ハイパープロジェクション演劇「ハイ
キュー!!」〝最強の場所(チーム)″
ゲネプロレポート 青春と熱量が凝縮
された3時間超!

2018年10月19日(金)、TOKYO DOME CITY HALLにてハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」〝最強の場所(チーム)″ゲネプロ公演が行われた。囲み会見には、日向翔陽役の須賀健太、影山飛雄役の影山達也、月島蛍役の小坂涼太郎、山口忠役の三浦海里、及川徹役の遊馬晃祐、牛島若利役の有田賢史、演出家のウォーリー木下、そして音楽家の和田俊輔が登壇した。
左から三浦海里、有田賢史、影山達也、遊馬晃祐、須賀健太、小坂涼太郎 (c)古舘春一/集英社・ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」製作委員会
ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」は、「週刊少年ジャンプ」にて大人気連載中の原作・古館春一によるバレー漫画「ハイキュー!!」の舞台化作品。2015年の初演から2018年の〝はじまりの巨人″まで5作品を上演し、演出をウォーリー木下が担当している。シリーズ6作目となる〝最強の場所(チーム)″では、本作品の楽曲を手がける音楽家の和田俊輔が出演し、シリーズ初の生演奏を試みる。
また、3年間座長として作品を支え続けてきた須賀健太をはじめ、主役校である烏野高校のキャストは、今作で全員の卒業が発表されている。「常々いいチームだと思った」と3年間を振り返った須賀は、この日24歳の誕生日を迎えた。「芸能生活20周年という、これからが僕の役者人生の第2章とも言える日に、この作品をすることができて本当に幸せです」と喜びをあらわにした須賀。囲み会見の直後には、烏野高校2、3年生のキャストから祝福されるサプライズも。
(c)古舘春一/集英社・ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」製作委員会
舞台上だけでなく、稽古中も青春の日々を送ってきたキャスト陣による圧倒的熱量が感じられる会場より、ゲネプロ公演の模様をお伝えしよう。
<あらすじ>
春高バレー宮城代表決定戦を勝ち上がる烏野高校は、いよいよ準決勝を迎える。対戦相手は、インターハイ予選で惜敗した及川徹率いる宿敵・青葉城西高校。進化した速攻を武器に、主人公・日向翔陽とセッターの影山飛雄は、壁を乗り越えることができるのか。さらに決勝で待つのは、〝ウシワカ″こと牛島若利擁する絶対王者・白鳥沢学園高校。果たして全国大会への切符を掴むのは、最強のチームはどこか--。
宿敵・青葉城西とのエピソードが濃縮された第1章
本作は全2章からなり、第1章では「才能とセンス」と題し、烏野高校と青葉城西高校の試合が描かれる。冒頭、インターハイ予選で惜しくも勝利を逃した烏野と、勝利の喜びを分かち合う青葉城西のシーンから、物語が動き出す。「ダンスやバレーの細かい動きにしても、チーム感を出せるようこだわった」と会見で自信をみせたのは、青葉城西の主将・及川徹役の遊馬晃祐。〝勝者と敗者″以来、1年半ぶりに登場した青葉城西は、セッターの及川を中心に均整のとれた動きで攻撃を繋いでいく。しかし、新たにチームに加わった2年生の京谷賢太郎(北村健人)の存在が、時に牙となり調和を乱す。
(c)古舘春一/集英社・ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」製作委員会
各高校の特徴を取り入れたダンスに加え、ラップや小道具を交えた演出も見どころだ。及川と息の合った演技でチームを鼓舞するのは、青葉城西のエース・岩泉を演じる小波津亜廉。一方の烏野は、ジャンプフローターサーブを武器に挑む1年生の山口(三浦海里)をはじめ、澤村(田中啓太)、菅原(田中尚輝)、東峰(冨森ジャスティン)3年生の成長がドラマチックに展開していく。
(c)古舘春一/集英社・ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」製作委員会
