【5分で学べる】Red Bull Crashed
Ice、5つの基礎知識

大波乱とともに幕を開けた、Red Bull Crashed Iceの2018シーズン。今からでも最大限楽しむために、世界「最狂」の氷上バトルの魅力をおさらいしてみよう。
「そういえば、SNSのタイムラインで流れてきたことがある」
「どこかのニュースメディアで紹介されてたかも」
……というワケで、いつか見たことがある気もするけど、ソレに関して実際は何も知らない。そんなイベント、『Red Bull Crashed Ice』。ここでは、世界「最狂」の氷上バトルと評される、Red Bull Crashed Iceに関して5分で学べる基礎知識をお教えしよう。
【1:アイスクロス・ダウンヒルって何?】
Red Bull Crashed Ice (c) RED BULL CONTENT POOL
「○○クロス」ってことは……、とピンと来たあなたは正解。平たく言うと、スキークロスやスノーボードクロスの“アイス(氷上)”版ってこと。一度見たら、忘れられないでしょう。
斜面に作られたコースを、4~6人の選手が一斉にワーッと猛スピードで滑って、ジャンプして、ターンして、ぶつかったり、転んだりして、爽快かつ豪快に順位を競うアレです。
この種の「○○クロス」競技で言えるのは、レースはいつだって一寸先は闇、ということ。ゴール寸前で優勝を逃す悲劇も大いに「あるある」。だから、見る側のハラハラ度は満点(?)も、滑る側には恐怖のスリルとも背中合わせという、ある意味で非情な競技でもあるのだ。
Red Bull Crashed Ice (c) RED BULL CONTENT POOL
この氷上版となるアイスクロス・ダウンヒル。ハッキリ言って、その「非情」度はさらにアップする。選手たちはスケート靴とプロテクターを身につけて滑走。スキーやスケートよりも接地面が遥かに小さいブレードで滑るので、ほんのわずかなミスでも取り返しのつかない転倒になりかねない。
そんなパワフルでエキサイティングな競技を、シリーズ化したのが、Red Bull Crashed Ice。海外ではますますの普及と盛り上がりを見せ、今では関係者たちが、「近い将来に、世界最高峰スポーツイベントの正式種目に」と声をあげるほどなのである。
【2:Red Bull Crashed Iceの歴史】
Red Bull Crashed Ice (c) RED BULL CONTENT POOL
Red Bull Crashed Iceは今年で18年目。記念すべき第1回大会は、2001年にスウェーデンのストックホルムにあるフィッシュマーケット(魚市場!)で開催された。
その勝者は、地元スウェーデンのジャスパー・フェルダー。以来、毎年欧米の各地で開催すると、フェルダーが5連覇を達成。“絶対王者”が凱旋する年1回のレースは、徐々に人気が高まっていく。
次第に年2回から年3回の開催へ。フェルダーに続く、次世代の選手たちが次々と参戦しはじめ、2010年からはワールド・チャンピオンシップ(世界選手権)が開催されるようになったのだ。
翌2011年には年4回大会がデフォルトとなり、「誰よりも速い者が勝つ」シンプルなウインタースポーツの世界大会は、2012年には20万人もの観客を集める一大スポーツイベントに成長した。ちなみに、女子の世界選手権がスタートしたのは2016年から。シリーズ3年目だが、年々ますます逞しさと勢いを増している。
Red Bull Crashed Ice (c) RED BULL CONTENT POOL
新しい競技の隆盛に不可欠な次世代も育ちつつある。2017年からは、16歳から21歳が出場できるジュニアの世界選手権も開催されるようになった。ちなみに、彼らに憧れたり、アイドルのように崇拝したりするティーンエイジャーも、万国共通で見られる。
2018年初戦セントポール戦では、「どうしよう、(優勝した)彼がそこにいるわ、写真を撮りたい……」ともじもじしていた少女が、父の助けを借りて、その“彼”こと王者ミルコ・ラーティ(フィンランド)と記念写真を撮ることに成功していました。いい場面!
