『レ・ミゼラブル』新キャストお披露
目会見~佐藤隆紀、上原理生、伊礼彼
方、濱田めぐみ、トレエン斎藤、朴璐
美ら十人十色の想いが溢れる

帝国劇場2019年4・5月公演ミュージカル『レ・ミゼラブル』の新キャストお披露目会見が2018年10月10日(水)都内にて催された。会見場には10000通以上の応募から抽選で選ばれた約300人のオーディエンスが見守る中、ジャン・バルジャン役の佐藤隆紀、ジャベール役の上原理生と伊礼彼方、ファンテーヌ役の濱田めぐみ、エポニーヌ役の屋比久知奈、マリウス役の三浦宏規、コゼット役の熊谷彩春、テナルディエ役の斎藤司(トレンディエンジェル)、マダム・テナルディエ役の朴璐美、アンジョルラス役の小野田龍之介が登壇した。
本作はヴィクトル・ユゴーの小説を原作とするミュージカル。19世紀初めのフランスを舞台に、主人公ジャン・バルジャンと彼を取り巻く人々を通して動乱期の社会情勢や民衆の生活が描かれた物語。1985年に英・ロンドンにてミュージカル版が初演。日本では1987年6月に帝国劇場にて初演され、以降も上演を重ね、国内での上演回数は3172回となっている。
以下新キャストからの挨拶を中心に、質疑応答の内容も含め紹介しよう。
■佐藤隆紀/ジャン・バルジャン役
佐藤隆紀
僕が生まれる前からあるこの伝統ある作品に出演させていただけることを本当に誇りに思います。また精一杯頑張っていきたいです。自分自身、一皮もふた皮も剥きながら稽古に望みたいと思います。自分なりにスキルアップしていかないとお客様に感動を与えることができない作品だと思います。これから自分に向き合って、人としても役者としても歌手としても大きく成長してこのジャン・バルジャンという役をお届けできるように精一杯努めて参ります。
【オーディションのエピソード】
いつかやってみたい、という気持ちが心の中にあったが、それこそ「いつか」やりたいだったので、まさかこんなに早くやれるとは思わなかった。今、ものすごく焦っています。自分が音大卒であるがためについ技術に走ってしまうが(東京芸大音楽科出身の上原が「わかるー!」と相槌をうち、笑いを誘う)、ミュージカルは感情……歌詞や言葉を「伝える」意識を持ってやらないとミュージカルではなくなってしまうんです。オーディションを受ける際、感情と技術のバランスを取るのが大変で、今もそう思っていますし、来年までずっと思い続けると思います。
■上原理生/ジャベール役
上原理生
今までの作品では革命をしてきたこの僕が、今度は革命を鎮圧する側になります。自分がデビューした作品で今までと違う役柄をやらせていただくことになり、全く違う立場でやらせていただくので、これまでとは全く違う『レ・ミゼラブル』の世界が見えるんじゃないかなと楽しみです。どれだけできるのか分からないですが、2幕あたまの「昔、俺も戦った」という台詞は凄く説得力を持たせることができるのかなと思っています(笑)。作品に、真摯に誠実に向き合ってジャベール役に臨んで行きたいと思います。
【オーディションのエピソード】
ずっとアンジョルラス役を演じてきたが、前回演じたときに「もう最後だな」という気持ちが自分の中にありました。次もしやるならtoo muchだろう、と。やらせていただけるのはありがたい話なのですが、いつまでもその役にあぐらをかきたくない、違う役に挑戦したいと思ったんです。
■伊礼彼方/ジャベール役
伊礼彼方
ジャベール役は何年も前にこの作品を見てからずっとやりたいと思っていました。一発で衝撃を受けて、「いつかは、いつかは」と思っていたので、自分が持っているワイルド感、イケメン感、悪役感、そしてストレートプレイやミュージカルで培ってきたものを全て駆使して挑みたいと思っています。
【オーディションのエピソード】
40歳を過ぎてから「オーディションを受けさせてください」と言おうとしてたんですが、思いのほか早く「そろそろ受けてもいいんじゃないか?」と言われまして。自分の中ではまだ経験値が足りないんじゃないかなと思いつつ、そういう声をいただいたならばチャレンジしてみようと思ったのがきっかけです。また、ジャベール役について。たくさんある『レ・ミゼラブル』のCDの中でたまたま聞いたのが村井國夫さんがジャベールを演じたときのものでした。僕の思考はミュージカルでも芝居寄りなんです。村井さんの音源を聴いた時にものすごく芝居寄りに聞こえて、その歌詞が自分に届いたんです。僕はミュージカルやアーティストの歌詞をなかなか聞き取れないんですが、村井さんの歌を聴いたときにああ、なんて素晴らしいんだ、僕もこんな素晴らしい役者になりたいと思ったんです。オーディションでは、32年間の間、先輩たちが作ってきた歴史の中で良いものは残し、そうでないものは壊して新しい物を僕らの世代が作らなくてはならない……そう演出家の方と語り合いました。
■濱田めぐみ/ファンテーヌ役
