アレクサンドラ・スタンが語る、音楽
とルーツとライフスタイル

世界が虜になるポップ・アイコン、アレ
クサンドラ・スタンにインタビュー!

“小悪魔ビート・プリンセス”の異名を持つルーマニアのシンガー、アレクサンドラ・スタン。世界各国で1位を記録した『Mr. Saxobeat』などの楽曲は日本でも人気が高く、ダンス・ミュージックに詳しくなくとも、一度は彼女の音楽を耳にしたことがある人は多いだろう。日本限定シングル『フェイヴァリット・ゲーム』(広瀬アリス主演映画『巫女っちゃけん。』主題歌)のMVでは主演女優の広瀬アリスと共演したり、10月10日には日本独占でベスト・アルバム『THE BEST』がリリースされるなど、アレクサンドラ・スタンと日本のかかわりは深い。ミーティアでは、2年ぶりのオリジナル・アルバム『MAMI』をともなった世界ツアーの一環として来日中のアレクサンドラ・スタンに直接インタビュー。同インタビューはLINE LIVEにて配信をおこない、平日の昼間にもかかわらず、1万2千人が視聴。キュートでセクシーな世界的ポップ・アイコンに、そのルーツやライフスタイルについて語ってもらった。

Photography_Takuma Toyonaga
Interview & Text_Sotaro Yamada
Edit_Kenta Baba
(Alexandra Stan『Mr. Saxobeat』MV)

4thアルバム『MAMI』は日本人の名前か

(当日はカメラ3台を使用してインタビューの模様をLINE LIVEで配信した)

――日本に来られるのは今回で10回目ですよね。4月にはアルバム『MAMI』がリリースされ、好調です。率直に、どんな気持ちでしょうか。

アレクサンドラ : 日本でリリースできてすごく嬉しく思っています。このアルバムは私そのものを表しているようなアルバムなんです。フェミニンでセクシー、ダンサブルでポップ。そういったすべてが入っている。自分のレーベルを立ち上げてから初めてリリースした作品にもなるし、すごく嬉しいです。

――このアルバムはラテンの要素が強いですよね。「私そのもの……」とおっしゃってるように、自身のルーツに立ち返りたいという思いが強かったんでしょうか?

アレクサンドラ : そういった部分もありながら、他にも、クラブで踊れるような曲やテンポのゆるやかな曲も入っているので、いろんな要素が入っているアルバムになったと思います。
――『MAMI』というタイトルは何に由来しているんでしょう? 私たちからすると、これは日本人の名前のように聞こえます。“マミ”は日本でもキュートな名前です。

アレクサンドラ : マミという名前のファンが日本にいるんです。彼女はすごくハッピーな人で、今まで会った人のなかでいちばんハッピーな人なんじゃないかと思うくらい、いつも明るく迎えてくれるんです。あまりにもハッピーな人だから、「次のアルバムはあなたの名前にするわ」と言ったらすごく喜んでくれて。あと、マミという言葉には母親という意味もありますよね。あるいはラテンカルチャーでは、セクシーでホットな女性に対して「マミ」と言います。このアルバムタイトルは、そういったところからも来ています。

――なるほど。そのマミさん、相当嬉しいでしょうね。

アレクサンドラ : 実は昨日、彼女が空港に来てくれていたんです。その時にプレゼントをくれたんですけど、ちょうど私が買おうかどうか迷っていたものだったんです。どうして彼女は私の気持ちがわかるんだろう?

――すごい。それだけアレクサンドラさんのことが好きだということですね。現在は『MAMI』のツアー中ということで、ポーランド、トルコ、ルーマニア、カナダ、そして日本と、世界中をまわっているそうですね。国ごとにライブでのお客さんの反応に違いはありますか?

アレクサンドラ : それぞれの国でカルチャーが違うので、セットリストも国に合わせて変えています。トルコではビートを重視している曲を多めにしたり、カナダでは女性の権利や独立をサポートするイベントだったりしたので強い女性をテーマにした曲を多く選びました。日本では、あたらしい曲をたくさんやろうと思っています。

――日本では10月にベスト・アルバム『THE BEST』がリリースされます。収録作品のなかで特に思い入れのある曲を1つだけ選ぶとしたら、どの曲を選びますか?

