sleepyhead 全精力をクリエイティブ
に注いでいく、武瑠が突き進む“3D音
楽”とは?

ボーカリストやラッパーが、コンポーザー/プロデューサー/トラックメイカーなど多彩な活動により肩書きを増やしてクリエイター化していくいまの時代、音楽だけに特化しない多角的なスタイルでクリエイティブな発想を形にしていこうとしている特異な人物がいる。それがsleepyhead(スリーピーヘッド)の武瑠だ。アルバムを出してツアーをやって、という既存の音楽のルーティーンワークだけでは飽き足らない彼は、「俺が得意なのは映像と企画立案。いまはそれを使って、音楽だけじゃなくsleepyheadというブランドを確立するためにも、そこから派生する、自分もみんなもドキドキするようなコンテンツを多角的にクリエイトするという挑戦をひたすら続けてる。だから、俺がやってることはミュージシャンじゃないかもしれない」と目を輝かせながら語る。バンド時代、ヴィジュアル系というジャンルで異端児だった彼は、ソロになって以降、さらにハードな茨の道を自ら強い覚悟を持って歩んでいた。それでも、彼の表情は活き活きとしている。今回、sleepyheadが放つ1stEP盤『NIGHTMARE SWAP』は、SKY-HI、MOMIKEN(SPYAIR)を筆頭としたメジャーアーティストから、AISHA、PLASTICZOOMS、さらには前作にも参加したWHITE JAM、そこにサウンドクリエイターのTeddyLoidTom-H@ckSuGのメインコンポーザー&ギタリストだった盟友・yujiも加え、曲ごとに各々とコラボレートを繰り広げ、スワッピングして創作。アートワーク、コラボ内容、ツアーなど、様々な企画を通してsleepyheadがプロデュースするハロウィンを立体化したという今作。全精力をクリエイティブに注いでいくsleepyheadの表現を総称して、「あえていうなら3D音楽」と語る武瑠が、今作とともに、いまの表現に至ったプロセスを激白する。
sleepyheadを完全なるブランドに仕上げるためにも、ダサいことは一切やっちゃいけない。ソロは無理ゲーでしかなかったから、めちゃくちゃ怖かった。
――今年6月に1stフルアルバム『DRIPPING』を出して、もうEP盤をリリースでしょ? このリリースのスピード感、さらにはライブにおけるsleepyheadの進化の速度も含め、もしかすると、武瑠さんの体内では普通の人よりも速い速度で時間が経過しているんじゃないかなと思ったんですけど。
それ昔からよくいわれてきたけど、俺は今回、それと同じことをSKY-HIに思いました。AAAで3日間東京ドームでライブをやった次の日ぐらいに、今回の「1 2 3 for hype sex heaven feat.SKY-HI,TeddyLoyd、katsuma(coldrain)」のラップを入れて返して来たんですよ。“この人、俺よりももっと速いスピードで生きてる、ヤバイな。いつ寝てるんだ?”って思いました。初めてかな、人に対してそう思ったのは。……あ、MIYAVIさん以来だな。何かに対して自分の時間を割いてる割合が凄いなと思ったのは。
――今作のコラボは、どんな風に進めていったんですか?
今回は合気道みたいな作り方をしていて。最初からガチガチに決めてというよりも、相手の出方を見てから俺がやるという感じで作っていったんです。相手に合わせてこっちが柔軟にやり方を変えていくというやり方。そこが新鮮でしたね。
―― 一番最初にあった曲はどれだったんですか?
