田村睦心、水瀬いのり、花守ゆみり、
人気声優3人が癒し系ファンタジーア
ニメ『メルクストーリア -無気力少
年と瓶の中の少女-』の魅力や見どこ
ろを紹介

10月11日から放送スタートしたTVアニメ『メルクストーリア -無気力少年と瓶の中の少女-』。原作は、2014年1月のリリース以降、全世界で累計1350万ダウンロード、国内だけでも550万ダウンロードという人気スマートフォンRPGで、人間とモンスターが共存する優しい世界観が大きな特徴。アニメもゲームの魅力を継承した癒し系ファンタジーとなっている。

今回は、ともに旅を続けるメインキャラクター3人のキャストによる鼎談が実現。主人公である「癒術士(ゆじゅつし)」の少年ユウ役の田村睦心。瓶の中に入った謎の少女メルク役の水瀬いのり。二人と一緒に旅をすることになったモンスターのトト役の花守ゆみり。人気声優3人に『メルクストーリア』の魅力を語り合ってもらった。

「癒術」のシーンの映像と音楽にもヒーリング効果がある
──10月24日現在、第2話までが放送されたところですが、改めてアニメ『メルクストーリア -無気力少年と瓶の中の少女-』の魅力を教えてください。

田村:「癒術士(ゆじゅつし)」という存在がメインとなっている作品なので、世界観自体もすごく癒されます。ユウたちは、メルクの記憶を探すために旅に出るのですが、それだけのお話ではなくて。立ち寄る国々で、いろいろな人たちと絆を深めたり、その国の大変な状況を癒しながら解決していきます。
水瀬:モンスターは出てくるんですけれど、「討伐」みたいな雰囲気は全然なくて。ユウさんの持っている「癒術」という力を使って、モンスターを癒していくんです。だから、アフレコの時には、モンスターがやられる時の声も「悲痛にならないように」という指示があったりします。
田村:むしろ、「ちょっと気持ちいいくらいの声でやりましょう」と言われたりしていて。モンスターの声もただ「ギャオー」とか叫んでいるのではなくて、心を感じるんです。
花守:可愛らしいモンスターだけでなく、大きなモンスターもそうなんですよね。
水瀬:「ありがとう」と言ってるふうの「ギャオー」とか、そういった指示があります。
田村:ユウが「癒術」でモンスターを癒すシーンも、男の子主人公の必殺技というよりは、むしろ魔法少女感があります(笑)。
花守:「癒術」のシーンの映像と音楽自体にもヒーリング効果ありますよね。
田村:そうそう。モンスターだけじゃなくて、観ている私たちも癒されます。
田村睦心 撮影=福岡諒祠
田村睦心演じる、主人公ユウ
──田村さんは、そんなユウをどのようなキャラクターとして捉えて演じていますか?
田村:ユウは、ゲームではプレーヤーの分身みたいな存在でしたし、モンスターに対峙するポジションのキャラクターなので、普通だとやる気にあふれた主人公のイメージがあると思うんです。でも、実際はまったく真逆で、影が薄くて、無気力で、人と関わるのが嫌な訳では無いのですが、ちょっと引きこもり感がある子。癒術士の才能はありますが、とある理由でモンスターのことが怖くなっちゃってるから、「俺にはできないよ……」という感じだったんです。でも、メルクが「ユウさんならできます」と引っ張ってくれて、実際にやってみたら癒やすことができた。そうやって、少しずつ自信をつけているところです。
──田村さんが演じる少年主人公といえば、前向きで元気なイメージが強いのですが、ユウは少し違う方向性のキャラクターですね。