アレクサンドラ : やっぱり『Mr. Saxobeat』かな。もしくは『Lollipop (Param Pam Pam)』は最初のインターナショナルなヒット曲だから、自分にとってすごく大切で外せない曲ですね。
(Alexandra Stan『Lollipop (Param Pam Pam)』MV)

「小さい頃は“アリエルちゃん”って呼
ばれてた」

――ルーツやカルチャーの話を聞きたいんですが、音楽を好きになった最初の記憶って覚えていますか?

アレクサンドラ : 3歳の頃です。母から聞いた話なんですけど、当時、私はまだ言葉も喋れなかったのに、すでに歌を歌っていたらしいんです。その次は9歳の頃。音楽のコンテストやフェスティバルにたくさん出場して優勝もしました。そして16歳の頃に行ったカラオケバーでプロデューサーにスカウトされて現在につながるんですけど、でも、自分のなかでは小さい頃からずっと、将来はシンガーになるとわかっていました。近所の人たちには「アリエルちゃん」って呼ばれてたんです。アリエルってずっと歌ってるから(笑)。
――今はアリエルって呼ばれてないんですか?

アレクサンドラ : 今もそう呼ぶのは、おばあちゃんくらいです(笑)。

――じゃあ、日本でそのニックネームを浸透させましょう!

アレクサンドラ : ぜひそうしてほしいです! 以前、髪を赤くしていた時があって、おばあちゃんに「アリエルみたいね!」って言われました。

――カラオケバーでプロデューサーにスカウトされたということですが、ちょっと珍しいことだと思います。その時のことを詳しく教えてもらえますか?

アレクサンドラ : 小さな街に住んでいたので、街にはバーがひとつしかなかったんです。毎週木曜日だけ、そこでカラオケができて。しかもそのカラオケは、生バンドが演奏してくれるんです。早く行かないと順番待ちのリストがいっぱいになってしまうくらい人気だったのを覚えています。ある時、そのバーでカラオケのコンテストがあって、オーディエンスが勝者を決めるというルールで、私はそのコンテストで優勝することができたんです。そこにたまたまプロデューサーが来ていたのがきっかけで。数日後、プロデューサーから連絡が来て、アーティスト活動が始まりました。
――なるほど、すごいシンデレラ・ストーリー、じゃなくてアリエル・ストーリーですね。いちばん影響を受けたミュージシャンは誰ですか?

アレクサンドラ : 子どもの頃は、おもにアメリカのポップ・ミュージックを聴いていました。バックストリート・ボーイズやブリトニー・スピアーズなどですね。今はストリーミングで世界中の音楽にアクセスできるので、本当にいろんな音楽を聴いています。最近はオルタナティブ・ソウル、R&Bなど、ダウンテンポなものをよく聴いています。とは言え、今でもダンス・ミュージックは大好きで、カルヴィン・ハリスやデヴィッド・ゲッタを聴きますし、アリアナ・グランデのようなポップ・ミュージックも好きです。

――ルーマニアの音楽はどうでしょう?

アレクサンドラ : もちろん耳にはしますけど、今ルーマニアで流行っているのはポップ・ロックなんです。それは自分の音楽とは少し違うかな、という気がしています。だから積極的にはあまり聴かないですね。やっぱりインターナショナルな音楽の方が聴くことは多いです。それは自分が英語で歌詞を書いているからかもしれないです。自分にとって、ルーマニア語で歌詞を書くことはなかなか難しいことなので。

――日本で注目しているアーティストはいますか?

