。第1弾「LOUDNESS World Tour 2018 RISE TO GLORY 凱旋公演」が9月21日にZepp DiverCity Tokyoで行われた。
約4年ぶりのニューアルバム『RISE TO GLORY -8118-』の全世界同時発売や1日800キロの移動を含むバンド史上最大規模となるワールド・ツアーなど、ハードワークとなったLOUEDNESSの2018年。その集大成ともいえる1日だった。

ニューアルバム収録曲「Soul on Fire」「I'm Still Alive」で開演。壁も床もジリジリ震える大重低音。それでも余分な残響音がないギター・リフはさすが高崎晃。世界最高峰。「Soul on Fire」のサビでは、rock you! red zone!とオーディエンスがキラーフレーズで声を合わせる。早くも満員のLOUDNESS愛が爆発した。

MCでヴォーカルの二井原実が言ったとおり、ヨーロッパツアーのセットリストをこの日はそのまま再現。いわば世界基準。いわば逆輸入ライブ。
続いては、80年代のJ-POPシーンでも高い評価を得たアルバム『THUNDER IN THE EAST』から「CRAZY NIGHTS」「LIKE HELL」「HEAVY CHAINS」を連発。イントロの泣きのギター・ソロからヘヴィな三連のリズムと、どこを切り取っても、もっと聴いていたいと思ってしまう「HEAVY CHAINS」。ベースの山下昌良とサポート・ドラムの西田竜一のコンビネーションもさることながら、ここでもやはり高崎のリズムは神業レベル。ソロが素晴らしいのは言うまでもないが、ヴォーカルのバックやリフなど、バンド・アンサンブルのなかでの高崎は他の追随を許さない。

ライブ中盤は、再びニューアルバム収録曲が中心。超ヘヴィな曲も、ハイ・スピードな曲も、アコースティックな曲も、抒情的な曲も歌える、二井原の懐の深さが際立つ。たとえば二井原がアコギを弾いて歌った「Until I See the Light」。メロディを奏でる楽器としての声(喉)に圧倒された。あるいは「Rain」では、ステージ上とフロア上、2個のミラーボールが生み出す妖しさのなか、感情を伝える声(喉)の力がほとばしった。
終盤は、一転、80年代を代表する曲を畳み込む。いや、叩き込む、と書いたほうが正しいだろう。圧巻の勢いと迫力だった。ディストーションがかかった太いハイトーン・ヴォーカルがオーディエンスを撃ち抜く「This Lonely Heart」。コール&レスポンスでオーディエンスをグイグイひきよせる二井原の力技は、世界を舞台にするヴォーカリストの真骨頂。あのリフ、あのドライブ感だが、記憶のなかのそれらを軽く上回った「CRAZY DOCTOR」。ステージ中央の台に立った、高崎のソロがオーディエンスの心のガソリンに点火。

スピードが命だったのは「IN THE MIRROR」。一瞬だろうと、一ヵ所だろうと、もたったり、よれたりしたら、台無しの1曲。が、もちろんLOUDNESSにそんな心配は無用。恐るべき直線感だ。重戦車がまっすぐな道を猛烈な速度で爆走するかのよう。ドラムのまわりに他3人が集まり、塊になって演奏。そして、もちろんMIRROR!は会場全員大合唱。
締めも80年代だ。ライブの定番曲「S.D.I.」。曲名は、80年代のアメリカ合衆国の戦略防衛構想(スターウォーズ計画とも言われた)に由来しているらしい。彼らがどのような意図でこの曲を演奏し続けているか知る由もないが、時がめぐり、今また現実的な警鐘に聴こえなくもない。また、デビューから30余年、名実ともに重鎮の座にそびえるLOUDNESSが放つ、このメッセージはお子様ランチのようなラブソングにまみれる日本の音楽シーンへの警鐘にも思えた。

今夏、チェコ、ドイツ、オランダなど、約3週間にわたりツアーしてきたLOUDNESS。音楽に国境がないことを日本一知っている彼ら。音楽の力を日本一信じているバンドだろう。だから、もはや重鎮などという形容も陳腐に思える。そう、LOUDNESSは国宝だ。
写真:Mikio Ariga

LOUDNESS『RISE TO GLORY -8118-』

2018年1月26日発売
【初回限定盤CD+ボーナスライヴDVD】GQCS-90482~3 / 4562387204892 / 3,500円+税
【通常盤CD】GQCS-90484 / 4562387204908 / 2,500円+税
※歌詞対訳付き/日本語解説書封入
【500セット限定 直輸入2枚組LPレコード】WRDZZ-675 / 3,500円+税
1.8118 -Instrumental-
2.Soul on Fire
3.I'm Still Alive
4.Go for Broke
5.Until I See the Light
6.The Voice
7.Massive Tornado
8.Kama Sutra -Instrumental-
9.Rise to Glory
10.Why and for Whom
11.No Limits
12.Rain
13.Bad Loser ※ボーナストラック【ボーナスライヴDVD収録内容】
〔2016年12月30日"35th Anniversary Year Special Live FAN's BEST SELECTION ~We are the LOUDNESS~"〕
1.Ghetto Machine
2.Milky Way
3.Metal Mad
4.The Sun Will Rise Again
5.Let It Go
6.Speed
7.Slaughter House
8.Ares' Lament
9.Like Hell
10.Gotta Fight
11.Loudness
12.Soldier Of Fortune
13.Dream Fantasy
14.S.D.I
15.In The Mirror
16.Crazy Nights
17.Crazy Doctor
2枚組LP
[Side A]
1.8118 -Instrumental-
2.Soul on Fire
3.I'm Still Alive
[Side B]
1.Go for Broke
2.Until I See the Light
3.The Voice
[Side C]
1.Massive Tornado
2.Kama Sutra -Instrumental-
3.Rise to Glory
[Side D]
1.Why and for Whom
2.No Limits
3.Rain

【メンバー】
高崎晃(G)
二井原実(Vo)
山下昌良(B)
鈴木政行(Dr)

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