田村:最初の頃のアフレコでは(音響監督から)「必殺技が出せそう」と言われて(笑)。もっとひょろひょろな感じというか……。「人と喋るのがあまり得意ではない感じを前面に出して欲しい」という指示もいただきました。
──水瀬さんと花守さんは、ユウにどのような印象がありますか?
水瀬:私はユウさんに、普通の男の子主人公には無い「ヒロイン感」を強く感じていて。メルクを演じていると、「守らなきゃ!」みたいな気持ちになります(笑)。それに、人との出会いを通じて一歩ずつ成長していく主人公なので、最近のアフレコでは、1話のユウ君だったら言わなかったなだろうと思うようなセリフも出てきたりして。親心というか、母性を芽生えさせてくれる男の子です。ただ私は、ちょっとへっぴり腰なところのあるユウ君もすごく好きなので。ある日、突然「ひとりで何でもできるよ」って言われたら、寂しく感じる気がします(笑)。
花守:最初の方のお話では、ユウさんがモンスターを苦手そうにしているシーンや、無気力そうなシーンがけっこうあるんです。でも、根っ子はすごく優しい子だから、誰かが困っていると必ず助けてくれます。まあ、メルクに引っ張られながら、ではありますが(笑)。トトを演じている時も、ユウさんの優しさにすごく甘えている感覚はあって。ユウさんが優しいからこそ、すごく自由で元気なトトを演じられるんですよね。
水瀬いのり 撮影=福岡諒祠
水瀬いのり演じる、瓶の中に入った謎の少女メルク
──次はメルクについて聞かせてください。
水瀬:メルクは、瓶に宿った不思議な生き物なんですけれど、あふれ出る神秘さが魅力で、普通の人間にはないギャップ感をたくさん見せてくれる子です。あとは、(危険な)モンスターが目の前に現れた時、「このモンスターを癒すことは、ユウさんにしかできないんですよ」と背中を押す姿には、すごく女房感があるし、格好良さも感じています。それに、訪れる国々のいろいろなモンスターのことも心配してあげたりとか、とても心優しいんです。見た目の可愛さだけではない内面の魅力は、アフレコをしていくうちにどんどん気づいていきました。
田村:メルクの魅力は可愛らしい外見とのギャップ。いのりちゃんが言っていた「女房感」というのは、まさにその通りだと思います。序盤の頃のユウ君を見ていると、私は「行けよ! 主人公だろ!」って、少しイライラしちゃうところもありました(笑)。でも、メルクが引っ張ってくれることによって、嫌々ながらも立ち向かっていけるし、メルクとパートナーで本当に良かったなって。上手く手のひらの上で転がしてくれる、最高の女房だと思います(笑)。
花守:私もユウさんとメルクはとても良い関係だなって思います。「記憶を取り戻したい」という意志を持って旅しているのはメルクで、ユウさんはメルクに引っ張られている感じ。でも、癒術士として戦うのはユウさんなんですよね。だから、ユウさんとメルクは、二人で主人公という役割を担っているんだなと感じています。それにメルクは、最初にトトのことを心配してくれた子でもあるので。たぶん、メルクがいなかったら、トトはユウさんに付いていくことも無かったし、もっと酷い目にあっていたかもしれない。だから命の恩人なんです。ただ、トトは、メルクではなくユウさんが命の恩人だと思っている節があって。メルクに対しては反抗期みたいな態度を見せたりもする。なんだか、二人の子供みたいな感じもあって。私はお父さんとお母さん、みたいに思いながら演じています(笑)。
田村:そうだったんだ? 急に気恥ずかしくなってきた(笑)。
水瀬:うん(笑)。
花守:ユウ君とメルクがケンカしてるところを見て、いつも「また痴話ゲンカか~」って思っていますよ(笑)。