「1 2 3 for hype sex heaven feat.SKY-HI,TeddyLoyd、katsuma(coldrain)」ですね。日高くん(SKY-HI)とは、(SuGのラストライブとなった2017年9月2日の)武道館の3日後ぐらいに会って一緒に遊んだときに、俺はまだ音楽をやるかどうか分からないって話をしたら、「復活したら手助けするよ」ってそのときにいってくれてて。それがあった上で、まず企画書を書いたんです。日高くんは最初、ファンクをやりたかったみたいなんだけど、俺はSKY-HIとやるならダークなものをやりたかったから、自分の持ち曲で<1 2 3 for hype sex heaven>というフレーズを思いついたときに“これだったらいける!”と確信して。それで、SKY-HIとやるならアレンジャーはTeddyLoidだと思ったので、まずアレンジを作って。それとミュージックビデオ(以下、MV)のコンテとかストーリーを書いた企画書をSKY-HI側に投げたら「これだったらやりたい」といってくれたんです。
――企画書でやりたいことを通すという発想が武瑠さんらしいし、面白いですよね。
それをKatsumaくんにも見せて、「フィーチャーリングとかできないですか?」っていう話をしたら「やりたい」といってくれて。この曲は、企画書前提でみんな参加してくれた感じなんです。「BACK TO FIRST DAY feat.SHIROSE(WHITE JAM)」と「DON’ T YOU LET ME GO feat.AISHA」、「Neverending dream feat.SHO ASAKAWA(PLASTICZOOMS)」は、【sleepyhead✕あなたが思う悪夢を書いて下さい】というテーマでオーダーしてできました。「INSIDE OUT KISS feat,MOMIKEN(SPYAIR)」は最初、曲ごとSPYAIRにお願いしようとしてたんですけど、スケジュール的にNGになってしまったので、曲は自分が書いて。曲と抽象的なイメージ、“INSIDE OUT”という言葉と“ふたりの記憶よ消えないで”とか。そういうのだけをMOMIKENさんに伝えて。MOMIKENさんも1日で歌詞を書いてきてくれました。
sleepyhead/武瑠 撮影=大橋祐希
――なるほど。今作でコラボした人たちとの交友関係についても聞きたいんですが。SKY-HIとはどんな風に出会ったんでしたっけ?
最初に話したのは、たしかUVERworldの打ち上げで。俺が英語の先生と話してるときに、SKY-HIも英語がしゃべれるから入ってきて3人で英語でしゃべったのが最初。本当に深く話したのは武道館の後に会ったとき。そこでバックボーンとかいろいろ話して「ヴィジュアル系バンドっぽくないことをよくいってるなと思ってたけど、だからああいうツイートしてたんだ」って、あっちは腑に落ちた部分があったみたいで。若干境遇が似てる感じもあったんですよ。お互い進学校に行ってたのに外で違うことをやってて、早い時期に外で活動をしだしたところとか。
――自分の美学や価値観をはっきりと持っているところとか、言葉の扱いに長けているところ、自ら茨の道を選択していくところとか、すごく似ていると思いますよ。二人ともイケメンだし(笑)。
ははっ(笑)。規模は全然違うんですけど、アンダーグラウンドとオーバーグラウンドの間に立ちたいという感覚が日高くんにもすごくあって。それを、俺はSuGでも目指してたんだけど、一人になってからはもう少しアンダーグラウンド寄りにシフトしたんです。そういう両極端な価値観を持ってるところが、共通してるのかなと俺は思います。だから、日高くんも興味を持ってくれたんじゃないかな。だって、いろんな人に勘違いされてるからいっておきたいんですけど、普通に考えて今回のEPなんて「事務所に入ってないとこんなのできっこないでしょ?」っていわれるけど、自分は本当に事務所もないし、後ろ盾もないんですよ。だから、商業的に考えたら俺なんかとやってもなんもおいしくないし、SKY-HIなんて、もっと売れてる人といくらでもできる訳だから。なのに、俺とやりたいと思ってくれたのは、なにか面白い企画があったらすぐやりたいっていう能動的にピックしていく精神がある人で、そこのアンテナに引っかかってくれたからなんだろうなと思う。探究心がある人しかこんなのやらないですよ。いまの俺とやったって儲からないんだから(笑)。
――それなのに、この曲に関しては楽曲への参加だけでなくMVまで出てもらってますからね。
あれもね、2カ月半ぐらいスケジュールをすり合わせしたんだけど、4人とも空いてるところが1日のなかの8時間しかなかったんですよ。でも、どうしてもMVを撮りたかったの。曲のタイトルのフレーズを思い浮かべる前から、4人で演奏してる映像から(登場キャラクターを)殺してるシーンだけアニメになるという映像をこの曲で撮りたいというのがあったから。
――武瑠さんのなかでは、映像ってかなり早い段階からあるものなんですね。
そうですね。そこは俺の特殊かつ、伸ばしていくべき武器だと思ってます。

――MVでは4人のアーティストのエネルギーがぶつかり合う生々しいパフォーマンス映像が、突然エグいアニメ映像へと切り替わるというぶっ飛んだものになっていましたが。
アニメのパートは、それぞれの“欲望の部屋”を開けて殺していくという設定なんだけど。人によって、倫理とは別の正義感があって。正義は一つじゃないのに、“なんで自分が100%正しいと思って人のことを叩いたりできるんだ? やばいなコイツら”と俯瞰で感じたことがこの曲のテーマで。“1 2 3 4 5 6 7”と超規則通りのものしか許せない、それ以外のものは排除するという人とは俺は仲良くなれなくて。同じ数字の羅列でも、聴感上“1 2 3 for hype sex heaven”とも聴こえる人のほうが仲良くなれる。それを伝えたら、SKY-HIから<正義を定義する程の恐怖はない>という完璧なラップが返ってきた訳なんだけど。見方によって価値観は変わるというのが、タイトルからもラップからも、映像からも出せたと思います。MVはいままでのアートワークのなかから一段階違う高いレベルにいけたなという手応えがありました。もう逃げ道がないっていうぐらい自分のいま持ってる能力と、夏のツアーの収益すべてここに使いましたから。
――おぉー。本当に?
