【西川貴教 インタビュー】
歌というものに魅入られた代償
まずは自分の手の内を見せて
細かくディスカッションしながら録った
レコーディングの時には澤野さんからもディレクションを受けたりしながら録っていったんですか?
リクエストはいただきました。“こう歌ってほしい”とか“こういうイメージ”であるとか。自分なりに組み立てて持って行ったアイデアもあったし、初めてのセッションなので、まずは自分の手の内を見せて、それに対してリアクションをもらおうというのがすごくあったので、細かくディスカッションしながらやっていった感じです。
いつものレコーディングとは違う感じですね。
いつもはエンジニアとふたりきりで録るので、“鶴の恩返し”のように、録っているところは誰にも見せないですからね。スタッフにレシピと材料を見せておいて、“完成したものがこちらです”って出来上がった料理だけが登場するみたいな。
実際に一緒に作業をしてみて、澤野さんはどんな方だと感じましたか?
僕の勝手なイメージで、すごくこだわりが強い方だと思っていたんです。“ここはもっとこうしてください。こうじゃないとダメです”みたいな。でも、ディスカッションする中で“僕はこういうのがいいと思うんですけど”って言うと、“あぁ、じゃあそれでいきましょう!”って(笑)。
あっさり意見を受け入れる。
そうそう。僕としては“えっ、いいの!?”って感じでしたけど(笑)。すごく柔軟な考え方の持ち主で、そこは意外だったけど、だからこそいいものが生み出せるんだなとも思いました。もちろんこだわりが強い部分もあるんでしょうけど…きっと、ひとつ譲ったからといって、それで楽曲が負ける気がしていないからだろうなって思います。
人の意見を取り入れても揺るがない自信がある。
そう。そこでこだわらなくても勝てる部分が他にたくさんあるんです。そういうところは素晴らしいと思いました。僕も含めて、こだわることがいいことだと思っている人は見習うべきですよ!
“His/Story”というタイトルは“His Story”と“History”をかけた表記で、こういうところも澤野さんっぽいですね。
そこは作詞の藤林さんが気を利かせてくれたんだと思いますね。どなたに歌詞をお願いするか考えた時に、やはり作品の世界観や物語を表現してくださる方は藤林さんしかいないって思ったんです。虚淵さんにご提案した時も、以前ご一緒されたことがあったそうで、すごく喜んでくださいました。
当初はEDの「Roll The Dice」がOPになる案もあったそうですけど。
制作の順序としては「Roll The Dice」が先で、僕もこっちがOPかなと思って制作していたんです。でも、虚淵さんからの提案もあって「His/Story」がOPになったんですけど、「His/Story」は『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』TVシリーズ1期の劇伴で使用しているメインテーマとなる旋律を落とし込むアプローチが加わって、1期と2期をつなぐ役割りも担う曲になりましたね。メインテーマを使用したことで、OP映像が始まった瞬間からこの壮大な物語を想起してもらえるものになったと思います。
どちらの曲もすごくドラマチックで、1曲を聴くだけで映画を1本観たような感覚になりますね。
1期から続けて観てくださっているみなさんは、あの耳馴染みのある楽曲が歌曲として新たに生まれ変わって聴けるところを喜んでくださっていますね。
この『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』シリーズは、2016年の1期でT.M.Revolution「RAIMEI」を提供、今期は西川さんが浪巫謠の役で声優としても参加。活動の中でとても重要な作品になりつつありますね。
はい。『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』シリーズは虚淵さんが台湾の布袋劇に惚れ込んで、この世界観の素晴らしさを台湾だけじゃなく、世界中に伝えたいというところからスタートしていて。もともとの布袋劇はひとりの弁士さんが全ての登場人物を演じるもので、そこに声優をキャスティングしたり、CGを使ったり…台湾と日本の文化が融合した、実験的かつチャレンジングな作品なんです。細部にまでこだわりながら、指先にまで神経を巡らせるようにして届けている作品に音楽で関われるのは、その一旦を虚淵さんから預けていただいたようですごく光栄に思っています。それで、少しでも一緒にマッシュアップできることはないかと考えていたところで、OPとED、そしてキャストとしてもお声をかけていただくことになり、本当に嬉しいです。
最後に今後について少しお聞かせいただければ。
このソロはある種、自分の歌とか声を再発見する旅になっている気がします。各界のいろんな名作を感じたり、巨匠のもとを巡りながら、僕を通して作品としてかたちにしていく旅。これまでの活動との差別化を意識しなくても自然と浮き出てくるような活動をもっと作り込むべきだと思ったし、歌で何かを物語る上での表現力を培ったり磨きをかけたり、そういう鍛錬を続けていくことに意義や生き甲斐を感じます。改めて、歌というものに魅入られた、その代償を払い続けている感覚です。いずれはアルバムとかツアーができたらと思っていますので、これからの西川貴教の活動も注目してほしいです。
取材:榑林史章
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配信シングル「Be Affected」2018年10月5日より配信開始
EPIC Records Japan
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シングル「His/Story / Roll The Dice」2018年11月14日発売
EPIC Records Japan
- 【初回生産限定盤(DVD付)】
- ESCL-5130〜1 ¥1,800(税込)
- 【通常盤】
- ESCL-5132 ¥1,300(税込)
- 【期間生産限定盤(DVD付)】
- ESCL-5133~4 ¥1,800(税込)
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『京都新聞創刊140年プレイベント 京響プレミアム
大島こうすけ交響組曲「Life~キミトノセカイ~」』
2/10(日) 京都・京都コンサートホール
w)Beverly
ニシカワタカノリ:1970年9月19日生まれ。滋賀県出身。96年5月にソロプロジェクト“T.M.Revolution”としてシングル「独裁 -monopolize-」でデビュー。キャッチーな楽曲、観る者を魅了する完成されたステージ、圧倒的なライヴパフォーマンスに定評がある。また、故郷滋賀県から初代『滋賀ふるさと観光大使』に任命され、県初の大型野外ロックフェス『イナズマロック フェス』を主催、地方自治体の協力のもと、毎年滋賀県にて開催している。西川貴教 オフィシャルHP
「Be Affected」×「学園BASARA」
コラボレーションMV
「His/Story」×
「Thunderbolt Fantasy 東離剣遊紀」
コラボレーションMV