花守ゆみり 撮影=福岡諒祠

花守ゆみり演じる、二人と一緒に旅をすることになったモンスターのトト
──では、トトについても聞かせて下さい。
花守:体は小さいけれど、大小を問わずいろいろなモンスターとすぐに仲良くなれるという、すごいコミュニケーション能力の持ち主。主人公はユウさんとメルクなんですけれど、お話の中で最初にモンスターと二人を繋げるのは、トトの役割なのかなと思いながら演じています。二人がその国の人々と話している時、後ろでモンスターとめちゃくちゃ遊んでいるシーンとかもあって。本当に自由な子だなって思います。
──トトのセリフは、台本ではどのように書かれているのですか?
花守:だいたい、「きゅー」って書かれてますね(笑)。時々、ト書きに気持ちが書いてある時は、もちろん、その感情で言うようにしています。ト書きに何も書いてない場合も、台詞の横に自分で「こういう気持ちかな?」って思った日本語訳を書いていますね。その時は、ちっちゃなモンスター感が出るように、なるべくシンプルな言葉を使っています。
──田村さんと水瀬さんはトトにどのようなイメージを持っていますか?
水瀬:トトは見た目通りの愛されキャラで。一見、トラブルメーカーになりそうなポジションなんですけれど、本当に空気が読めて、気が利く子なんです。常にサポートしてくれるし、理由の無い行動はしない。本当に賢い子だなと思います。それに、さっき、ゆみりちゃんも言ってましたが、トトは、大小問わずいろいろなモンスターと仲良くなれるんですよね。きっと、メルクは、トトが他のモンスターと和やかに交流しているシーンは、ユウにとって、すごく良いお手本にもなると思っているはず。きっと、「ほら、ユウさん、これよ、これ!」って見せたいくらいだと思います。あと、個人的には、こんなにも賢くて気が利くマスコットキャラって、少し珍しい気がしています。
田村:すごい知性を感じるよね。
水瀬:だから逆に、ユウさんやメルクに会うまで、どんな生活をしていたんだろうって気になります。
田村:別の人間と旅でもしてたのかな?
花守:そんな裏設定が(笑)。
田村:あまりにもトトが賢いので、(第1話の回想シーンに出てきた)ユウのお父さん役の内匠(靖明)さんは、「もしかして、トトって、俺なんじゃない?」と言ってました(笑)。
──行方不明になっているお父さんがモンスターになって、息子の元に戻ってきたと?
花守:じゃあ、いつか私、内匠さんにトト役を取られちゃう?
──もしかしたら、最終回あたりで、そういった展開が?
花守:ええ~?
水瀬:ダメダメ。トトの声は、絶対にゆみりちゃんが可愛いから、ダメです(笑)。
田村:それは間違いないね。内匠さんには、お父さんのままでいて欲しいです(笑)。
花守:良かった(笑)。
先行上映会ではみんなが癒されてすすり泣いていた
──第1話放送直前の10月7日には、「TVアニメ化記念!メルクストーリア スペシャルイベント 第1話先行上映会」が開催されました。田村さんはこのイベントにも出演されていますね。
田村:お客さんの多くは、たぶんゲームから『メルクストーリア』を好きでいてくださった方たちだと思うのですが。イベントのMCとして、公式Twitterで広報を担当してくれているティティとチャチャの声を演じている桑原(由気)さんと、久保田(梨沙)さんも出演されていて。最初に二人が登場して喋り始めた時、客席から「ギャー! ティティとチャチャが喋ってるー!」みたいな、すごい歓声が聞こえてきました。
水瀬&花守:すごーい!
田村:その後も、お客さんが前のめりというか、とても熱心にお話を聞いてくださって。静かながらも、「うんうん」って、すごく頷きが深いんですよね。あとは印象的だったのが、1話を先行上映した後、ステージに出て行ったら、みんなすすり泣いてるんですよ。
花守:そんな雰囲気だったんだ?
水瀬:皆さん、なんてピュアなんだろう……。
田村:エンディングテーマ(『Bottleship』)は、いのりちゃんが歌ってくれてるんですけど。
水瀬:はい。メルクのキャラクターソングとして歌っているんです。
田村:絵も曲も歌も、全部が癒されるようなエンディングで最高でしたね。ただ、私もその時に初めてエンディングを観たので、歌詞とかまではしっかりと聴く事ができなくて。早くまた聴きたいなと思っています。
──実は、この取材も第1話の放送直前に行われているんですよね。なので、後ほど水瀬さんと花守さんにもエンディングを観ていただこうと思います。ちなみに、水瀬さんと花守さんも、早く熱心なファンの皆さんに会いたいのでは?
花守:はい、今のお話を聞いて、ますます会いたくなりました。
水瀬:先行上映会の会場には伺えなかったのですが、映像でファンの皆さんにメッセージを伝えさせていただきました。でも、まさか会場が、そんな感動的なムードになってるとは思っていなくて。(テンション高く)「皆さん、楽しんでますかー!?」みたいなノリで呼びかけてしまっていたので、今、話を聞いて「やっちゃった……」って(笑)。
花守:あはは(笑)
水瀬:ファンの皆さんに「水瀬いのりは、何も分かってないな」とか思われてなかったかな?
田村:大丈夫、大丈夫、そんなことはなかった(笑)。会場の雰囲気にも合ってて、良い感じだったよ。
水瀬:だったら、良かった……。
花守:もうイベントでは皆さん第1話を観ているし、この記事が出るときには、放送も始まっているんですよね……。トトは、ゲームでもマスコット的なキャラで、すっと主人公たちと一緒にいるので、皆さんの想像していた声と違ってたら、どうしようかなって……。でも、今、本当に自由に演じさせていただいて、きっと、これからも自由に演じていくとは思います(笑)。作品自体は、きっと原作が好きな皆さんにも楽しんだり、感動したりしていただけると思うので、早く皆さんの感想を聞いてみたいですね。

