東雲樹役の北川景子

東雲樹役の北川景子

【インタビュー】「フェイクニュース
」北川景子「『これが今の世の中なん
だ』という納得感に近いものがありま
した」

 「逃げるは恥だが役に立つ」(16)、「アンナチュラル」(18)など、数々のヒット作を送り出してきた脚本家・野木亜紀子が、初めてNHKのドラマを手掛ける。しかもタイトルは「フェイクニュース」(10月20日前編、27日後編 NHK総合午後9時)。文字通り、世界中で問題となっている“フェイクニュース”を題材にした社会派エンターテインメントドラマだ。話題性十分のこの作品に主演するのは、大河ドラマ「西郷どん」の篤姫役でも好評を博した北川景子。放送を前に、作品の見どころを語ってくれた。
-今、世界中で問題となっている“フェイクニュース”を題材にした作品とのことですが、台本を読んだときの感想は?
 物語はインスタント食品への青虫混入事件がきっかけで始まります。私が演じるネットメディア“イーストポスト”の記者・東雲樹は、その事件の真相を調べるうちに、思わぬ事態に巻き込まれていく…。思わぬ方向に話がどんどん広がっていき、どういうふうに展開していくのかと、読みながらドキドキして、すごくライブ感のある脚本だと思いました。結末も決して甘くはなく、現実の厳しさをきちんと描いているところがとてもリアルで、野木先生らしいなと。
―脚本家の野木亜紀子さんは数々のヒット作を手掛けられている方ですが、どんな印象を持ちましたか。
 映画からテレビドラマまで手掛け、原作ものもあればオリジナル作品もあり、幅広くいろいろなことに挑戦されていますよね。特に印象的なのは、野木先生の作品では女優さんがすごく生き生きとしていること。だから、私がご一緒したらどんなふうに書いてくださるのか、楽しみにしていました。
-今回演じる東雲樹はネットメディアの記者という役ですが、演じてみた感想は?
 不思議な感じです。これまでいろいろな職業を演じてきましたが、記者の役は初めて。ネットメディアが舞台なので、劇中にはウェブサイトのアクセス数を示す“PV数”という言葉が繰り返し出てきます。普段は皆さんの取材を受けて、記事に取り上げていただく立場の私が、PV数を上げるために記事を書く役を演じるのは皮肉だな…と(笑)。
-髪を切られたのは、役作りのためでしょうか。
 大河ドラマの「西郷どん」が終わって気分転換に切ったのですが、結果的にこの髪形が役の心情にもぴったりでした。社会人としての身だしなみ程度のことは押さえても、髪が長く、お化粧もバッチリ、みたいな女性らしさを前面に出すのは、樹のキャラクターには合わないなと感じたので。併せて、樹は大手新聞社からネットメディアに出向した記者ということで、新聞社時代のプライドを捨て切れていません。だから、ファッションも多少堅めのフォーマルなスーツのようなものを多くして、ネットメディアに染まり切っていないキャラクターを、衣装でも表現するようにしました。
-樹の職場となるイーストポストの編集長・宇佐美役の新井浩文さん、後輩記者・網島役の矢本悠馬さんの印象は?
 新井さんは経験が豊富で柔軟性のある方。監督から「今度は少し違った感じで」と言われると、すぐに対応できるところがすごいなと、現場で見ていて感じました。網島は樹の後輩に当たるので、役柄的に私が唯一、気楽にやり取りできる相手ですが、矢本さん自身もとても明るい方。大変な事件に巻き込まれた樹という役に入り込んでいる中で、撮影の合間に矢本さんがいろいろなお話をしてくれたおかげで心が癒やされ、とても助かりました(笑)。
-イーストポストのセットも個性的ですね。
 外資系の会社みたいですよね。真っ赤ないすが置いてあるカラフルなセットで、壁にテレビが掛けられていたり、植物が飾られていたり、広々として明るい雰囲気がすてきです。デスクの上に置く小道具も、美術さんが一人一人のキャラクターに合わせて変えるなど、細かいところまでこだわって仕上げてくれました。見た目だけでなく、作りもしっかりしているので、どの方向からでも撮影できるのが特徴です。作品によっては天井がない場合もあるのですが、今回は天井も映せるようになっています。
-この作品はフェイクニュースという、報道を巡る現代の問題が題材です。北川さんは報道についてどんな考えをお持ちでしょうか。
 今はインターネットが主流ですが、昔から新聞やテレビのニュース、雑誌の記事など、情報はいろいろなところから得ることができました。ただ、マスメディアが発する情報をいかに取捨選択するかは、受け取る側に委ねられています。テレビや新聞が同じ出来事を報道しても、それぞれ切り口や角度が異なるので、メディアによって大きく印象が異なります。だから、一つのニュースを見て、それをうのみにしてはいけない。そういう意味で、報道する側がその内容に責任を持つことはもちろんですが、受け取る側も自分たちの責任で判断力を養わなければならないと思っています。
-この作品を通して、そういった問題に対する意識は変わりましたか。
 それは変わりません。どちらかというと、「これが今の世の中なんだ」という納得感に近いものがありました。フェイクニュースは絶対になくならないし、止めようと思っても止められるものではありません。だから、それにだまされたり、踊らされたりしてしまう人がいるのも事実。SNSでたった1人がつぶやいたことが一気に拡散され、誰かが「本当は違う」と訂正しても、かき消されてしまう…。そういうことは今の世の中、当たり前に起きていることですから。そういった問題をエンターテインメント性豊かに伝えられるのが、この作品の大きな魅力だと感じています。
(取材・文/井上健一)

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