第1章では、舞台上でテンポ良く試合が進行しつつも、各キャラクターにスポットが当てられ、人間ドラマも楽しめる内容になっていた。特に、試合後の青葉城西のシーンは見逃せない。松川(白柏寿大)や花巻(金井成大)を含む3年生のエピソードを終えた頃には、ひとつの舞台を見終えたような充実感があった。
手に汗握る迫力の決勝戦!烏野高校VS白鳥沢学園
後半の第2章では「コンセプトの戦い」と題し、強豪・白鳥沢学園高校との決勝戦が繰り広げられる。前作〝はじまりの巨人″では、主将・牛島若利(有田賢史)のみの出演となっていたが、本作において、いよいよ白鳥沢学園のメンバーが全員集結する。
(c)古舘春一/集英社・ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」製作委員会
力強く大鷲が羽ばたくようなダンスに加え、牛島の強烈なスパイク音、和田俊輔による重低音の響く生演奏が合わさって、冒頭から圧倒的な存在感を見せつける白鳥沢。ゲス・ブロックを駆使する3年生の天童(加藤健)や、次期エース候補の1年生・五色(菊池修司)をはじめとした個性豊かなメンバーが、次々と攻撃を仕掛けていく。
対する日向(須賀健太)は、純粋でシンプルな強さの白鳥沢を前に、速攻や助走を使ったブロックで立ち向かう。舞台の上下や奥行き、横幅を目一杯使って、立体的かつ素早く展開する試合を目で追うだけでも、キャストのエネルギーが伝わってくるようだ。特に、3年間座長を務めた須賀健太演じる主人公・日向の、常に舞台上を走り回る姿が印象的だ。その眩しさに感化されるように、月島(小坂涼太郎)が試合中に見せる闘志も見逃せない。両校が全力でぶつかり合う様子は、勝敗の行方が分からなくなるような緊張感と高揚感をもたらしていた。
(c)古舘春一/集英社・ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」製作委員会
白熱の決勝戦の後には、穏やかな時間が訪れる。本作をもって卒業となる烏野高校キャスト、最後の集いとなる場面の余韻に浸りつつ、幕が下りた。
囲み会見キャストコメント
——まずは公演への意気込みをおねがいします。
須賀健太(日向翔陽役)
今回で卒業ということで、大々的に謳ってはおりますが、気持ちとしてはいつもと変わらず、一公演一公演、この一作品を大切に演じ切ることに尽きると僕自身は思っています。そして今回は、和田さんが音楽で僕らを支えてくれるということもあり、本当に演劇ハイキューには色々な要素がたくさんあって、それがひとつになってこその、ハイパープロジェクション演劇になっていると思っています。今回の公演では、ひとつの集大成というのを見せられるのではないかなと。怪我をしないように、最後まで走り抜けたいと思います! 応援のほどよろしくおねがいします。
影山達也(影山飛雄役)
今回、簡単そうに見えて難しいことがたくさん増えていて、たとえば息合わせを全員でやるんですけど、そういったところの難しさや、演劇の楽しさをすごく感じています。体力の限界もあるかもしれませんが、そこを超えた演劇の新しい境地をみんなで見に行きたいと思います。応援よろしくお願いします。 
小坂涼太郎(月島蛍役)
言おうと思ってたことが健太(須賀)とまったく一緒で、(そう言えば許してもらえるとおもってるだろ!と須賀からツッコミ)音楽が生演奏ですごくて、人数も結構いるんですよ、前回の公演もですけど……。久しぶりの囲み取材で緊張していますが、今までと違ったハイキューになると思うので、楽しんでよろしくお願いします!  
三浦海里(山口忠役)
今回の作品でも、新しいことに色々挑戦していまして、それと、これまで僕たちが積み重ねてきたものとの融合が良い化学反応を起こして、すごい舞台が出来上がったんじゃないかなと思います。僕が個人的に挑戦していることもあったりして、いろんな意味で緊張はあるんですけど、それも含めて楽しんでもらえるように、精いっぱいがんばりたいなと思っています。よろしくお願いします!