アレクサンドラ : うーん、日本にいないと日本の音楽はなかなか見つけづらいので、特にこのアーティストというのはないんですけど、日本はアイドル系のグループがトレンドになっていると聞いてます。スタッフとも話してたんですけど、もしかしたらそういう人をフィーチャリングすることもあるかもしれないですね。そうしたら、私の日本のファンにとっても素敵なプロジェクトになると思うし。

――じゃあ、アルバム・タイトルになったファンのマミさんにおすすめアーティストを聞けばいいかもしれませんね。

アレクサンドラ : そうですね! インスタグラムを使ってリサーチしてみようかな。せっかく今ライブ配信してるんだし、日本のどんなアーティストと共演すればいいか、みんなに聞いてみませんか? みなさん、私のインスタをフォローして、コメントをポストしてください!

 

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#flashback from Japan from my @meetia_insta interview! 🇯🇵

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「魔法なんかに頼らないで、自分で決め
ていくことが大切」

――ライフスタイルについても聞かせてください。毎日必ず行う習慣はありますか?

アレクサンドラ : 本当は毎日やらなきゃいけないのにできていないことがたくさんあります。でも、最低30分のワークアウトは欠かさないようにしています。それもジムに行くのではなく、自分でスクワットや腹筋をやっていますね。もちろん、朝食は絶対に抜かないようにしています。量もたくさん食べます。できるだけヘルシーなものを摂るように心がけていますね。あとは、たくさんお水を飲むことも。

――ヨガが好きだと聞きました。

アレクサンドラ : というよりは、毎朝のストレッチにヨガのポーズを取り入れています。特にここ2週間くらいは世界ツアー中なので、背中を中心に筋肉がバキバキになっちゃうんです。身体も脳もリラックスさせるために、朝、最低5分はストレッチしています。

――なるほど。音楽以外で影響を受けたカルチャーは?

アレクサンドラ : 自分をどう売り込むかということにかんして言えば、アメリカからの影響がものすごく強いですね。アメリカ人はセルフプロデュースやマーケティングに長けている人が多いです。それはルーマニア人にはない部分だと思うので、自分の売り込み方は100%アメリカに影響を受けました。今回のツアーでカナダに行った時、車を運転していたら、温泉が沸いている観光地があったんです。たくさんの観光客が写真を撮っているのを見たんですけど、ルーマニアには、そういう天然の温泉が実はいたるところにあって、ただあまり知られていないんです。だから将来的には、ルーマニアを他の国にプロモーションすることも、音楽とは別にやっていきたいと思っています。
――ルーマニアは、世界で唯一、職業として魔女が認められている国だと聞きました。アレクサンドラさんのまわりにも魔女はいますか?

アレクサンドラ : えっ、そうなんですか? それは、知らなかった(笑)。

――あら(笑)。

アレクサンドラ : でもそれはきっと勝手にやっているだけで、信じちゃダメですよ(笑)。仮に魔女には私たちの将来が見えているのだとしても、それを聞いちゃったら楽しくないじゃないですか。魔法なんかに頼らないで、自分で決めていくことが大切なんじゃないかな。

――それはそうですね。でもアレクサンドラさんの音楽は、人々をハッピーにする魔法のようなものですよ。

アレクサンドラ : 嬉しいです(笑)。私のいちばんのゴールは、自分の音楽を聴いてハッピーになってもらうことなので。もちろん悲しい曲もあるけど、ファンのみんなもハッピーになれる曲を私に求めていると思うし。もっと年齢を重ねたら悲しげな曲もたくさん作るようになるかもしれないけど、やっぱり自分の本質としては、まわりをハッピーにさせる曲をやりたい。

次回のインタビューは弾き語り?

――ではインタビューは以上です。ライブ配信、どうでしたか?

アレクサンドラ : すごく楽しかったです! 見てくれてるみんなからのフィードバックも楽しみです。本当はギターの弾き語りなんかができたら素敵なんだけど。実はギターを弾けるようになることも目標のひとつなんです。

――じゃあ次回はギターで弾き語りお願いします!