本当に。いまどきメジャーでもこのクオリティーのMVはなかなか撮れないですよ。マジで逃げ場なしのクリエイティブです。これは。
――わー。そのヒリヒリするような言葉で、このMVのカッコよさが倍増しました。
「そんなことやってると破綻するよ」っていわれるんだけど、俺はいま、そこまでやらなきゃいけない重要な時期なんです。完全なるsleepyheadというブランドを作るために。
――このMVも、sleppyheadのロゴが消える最後のところまでカッコよかったですからね。
俺がこれからやることにはモーションロゴが絶対に必要になると読んでいるので、最後のロゴは妥協せず、1年前に作りました。みんなロゴがポンと出てくるぐらいだけど、俺の場合は完全な映像ステッカーが必要だなと思ってたんです。めっちゃ時間かけて何回も作り直したんですよ。あのモーションロゴは、催眠術をかけるときの振り子で、そこで催眠にかかって月になって夢になるという物語なんですけど。そこまで映像に整合性がないとインパクトが出ない。刷り込みじゃないですけど、sleepyheadは全作品の最後にあのモーションロゴを入れてます。
――そういう小さな部分までを“3D音楽”としてこだわって立体化させ、sleepyheadというブランドを確立していこうと。
そう。そうして完全なるブランドに仕上げるためにも、ダサいことは一切やっちゃいけないんです。商業的にはなんでもやっていったほうがラクですよ? でも、武士は食わねど高楊枝で、“辛い時こそ耐えろ、カッコいいことしかやるな”というのをやる前から自分で決めて。そう掲げていても、幾多のアーティストが途中で“ああ、この道無理だ”ってビビって元のところに戻っていったんで。
――たしかに。
だって戻ったほうが安定した生活できるし、ファンも帰ってきますからね。決して悪いことではないけど、俺は絶対それはできないって分かってたから。だったら、一人ひとりを洗脳レベルで“音楽”と“価値観”と“世界観”でファンにしていく。それしか道がないんです。しかも、バンドをやってた人がソロで成功するとなると本当に大変で。バンド解散後にソロでバンドの規模を超えられた人とか、ほぼいないから。基本、無理ゲーでしかなかった、ソロは。だから、めちゃくちゃ怖かったの、やるのが。ちょっとバカになんないとやれなかった。それが『透明新月』での“不完全復活”。
――あれはそういうことだったんですね。
はい。そうして、復活後に最初しかライブに来ない人たちがいるのも予想通りでした。でも、“そこでビビって戻らない”というのがテーマで。攻めるしかないんです、俺は。逃げ場がないので。それをどこでひっくり返せるかが鍵。本物のファンを獲得できるか否か。そのタイミングが来なかったら破滅するだけ。そういう活動の仕方をいまはしています。ファンの子の中には“武瑠は一人でも人気があるんだな”って勘違いしてる人が多いと思うんだけど、動員は着実に減ってますから。クリエイティブのクオリティーは上がっていって、そこが洗練されていけばいくほどそうなる(いったん動員が減る)のはある種常識だし、俺の予想の範囲。それでも“やろう”という覚悟を持って、いまやってます。
sleepyhead/武瑠 撮影=大橋祐希
――では、次に2曲目「INSIDE OUT KISS feat.MOMIKEN(SPYAIR)」についてなんですけど。サウンドは1曲目とはガラッとイメージが変わって。
この曲は、どこかに落ちていくイメージ。世界が逆さまになって、ソファーとかいろんなものが降ってくるんだけど自分たちだけはそのまんまという映像のイメージでした。イントロで最小限しか入ってない音が、サビで音の洪水になるという対比が気持ちよくて。俺のなかではかなりの推し曲、MV曲レベルの秘蔵っ子みたいな存在だったので、出すかどうか悩みました(笑)。いまの自分のビジュアル、基準値に合ってるのがこの1、2曲目なんですよ。ここで“NIGHTMARE SWAP”っていうものがちゃんと表現できたので、あとはちょっと外した遊びができたんです。だから後半3曲は作曲もゆだねて、6曲目は歌詞も書いてないです。
――3曲目は「BACK TO FIRST DAY feat.SHIROSE(WHITE JAM)」で、WHITE JAMは前作でも共演してましたよね? それで、次に武瑠さんがWHITE JAMの「シューズ」のMVにドラマーとして参加(微笑)。
あれは「なにがいい?」って聞かれたから「ドラムがいい」って俺がいったんです(笑)。ドラムが入ってるような曲じゃないけど(笑)。
――そうして、今回はSHIROSEさんが作詞、作曲の段階から参加して。
SHIROSE君からあがってきた曲がすっげぇいい曲で、さすがだなと思いましたね。めっちゃいい曲だから、今回の中で一番聴いてるくらい。これは俺には書けないな。嵐とかKAT-TUNで出したら売れそうな曲じゃないですか?