遊馬晃祐(及川徹役)
僕たち青城は約1年半ぶりの登場になりますが、今回〝最強の場所(チーム)″ということで、ダンスにしても、バレーの動きにしてもこだわるようにして、最強のチームをつくれるよう稽古してきました。キャストも新しいメンバーが増えて、新たなチームになって、1年半前の〝勝者と敗者″とは違うチームになっていますので、そこを皆さんに楽しんでもらいたいです。この作品は日々成長する作品だと思うので、44公演、上を目指して頑張っていきたいと思います。
有田賢史(牛島若利役)
前作では白鳥沢学園から牛島若利のみの登場だったんですけど、今作で満を持して、白鳥沢の個性豊かなキャラクターがそろいました。〝最強のチーム″というタイトルが示すとおり、絶対王者のチームとして、圧倒的熱量をもって演じていきたいと思います。よろしくお願いします。
——全44公演で生演奏をされるとのことですが、音楽のこだわりを教えてください。
和田俊輔(音楽・演奏)
これまでウォーリーさんと一緒に培ってきた稽古のメソッドみたいなものが、演劇ハイキューでは出来上がっていました。それをこの期に及んで全部ぶち壊そうと思って、ゼロから稽古方針を変えて、そこで僕がどんな音楽をあてたいか考えさせて、ということをウォーリーさんに伝えました。その中でみえてきたのが、烏野のメンバーを含めた全員が、その場その場を生きているというか、物語も全部わかっていて、段取りもつけているんですけど、絶対そこで勝つか負けるかわからない試合をしているというのが、僕的には感動したんです。それを音楽に取り込もうとしたのがポイントでして、今回の音楽は、その場その場で作っています。キャストやお客さんの熱量を感じた一期一会を演奏として出そうとしているのが、音楽のテーマになっています。毎回同じ公演はないと思うので、そういった楽しみもあると思います。
——続いて、演出のこだわりを教えてください。
ウォーリー木下(演出・脚本)
ハイキュー‼は、部活をやっていた人や、何かチームに所属したことがある人なら、一度は経験したことがあるような、いろんなドラマが詰まっている原作なんですけど、それがバレーボールのコートのなかで全部起こるというのが、この作品の魅力だと思っています。なので今回、(舞台では)ずっと試合をしていますが、試合の中にたくさんのドラマがあって、人間ドラマが試合の進行とともに進んでいくという、試合を見ている感動なのか、人間を見ている感動なのかわからなくなるような演出を仕掛けています。生演奏もそれの一環で、生きた役者さんがその場で発する空気みたいなものを、どうやって、よりお客さんに届けられるかを考えたときに、音楽も生演奏になると全然違います。音楽や照明、映像などいろんなものが舞台上で同時にぱちっとハマるというか、その良さがハイキュー‼にはあると思うんですけど、それがより明確になって伝わるかなと思います。
——本公演で鳥野高校メンバーは卒業となりますが、改めてこれまでを振り返って、どんな思い出がありますか?
須賀:3年間、僕はこの役をやらせていただいて、ちょうど高校生活ひとつぶんということで、学生生活をもう一度やったような感覚です。常々いいチームだなと思った3年間でした。それで、最後の公演が〝最強の場所(チーム)″というタイトルなのは、何の因果か、すごく素敵なめぐり合わせになりました。僕たちが最強のチームだと思える3年間でしたし、今はまだ振り返れないくらいバタバタしていて、稽古もギリギリまでしていましたし、稽古方針をぶち壊された方はたまったもんじゃなかったです(笑)。ただ、だからこそ生まれたものもあって、新しいハイキュー‼というものが今回出来上がったと思います。でもそれは、僕らがやってきた3年間があったからこそできた新しいハイキュー‼じゃないかなと思っていて。僕らがやってきたものが基盤になれているんじゃないかなと思うと、そこは誇れるポイントだと思っています。
——須賀さんご自身の俳優生活も長いですが、その中でも、3年間というのはやっぱり長かったですか?
須賀:長いですね、21歳になる時くらいからはじまった作品で……(周囲を見回して)サプライズもなさそうなので自分から言いますと、今日、僕誕生日なんですよ。今日で芸能生活20周年ということで、このタイミングで、この作品が一発目にできたということは、すごくすごく、僕の中では幸せなことです。
——最後に一言お願いします。
須賀:明日から44公演ありますけども、本当に僕ら全員勝つつもりでいて、どちらが勝つとか負けるとか、物語上は決まっているかもしれないけど、そういうことではなく、どのチームも全力で一点一点にしがみついていて、全力で勝ちというものにこだわっています。そうしたところは、役者というものを超えて「演じている」とも異なるような、リアリティのある「生きる」ということに繋がっているのかもしれません。とにかく作品を見ていただくことが一番良いことだと思うので、ぜひ劇場に遊びに来ていただければと思います。よろしくお願いします!

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