【PELICAN FANCLUB インタビュー】
生まれ変わったPELICAN FANCLUB
海外のシーンに共鳴するエッジーなロックバンドと思いきや、日本を代表するバンドになりたいというPELICAN FANCLUB。その想いを込めたミニアルバム『Boys just want to be culture』でメジャーデビューする彼らを代表して、フロントマンのエンドウ アンリ(Vo&Gu)にインタビュー!
メジャーデビューする現在の心境から教えてください。
純粋に生まれ変わる気持ちがあります。それはメンバーの編成が変わったからでもあるし、曲作りに対する意識が変わったからでもあるし。過去の作品を否定するわけでも肯定するわけでもなく、また違ったPELICAN FANCLUBのかたちを表現していける、表現していきたいと思っているところです。メジャーに行くからどうこうというよりは、純粋に新しい気持ち…新学期みたいな感覚が素直な気持ちです。
そういう変化が一度に訪れた時、エンドウさんを含めてメンバーはどんなふうに受け止めたんですか?
冷静でした。誰ひとり焦らなかった。もう一度、原点に返った上でメンバー同士で話し合いながら、自分たちには何が足りないのか改めて確認できたんです。ちょうどそういう時期だった。そこで僕ら3人と見ているものが違うということが分かって、ギタリストの脱退ということになったんです。
生まれ変わったPELICAN FANCLUBの新しいかたちが今回のミニアルバムだと?
その話の前にエンドウさんが音楽の道に進もうと思ったきっかけを教えてもらえますか?
小学生の頃、友達の付き合いで映画『ONE PIECE THE MOVIE デッドエンドの冒険』を観に行ったら、そこで流れていたBUMP OF CHICKENの「sailing day」が衝撃的で。それでギターを買ってもらったことがきっかけでした。
そこから海外のアーティストも含め、いろいろな音楽を聴いてきたのでしょうか?
学生時代に熱狂的に聴いていたのは、SONIC YOUTH、The Smiths、The Cure、MY BLODDY VALENTINE、The Jesus & Mary Chain、Bauhaus等なんですけど、僕の芯になっているバンドはCocteau Twins。その後、The Pains of Being Pure at Heartをきっかけにドリームポップ系のバンドを聴くようになりました。日本のバンドではTHE NOVEMBERSのコピーもしていました。特にリスペクトしているのは平沢進さんで。平沢さんがやっていたP-MODEL、それとヒカシュー、プラスチックスという80年代のテクノポップの御三家はずっと僕の中で偉大な存在です。
そういう音楽を吸収した上で、PELICAN FANCLUBならではと言えるサウンドを追求しているわけですね。
ええ。今回はそれが特にできたと思うんです。今までは自分の憧れを表現している感じだったんですけど、今回は純粋に降りてくる気持ち良いメロディー、コード進行をかたちにした感覚的な作品になりました。それが冒頭に言った、曲作りも新しい気持ちでできるようになった理由のひとつなんですけど、自分の思うままに三大欲求的な感じで作りました。これまでの作品は毎回コンセプトがあったんですよ。赤色のアルバムだとか、青色のアルバムだとか、それに合わせて曲を作ってきたんですけど、コンセプトを設けるってことは制限があるわけで。赤に対して黄緑は違うでしょって感じが、今まではあったんですよね。でも、今回はそれがない。何も考えずに自分の中から出てきたものに対してイメージを膨らませながら作った音を聴いて、自分はこういう音階が癖なんだって客観的に分かった。結果、自分らしさが一番出たと思うんですよね。エンドウ アンリはこういう人間だって作品を作って気付いたっていう。そういう意味では、純度の高い人間味が感じられる。そこに美しさを感じています。
タイトルの“Boys just want to be culture”の“Boys”はもちろんPELICAN FANCLUBのことですよね?
そうです。僕たちの今のメンタル、曲の作り方がこのタイトルにかなり集約されています。将来的に“日本のバンドと言えば?”という問いに対して、PELICAN FANCLUBと言ってもらえるようなバンドになりたいんです。そして、僕らが憧れからスタートしたように、僕らに影響を受けたPELICAN FANCLUBみたいなバンドが生まれる。それも僕はひとつのカルチャーだと思っているんです。自分たちがやっていることに対して、そういう説得力を持ちたい。なぜかと言えば、僕ひとりだったら趣味でも良かったと思うんですけど、僕が作った曲に対するメンバーのアイデアに僕は誇りを持っているから、みんなに聴いてほしいと思うし、メンバーはメンバーで僕を信じてくれている。だったら、目指すところはひとつ。誰もが知っているし、歌えるしっていう…絶対的な存在になりたいんです。それぐらい自分たちには自信があるんです。
ある意味、リスナーを選ぶようなバンドだと思っていましたが、全然そんなことはないのですね。ところで、今回は音楽的に新たなチャレンジはありましたか?
3人になったので、1曲の中にそれぞれに美味しいところがある。全曲、そういうアレンジをしました。だから、今まで聴いていた人が新作を聴くと、やたらベースだけとかドラムだけとかになるところが多いなと感じるんじゃないかな。もちろんギターソロもありますけど。
じゃあ、今度のツアーではそんなところも観どころになりそうですね。
そうですね。視覚的に音楽を楽しんでもらえると思います。一番感じてほしいのは、3人のPELICAN FANCLUB。それと“バンドっていいな”って思ってほしいです。薄っぺらい表現かもしれないですけど、学生時代の友人の近況を知って、“この人、頑張ってるんだな”って思うと自分もちょっと熱くなるじゃないですか。今度のツアーでは、それを感じてほしいですね。
取材:山口智男
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ミニアルバム『Boys just want to be culture』2018年11月7日発売
Ki/oon Music
- KSCL-3109
- ¥2,100(税抜)
- ※初回仕様:JK絵柄特色“BLUE”ステッカー封入、ピクチャーレーベル
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『PELICAN FANCLUB TOUR 2018
“Boys just want to be culture”』
11/09(金) 福岡・Queblick
11/11(日) 香川・DIME
11/14(水) 愛知・CLUB UPSET
11/15(木) 大阪・Music Club JANUS
11/17(土) 広島・4.14
11/19(月) 宮城・enn2nd
11/26(月) 北海道・COLONY
11/29(木) 石川・vanvanV4
12/05(水) 東京・CLUB QUATTRO
ペリカンファンクラブ:シューゲイザー、ドリームポップ、ポストパンクといった海外音楽シーンともリンクしながら、確実に日本語ロックの系譜にも連なる、洋邦ハイブリッドな感性で多彩な楽曲を生み出す。エンドウの持つカリスマ性を柱に、光と闇の両極を鮮やかに描き出す楽曲の振り幅が持ち味。また、ステージとフロアーの境目をなくしたゼロ距離ライヴ『DREAM DAZE』を定期的に開催するなど、独自の視点を持った活動も展開。2018年秋、ミニアルバム『Boys just want to be culture』でメジャーデビューを果たす。PELICAN FANCLUB オフィシャルHP