濱田めぐみ
私もそうですし、私以外の100%の方も「え!まさか濱めぐがファンテーヌを!?」ときっと驚かれたと思うんです(笑)。私自身『レ・ミゼラブル』は学生の頃、劇団四季の頃、劇団を卒業してからと「観るもの」と思っていて(出演する、という意識は)諦めていたというか、チャンス、出会い、きっかけがなかったので、お客様として楽しむ作品だと思っていました。ところがつい最近オーディションを受けさせていただくチャンスがありまして、このオーディションを受けるにあたり自分と向き合ってみて、自分が亡くなって天国に行くときに後悔したくないなと思ったんです。いろいろな葛藤や、思い、悩みを思い巡らすこともありましたが、最後のチャンスだと思って「受けさせてください」とお願いしました。今までたくさんの役をやらせていただきましたが、また新たな自分の転換期になるといいなと思います。これまで経験してきたものを全て投入してファンテーヌという役を心から愛し、楽しみ、深く深く大切に演じていきたいと思います。
【オーディションのエピソード】
私は皆さんとは逆でこれが最後のチャンスだと思ったから。これを逃すと今後後悔しながら舞台に立つと思ったし、ダメならダメでいい。でもトライをしないと自分で自分を逃す事になると。だから自分の背中を自分で押して「オーディションを受けさせてほしい」と伝えました。ファンテーヌは憧れの役。母親というポジションで革命の中で翻弄されながらも子どもの事を第一に考える究極の女性像だと思います。彼女の価値基準が子どもであることに共感を持てました。自分の中の母性をどう表現できるのか考えたかったんです。
■屋比久知奈/エポニーヌ役
屋比久知奈
この大きな歴史ある素晴らしい作品に出演させていただき、嬉しく光栄に思っています。同時にエポニーヌ役としての責任も感じています。私なりに役に向き合って役を深めて『レ・ミゼラブル』という世界でを一日一日大切に生きたいと思います。皆様と劇場でお会いするまでにもっと成長した姿でお会いしたいです。
【オーディションのエピソード】
作品は小さい頃から知ってはいましたが、実際に舞台を昨年初めて観たときに、この舞台がナマモノである意味をビシビシと感じ、なかでもエポニーヌという役に興味を惹かれました。もしこの作品に出られるならエポニーヌ役をやりたいと思っていたので、オーディションの時にエポニーヌをやらせてほしいとお願いしました。
■三浦宏規/マリウス役
三浦宏規
今回初めてマリウス役をやらせていただくのですが、ずっと夢見て憧れていた『レ・ミゼラブル』という作品に自分が出ることができ、自分が今ここで喋っていることが夢のようで本当に嬉しく光栄に思っています。まだ未熟ですが自分にできることは全てマリウスに注いで『レ・ミゼラブル』という素晴らしい作品の世界の中でマリウスとして生きていきたいと思います。
【オーディションのエピソード】
観劇した時にものすごく感動して、もう一度観たいと思い、なんとかしてチケットを入手して観劇しました。でももう一回観たかったんですが、それはできなくて。でも2回目に観たときにこの作品を演じるのって幸せなんだろうなぁと。それで挑戦してみたいと思いオーディションを受けました。オーディションでは泣きそうになるくらい、出来なかったなあと感じ、絶対に次はもっと出来るようになってやろうと思ったんですが、選んでいただけたました。今度は万全を尽くして稽古に臨みたいです。
■熊谷彩春/コゼット役
熊谷彩春
幼い頃から憧れていた『レ・ミゼラブル』という作品でコゼット役でデビューさせていただけることを本当に嬉しく思っていて、今こうしてここにいることが夢のようです。ステキな大先輩の方々からたくさん学びながら、精一杯全力でコゼットを演じたいと思います。
【オーディションのエピソード】
幼い頃イギリスに住んでいたとき、3歳くらいの時に『レ・ミゼラブル』に連れて行ってもらい、ものすごく衝撃を受け、家のソファを舞台代わりにして、毛布をフランス国旗に見立て、振り回しながら「民衆の歌」を歌って「レミゼごっこ」をしていました。コゼットは好奇心旺盛なところとか自分と共通点があると思ったのでオーディションをこの役で受けさせてもらいました。
■斎藤司(トレンディエンジェル)/テナルディエ役
斎藤司
今回、コゼット役ということで……(場内笑)テナルディエ役ということで大役を仰せつかりましたトレンディエンジェルの斎藤司と申します。本当に右も左も分からないというか、いや分かるんですけれど、大先輩の方々に囲まれて本当に緊張していまして、今、歯が痛いです(笑)。『レ・ミゼラブル』と言う作品は大作中の大作ですしお客様も愛されてる作品です。皆さんの足を引っ張らないように今から役作りを始めていまして……テナルディエという役なので、足を引っ掛けたりとか、物を盗り始めたりとか……とにかく頑張ります!