――ええ。ハイクオリティーなJ-POPですよ。
ヒットメイカーって凄いんだなって思いました。超締め切り過ぎて、この曲待ちでミックス2週間ずらして超大変だったんですけど、それでもすげぇいい曲を上げてきてくれたから。俺は5時間ぐらいで歌詞は書きました。発売日が遅れたらすべての負担は自分に返ってくるんで。でもそこは、バンド時代にみんなが遅れても自分が歌詞と歌入れでなんとか発売日に間に合わせるというのをやってきたから、こんなこと辛いと思わないハートがとっくのとおにできてました(笑)。
――4曲目の「DON’ T YOU LET ME GO feat.AISHA」はアゲアゲのパーティーチューンですが、ここでAISHAさんとコラボしようと思った理由は?
元々好きでライブに行ったりしてたら、SuGのライブにも来てくれて。そのときにyujiが「俺AISHA めっちゃ好きで聴いてるんだけど、なんで知り合いなの?」っていってたのを覚えてたから、yujiにも声をかけて。自分とは違うヒップホップ、R&Bのテイストを入れてくれる人がいいなと思ってAISHAにお願いしたんですけど。単純に歌力が凄すぎて、AISHAのレコーディングの後、自分の歌と聴き比べたら寝れなかったです。レベルが違いすぎて、ショックでマジ凹みました(苦笑)。自分の歌は1曲目のブレッシーに楽器っぽく歌うやり方が1番の武器なんですよ。皮肉にも、張り上げてた声だと、感情が強すぎて人が共感できない。そういう歌い方をしてたなと思って。それを外せたのが今回の1曲目なんですね。ライブだとエモい方がいいけど、音源だと感情移入できる隙間がほしい。でもAISHAの歌は、エモーショナルで、歌ってる人が主役なんだけど、聴いてて心地いい。そこが、選ばれし者だけが持った歌だなと思いました。
――そうして最後の5曲目「Neverending Dream feat. SHO ASAKAWA(PLASTICZOOMS)」で悪夢があけていく。
夢の終わり感が出てますよね。PLASTICZOOMSは前に対バンしたことがあって。海外でもやってるだけあって、曲を歌ってみたら待ったり喰いぎみでいったり、符割が面白かった。
sleepyhead/武瑠 撮影=大橋祐希
――今作を掲げたツアー『sleepyhead ONEMAN TOUR 2018 NIGHTMARE SWAP』は、フィーチャーリングの歌やラップを流しながら、武瑠さんがそこに生歌を絡めて、収録曲を表現していく感じになるんですか?
そうです。ここまで人の声ががっつり入ってくるライブは初めてなので、新鮮だし面白そうだなと思いますね。
――そうしてツアーファイナルの翌日、10月31日には『sleepyhead FES.2018 NIGHTMARE SWAP FES vol.1』を開催。こちらはどんな内容になるんですか?
この曲はWHITE JAM、この曲はAISHAとyuji とか、曲ごとに入れ替わり立ち替わりで一緒に作った人たちを招いてという、まさにSWAPなライブをしようかなと。これもみんな、よくOKしてくれたなと思ってます。
――もっと大きな会場でもよかったのでは?