アレクサンドラ : 次はルーマニアでやりましょう。もし弾けなくても、後ろにiPhoneを隠してそこから音を出します(笑)。

アレクサンドラ・スタン 最新リリース
情報

ザ・ベスト~デラックス・エディション
THE BEST – DELUXE EDITION
2018.10.10リリース
CD+DVD
¥3,300+税

#1-CD
01 
ミスター・サクソビート~恋の大作戦~
/MR. SAXOBEAT
02 
ゲット・バック(ASAP)/
GET BACK (ASAP)
03 
ワン・ミリオン feat. カールプリット/
1.000.000 FEAT. CARLPRIT
04 
レモネード/
LEMONADE
05 
ギヴ・ミー・ユア・エヴリシング/
GIVE ME YOUR EVERYTHING
06 
バランス feat. モホンビ/
BALANS FEAT. MOHOMBI
07 
ナイン・ライヴズ feat. ジャミィ
/9 LIVES FEAT. JAHMMI
08 
アイ・ディド・イット・ママ/
I DID IT MAMA
09 
ウィ・ワナ feat. ダディー・ヤンキー‐アレクサンドラ・スタン&インナ/WE WANNA FEAT. DADDY YANKEE – ALEXANDRA STAN & INNA
10 
バニラ・ショコラ feat. コネクト・R
/VANILLA CHOCOLAT FEAT. CONNECT-R
11 
フェイヴァリット・ゲーム/
FAVORITE GAME
12 
ロリポップ(パラム・パム・パム)/
LOLLIPOP (PARAM PAM PAM)
13 
ダンス
/DANCE
14 
チェリー・ポップ
/CHERRY POP
15 
クリシェ~恋の合図はハッシュ・ハッシュ~/
CLICHE (HUSH HUSH)
16 
オール・マイ・ピーポー
/ALL MY PEOPLE – ALEXANDRA STAN VS. MANILLA MANIACS
17 
マミ/
MAMI
18 
ボーイ・オー・ボーイ/
BOY OH BOY
19 
ノイ・ドイ/
NOI 2
20 
サンクス・フォー・リーヴィング
/THANKS FOR LEAVING
21 
ライク・ア・ヴァージン〔スレイス・リワーク〕
/LIKE A VIRGIN [THRACE REWORK]

#2-DVD
01 ロリポップ(パラム・パム・パム)/
LOLLIPOP (PARAM PAM PAM)


02 ミスター・サクソビート~恋の大作戦~
/MR. SAXOBEAT


03 ゲット・バック(ASAP)/
GET BACK (ASAP)


04 ワン・ミリオン feat. カールプリット/
1.000.000 FEAT. CARLPRIT


05 レモネード/
LEMONADE
06 

オール・マイ・ピーポー/
ALL MY PEOPLE


07 クリシェ~恋の合図はハッシュ・ハッシュ~/
CLICHE (HUSH HUSH)
08 

サンクス・フォー・リーヴィング
/THANKS FOR LEAVING


09 チェリー・ポップ
/CHERRY POP


10 ダンス/
DANCE


11 ギヴ・ミー・ユア・エヴリシング/
GIVE ME YOUR EVERYTHING
12 

バニラ・ショコラ feat. コネクト・R/
VANILLA CHOCOLAT FEAT. CONNECT-R


13 ウィ・ワナ feat. ダディー・ヤンキー
/WE WANNA FEAT. DADDY YANKEE


14 アイ・ディド・イット・ママ
/I DID IT MAMA


15 バランス feat. モホンビ
/BALANS FEAT. MOHOMBI


16 エクーテ feat. ハヴァナ/
ECOUTE FEAT. HAVANA


17 ブーン・パウ/
BOOM POW


18 ナイン・ライヴズ feat. ジャミィ/
9 LIVES FEAT. JAHMMI


19 ボーイ・オー・ボーイ/
BOY OH BOY


20 ノイ・ドイ/
NOI 2
21 マミ/
MAMI
22 

フェイヴァリット・ゲーム/
FAVORITE GAME

アレクサンドラ・スタン 公式サイト
アレクサンドラ・スタン Instagram
アレクサンドラ・スタン Twitter

アレクサンドラ・スタンが語る、音楽とルーツとライフスタイルはミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。

ミーティア

「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。

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