【オーディションのエピソード】
ミュージカルはいつかやってみたいと思ってました。皆さんみたいな崇高な思いはないのですが、仕事が自分を成長させると思って受けたんです。『レ・ミゼラブル』には全然見合ってないと思いつつもオーディションがあると聞いてダメ元でやってみようと。
本当はコゼット役をやりたかったんですが、いろんな意味でダメと言われ(笑)いちばん自分に近しいもの、ひょうきんさと闇の部分ですよね(笑)?テナルディエ役に挑戦しました。オーディション会場には秋元康先生がいまして……あ、それは吉本坂46のオーディションだ。『レ・ミゼラブル』のオーディション会場には『あらびき団』の10倍くらいの人数のスタッフさんたちが見ていて(嘘だろ?)と思いました。オーディションの前に駒田一さんのテナルディエの映像を何度も観ていたんですが、それと同じになるのもまずいと思って思考錯誤をしていたら「フリースタイルダンジョン」みたいになっていました。
■朴璐美/マダム・テナルディエ役
朴璐美
まさか四十路半ばで! 人生でこんな事があるなんて! 初めてミュージカルに参加させていただくことになりました。ミュージカルとは全く縁のないところで活動してきたので本当にどうなるのかと俺に自分に期待をしワクワクしてる状態です。(周りを見て)皆さん本当にお歌が上手いんですよね。私は歌を本当にやったことがないのですが、四十路半ばにしてボイストレーニングに通ったりいろいろやりながら、自分にチャレンジして新たな扉を開きたいです。
【オーディションのエピソード】
マダム・テナルディエ役をやらないか?とお話をいただいた時「この役はハートも技量もなければ務まらない役なんじゃないか」と思い、最初はお断りしようと思ったのですが、昨年末、22年間在籍した演劇集団 円を退所して独立したんです。それもあって「やったことはないけれど、ミュージカルに挑戦してみようかな。受けるだけ受けてみようか」と。でもオーディションを受ける前に4回の歌唱指導を受け、いろんなスタッフさんに励まされ、オーディションに向かいました。当日は控室の他にもう一部屋取ってもらい、そこで声出しをしようと思っていたんですが、オーディションを受けるのが苦痛で帰りたくなってしまい、気が付いたらふて寝していました(笑)。これはだめだと思い会場に行きましたが、歌唱指導してくださったスタッフさんたちが親のような目で見守ってくださって、スイッチが入りました。すべてが終わって会場のドアを締めたら涙がボロボロ出てきました。忘れられないオーディションでした。
■小野田龍之介/アンジョルラス役
小野田龍之介
本当に多彩な俳優の皆様、斉藤さんもいらっしゃいますし、この中の一人として新キャストに選ばれたことを嬉しく思っています。子どもの時から舞台の仕事をさせていただきまして、この『レ・ミゼラブル』という作品は僕の中で非常に大きなきっかけであり、影響を受けた作品の一つでした。どの作品よりも舞台を見ていますし音楽も聴いていました。いろいろ感じてきた作品なんじゃないかなと思っています。本当に自分自身がこの作品に関われる事がまだ信じられないです。凄く嬉しく思うとともに身が引き締まる思いです。初演の時からたくさんの俳優が演じてきたこの役、そのエネルギーを絶やすことないよう、また、たくさん観てきた事に縛られる事がないよう、丁寧に演じて本番で皆様にお会いできればと思います。
【オーディションのエピソード】
アンジョルラスという役は凄く神々しく感じているんです。学生達を率いて革命に身を投じるんですが、それとともにお客さん達も感化され、惹きつけられる役だと思うんです。15歳の時に実は『レ・ミゼラブル』のオーディションを受け、最終選考まで残ったんですが、まだ若いから20歳を過ぎたらもう一度受けにおいで、と言われたんです。その後、なかなかタイミングやご縁がなくて受けられず、観る側に徹していたんです。『ミス・サイゴン』に出演した時、海外スタッフの方に「『レ・ミゼラブル』には興味ないのか?オーディションを受ける気はないのか?」と聞かれ、『大好きな作品だし受けてみたいが、何役ならチャンスがあると思いますか?』と返したら『アンジョルラスを受けてみたら?』ああ、僕がアンジョルラスを受けてもいいのかな、と背中を押されたのがきっかけでした。
斎藤さんだぞ!のサービスポーズに皆笑いを抑えられません!
斎藤さんのトークに濱めぐさんが何度も大笑い!
佐藤さんもたまらず撃沈!
皆、斎藤さんのコメントを待っている雰囲気が……(笑)
朴さんと小野田さんも斎藤さんに陥落でした!

会見では冒頭では緊張感に満ち溢れていたが、斎藤の順番がくるたびにネタを会話に混ぜてくるため、斎藤の隣に座る濱田を筆頭にキャストたちが大笑い。いつしか斎藤のターンを誰もが内心待っているような雰囲気となり、和やかな会見となった。
その斎藤だが「芸人の世界には子どもが産まれると大きな仕事がやってくるというジンクスがあります。だから先日産まれた娘が『レミゼ』の仕事を持ってきてくれたんだと感謝しています」と最後はいい話でしめていたのが印象的だった。
取材・文・撮影=こむらさき

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