いや。みなさんそういうんですけど、これでよかったんです。本当に、いまはチェキや営業的なことは何もやってないんで、その時点でそういうお客さんは相当離れてて。やってることも変わったから「ヘドバンできないならいいや」っていう人はごっそりいなくなったんですよ。ライブもいまはそういう感じじゃないし。バンド時代からいってるんですけど、俺どう見てもきれいに揃った8の字ヘドバンが楽しいと思えなくて。人間って興奮したら瞳孔開いたり縦に飛び跳ねたくなるものなのに、あんな綺麗にみんな揃って頭振ってる時点で冷静さ、ど残ってんじゃん!って思っちゃうんですよ。冷静じゃなかったら隣の人と頭ぶつかって大怪我しますからね。だから、ああいうガチガチに決まった動きをみんなでするっていうのが俺は嫌で、ずっといってきてて。そこは、sleepyheadの1stツアーで抜けきることができたんですよね。今のフロアの熱狂は、俺の誇りです。
sleepyhead/武瑠 撮影=大橋祐希
――さらに、この後12月29日には東京・渋谷ストリームホールで『共存半月』というライブも用意されていて。こちらはアートワークから、2018年3月17日の新月の日に行なった『透明新月』とのリンクをイメージさせるものになってました。
これは、今年を総括したライブを1本やりたいと思ってハコを探してたらこの日がでてきたんですね。総括だから始まりの『透明新月』と対比したものをやりたいなと思って、念のために月齢を調べたんですよ。そうしたら半月の日で。もうこれは神がかってるな、と。“なんなんだこれは”って怖くなりました。こんなことあります? sleepyheadのロゴを月に決めて以来、その発表の日を満月の日(1月31日)にしようと思って調べたら皆既月食、しかもスーパーブルー・ブラッド・ムーンで。たまたまでてきた初ライブの日が3月17日だったから、それも月を調べたら新月で。それで、今回が半月。しかも12月29日ってバンド時代の活休と復活の日なんですよ! もうなんなんだろうなと思うぐらい完璧すぎて怖いです。ここまでくると。
――『共存半月』というタイトルにはどんな意味が込められているんですか?
いま音楽をやっていく上で、ファン、フロアと一緒に作っていくというのがテーマなんです。
――今回、DMMスクラッチとコラボして、武瑠さんと一緒にファンがドリームキャッチャーを作って。それが『共存半月』のライブステージのセットになるという企画も、そのテーマに沿ったものだったんですね。
毎ライブそういうことができたらいいなと思ってて。自分完結ではなく、誰かとのコラボレーションで何かを作っていくというのは、来年からさらに具現化していくと思います。
――そのためのクリエイティブな企画も、一から企画書を書いて、人や企業にプレゼンしていく訳ですよね?
はい。通らなかったものも含め、企画書はこれまでにもめっちゃ書いてて、チャレンジしまくってますから。3D音楽として具現化して表に出てるのはその一角。その倍は断られてますから。でもくじけずに、自分が得意なのは映像と企画力なので出しまくってます。自分でアポとって企画書を出して。一人でやってるから、直でいろんな人にプレゼンする機会が増えましたけど、前は、書いても向こうまで届きもしないっていうことばっかりだったから、いまはそのストレスはまったくないです。ダメだったら自分の頭のせいですからね。
――今作のコラボもそうですもんね。
ええ。自分でプレゼンするほうが濃度がそのまま伝えられるから話も早くていいんですよ。俺は人に企画書を渡して、それを営業してもらうタイプじゃないんだってことがよく分かりました。分かってないフィルターを1枚通すと、濃度が薄くなって失敗するだけなんで。
――なんか、そのうちクリエイターとして音楽以外のフィールドからプロデュースのオファーがきたりとかしそうですよね?
ラクしようとして、前のジャンルとか前の友達とかと一緒にやってたら絶対に来ないような仕事が、いま自分のところに実際に来はじめてるから。だから、たとえ「小規模になったな」と人からいわれようが、俺が一番優先すべきはクリエイティブのクオリティーを上げていくこと。媚びずに美学が一緒のファンを探すこと。それがいまの俺の正解。そう覚悟して進んでいきます。逃げずに。チキンレースで、破滅するかどうかだからめっちゃ怖いけど。本当に自分の脳内、脳みそだけで勝負して、いまはいろんな種を蒔いているんだけど。それが音楽だけじゃなく、アニメなのか映画なのか、何で花咲くのか分からないけど。だから、来年とかライブの動員が何10人レベルまで減ったとしても、でも映画が大ヒットしてます、とか。そういう可能性もなきにしもあらずだから。自分にしかできないことを、貫き続けますよ。
取材・文=東條祥恵 撮影=大橋祐希

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