内博貴、難役で初めての経験「役をひ
きずってしまう」 舞台『まさに世界
の終わり』東京公演始まる

内博貴が主演する舞台『まさに世界の終わり』の東京公演が、2018年10月13日(土)、東京・DDD青山クロスシアターにて開幕した。9月22日(土)兵庫にて初日を迎え、その後、名古屋、藤沢を巡演し、ついに東京公演を迎えることとなった本作。東京公演初日直前にはマスコミ向けのフォトコールと囲み会見が行われ、内と大空ゆうひ、那須佐代子が登場し、初日前の心境を語った。
本作は、1995年に38歳の若さで亡くなったフランスの劇作家ジャン=リュック・ラガルスが、1990年にベルリンで執筆した戯曲。ラガルスは、18歳よりブザンソン国立演劇学校(コンセルヴァトワール)で演劇を学び、他界するまでの20年に満たない期間に25本の戯曲を執筆、没後におおいに注目されるようになり、フランスの現代劇作家の中では多数の作品が上演されるほどに評価されている。
主人公のルイ(内)は、長く帰郷していなかったが、不治の病に罹り実家に戻ってくる。家族に病を打ち明けられずにいる中、家族が言い争いをしたり、互いを気遣ったりする情景が会話劇として描かれる。母(那須佐代子)、兄(鍛治直人)、兄の妻(大空ゆうひ)、妹(島ゆいか)という家族との噛み合わない会話や遠回しな表現から、家族とは何なのかを観客に問いかける。演出は石丸さち子が務める。
内博貴
会見では内が開口一番、「今までいろいろな役をやらせていただきましたが、今回の役がいちばん難しかった。全部が難解でした。こういう芸術的な作品なので理解するまでが大変でした」と語った。台詞量も内だけでなく他のキャストもそれぞれ膨大にあるとのことで、「いちばん長い台詞で10ページくらい。舞台って生モノですし、誰かがハプニングに陥ると他の人が助けるものですが、この作品はそれが出来ないんです。完全に個人戦のようで、お母さんがバーッと喋っていると他の人はずーっと聞いている。それが終わったら今度は僕がずーっと喋っている。このくり返しなんです」と苦笑いを浮かべていた。事実、公開されたプレスコールでは、内演じるルイがひたすら自分の溢れ出る想いを語り続ける場面が披露され、驚かせていた。
かつてない難役に挑む内は、人生初めてとなる体験もしていた。「僕はあまり役を引きずらないタイプ。オンとオフをはっきりできるタイプだったんですよ。ところが今回は(舞台が終わっても)役を引きずってしまうんです。役の重さというか、本当に病気になってしまうんじゃないかと思うくらいでした。それだけこの役に入り込めているということなのかな?」と自問自答する内だった。
大空ゆうひ
一方そんな内の様子を見ていた大空は「内さんは、キャッチ力がすごいんです。ダメ出しが入っても、それをすぐ自分の中に取り込んで演じられているのが凄いと思いました」と座長・内の能力を分析しつつリスペクト。

那須佐代子

一方、那須は内の事を「綺麗な息子」と語る。「稽古でも『かっこよすぎる』という指摘が入ってて……」と言い出すと内と大空も思い出したかのように笑い出す。「最初は(演出の)石丸さんが言い出したんですが、鍛冶さんが『そんなダメ出し、聴いたことがないよ』と言ったところから始まって『その仕草がかっこよすぎる』とか……全員が俺をイジってましたね」と内が稽古場での出来事を恥ずかしそうに自ら暴露していた。
地方会場より東京の会場はステージと客席の距離がぐんと近くなる。これについて内は「こんなに近いと緊張してしまいますね。『そんなに見ないで!』って思ってしまいます」と胸の内を吐露。そう言われるとますますじっくりと観たくなるのが観客としての正直な想い。是非、DDD青山クロスシアターにて濃密な物語を体感してほしい。
取材・文・撮影=こむらさき

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