左から、水瀬いのり、田村睦心、花守ゆみり 撮影=福岡諒祠

これは浄化されるよ……(田村)
──エンディングの映像を観る準備もできたのですが、その前に水瀬さんから、エンディングテーマ『Bottleship』の印象やレコーディングでのエピソードについてお話いただけますか?
水瀬:すごく声を重視しているような静かな楽曲です。完全にメルクが歌っているというよりも、水瀬いのりとメルクの中間、ややメルク寄りくらいの歌になっていると思います。それに、時代とかも超越して、メルクが時の流れの中をさまよいながら歌っているような感覚の曲なので、アニメ本編とはちょっと違うメルクを意識しています。レコーディングの時には、プロデューサーさんから、「聴いている人を浄化するような曲に」みたいな指示もありました。さらに、途中で変拍子なところもあったりして、すごく難しい楽曲でした。
──では、皆さんでエンディングを観ていただきながら、改めて、感想を伺えますか?
田村:(映像を観終えて)イベントでは観るのが初めてだったので、絵に意識が行っていたところもあったのですが、歌と絵と一緒に観たら、私もちょっと泣きそうでした。本当にすごい透明感ですね。あ、やばい本当に泣きそう(笑)。
花守:うんうん。記憶を無くしているメルクが記憶を積み重ねていくという歌を歌っているというのが、すごく胸に来ますね。絵もすごく奇麗だし、浄化力が抜群です。
──田村さん、泣きそうというか、本当に泣かれていますね(笑)。
水瀬:先行上映会の時も、お客さんはこの状態だったってことですね。
田村:そうそう。こういう感じだった。(泣きながら)これは浄化されるよ……。
花守:めっちゃ泣いてる(笑)。
水瀬:嬉しいです(笑)。
田村:ちょっと、恥ずかしい(笑)。
──ますます盛り上がってきたところなのですが、これが最後の質問になります。読者の皆さんに、ネタバレにならない範囲で、第3話以降の見どころをお願いします。
花守:3話は、トトにとっては悲しいことがあり、試練の話数かなと思っているんですけれど……。とても綺麗な国のお話になっています。あと、この作品では、いろいろな国が登場しますが、国ごとの世界観というか、国の決まりなどが違うんですよね。2話からは、そのことを改めて実感してもらえるだろうし、きっと、そこも楽しんでもらえるかなと思っています。
水瀬:3話にはある親子が登場するんですけれど、個人的にはすごく頬が緩むようなキャスティングでした。あと、私たち3人とジャモ役のチョーさんは固定ですが、ゲストキャラは毎回入れ替わり、キャストさんも本当に豪華なので、私たちも負けないようにという気持ちで頑張っています。ぜひ、3話以降も楽しみにしていてください。
田村:1話は(メインキャラの)自己紹介的なお話で、2話からどんどん国を旅していくのですが、3話以降は前編と後編に分かれているお話もあったりして、国ごとにお話のボリュームも違ってくるし、いろいろなテイストの国やお話が出てきます。だから、原作ゲームをプレーしている人は、ゲームをやった時に感じたのと同じ楽しみだけではなく、「アニメではこうなるのね」という新たな発見をしてもらえると思います。もちろん、ゲームを知らない人も楽しめるアニメです。この作品で癒された後、ぐっすりとお休みになってもらえたら嬉しいです。
取材・文=丸本大輔 撮影=福岡諒祠

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