【3:レースの基本的ルール】
Red Bull Crashed Ice (c) RED BULL CONTENT POOL
とにもかくにも、勝敗のルールは、至ってシンプル。先にゴールした方が勝ちである。コースは、最長で600メートルを超えるダウンヒルトラック。4人一組で同時にスタートし、アップダウンや段差にカーブ、ローラーなどがあるコースを、誰よりも速く滑った者が優勝するのだ。
世界ランキング、ライダーズカップ(Red Bull Crashed Iceのサブカテゴリー)で優秀な成績を収めた選手たちが、Red Bull Crashed Iceの予選に出場できる(国別出場枠、大会開催国枠なども細かく決まってます)。
男子、女子ともに、予選はシュートアウトと呼ばれるタイムトライアルを滑走。2本のうち速いほうのタイムで、翌日の本戦ファイナルに出場できるか否か、どのヒート(組)で滑るかが決まる。
男子の本戦ファイナルは、予選を突破した64選手からスタート。それぞれ4人1組で滑り、2着内にゴールした2選手が次のラウンドへと進出する。「ラウンド・オブ・64」から「ラウンド・オブ・32」へと勝ち上がると、上位16人の「準々決勝」、さらに「準決勝」へとコマを進め、勝ち上がった最後の4選手で、「決勝」を行う。
Red Bull Crashed Ice (c) RED BULL CONTENT POOL
女子の本戦ファイナルは、予選を突破した16選手からスタート。「ラウンド・オブ・16」はつまり準々決勝で、勝てば「準決勝」のベスト8に進出。その準決勝を生き残れば、4選手で競う「決勝」の舞台へ行く。
4人がひしめき合ってスピードを競うが、故意の接触プレーはすべて禁止。ただし流れの中で、ちょっと触ったり、押したりというのはアリなので、激しくも紳士淑女的(?)に滑らなければならない。
【4:レースを楽しむための予備知識】
Red Bull Crashed Ice (c) RED BULL CONTENT POOL
選手たちのカラフルなユニフォームは、氷上でとても華やか。
国旗やスポンサーのロゴをはじめ、選手たちはアイスホッケーなど掛け持ちで他の競技や仕事をしている選手が多いため、自らのチームや会社をアピールしていたりする。なお、左胸についているRed Bullのワッペンに書いてある数字は、昨年の世界ランキング(順位)を表しているので、レースを見る時に参考にするといいかも。
選手たちは、アイスホッケーで使うプロテクターやヘルメット、スケート靴を履いて滑るが、最近は改良が進み、それぞれオリジナルのギアを作ったり、試したりしている選手も。より多様なギアが登場するようになり、氷上を賑やかに彩っている。
スピードを競う本戦のレース以外に、今シーズンからはフリースタイルという技を競う部門がはじまった(※フリースタイル競技を開催しない大会もあります)。テクニック自慢の選手たちが、スタートと同時に、例えばいきなり後ろ向きに滑降し、クルクルと氷上や空中を回転し、華麗な空中技を連続でジャンプしながら披露する、といった具合だ。
Red Bull Crashed Ice (c) RED BULL CONTENT POOL
文字どおりの離れ業の数々に、セントポールでは現地のファンも大興奮。会場では「ワオ!」「オーマイガーッ!」といった悲鳴にも似た歓声があちこちから挙がっていました。
【5:注目選手は誰?】
Cameron Naasz (c) RED BULL CONTENT POOL
男子はやはり、世界選手権二連覇中で歴代最多となる8勝を記録しているキャメロン・ナーズ(アメリカ)がまず挙げられる。
欧州とカナダ勢が優勢だった同大会も、ナーズがアメリカ人として初めて2015年にワールド・チャンピオンになると、以来ナーズが席巻。2016年と2017年は8戦5勝と他を圧倒した。今季は地元ミネソタでのセントポール戦で、ゴール寸前に転倒して優勝を逃しただけに、残りのレースの巻き返しが期待されている。
個人的には、第1回フリースタイルで優勝した“テクニシャン”のスティーブ・コックス(カナダ)と、優しい人柄が滲み出ているジョン・フィッシャー(カナダ)にも注目しています。フィッシャーは、ピンク色のユニフォームと黒縁メガネというインドア意外な風貌なのに実力者というギャップがたまらないのである。
John Fisher (c) RED BULL CONTENT POOL
女子は、ナーズ同様、世界選手権二連覇中のジャクリーン・レジェール(カナダ)が、この2シーズンで8戦4勝と5割の確率でレースを制しているが、これを2勝のミリアム・トレパニエ(アメリカ)や、今季セントポール戦で優勝したアマンダ・トルンゾ(アマンダ)ら実力者が僅差で追うかもしれない。
Red Bull Crashed Ice (c) RED BULL CONTENT POOL
そして、唯一の日本人代表でパイオニアの山本純子は、昨年は世界ランキング10位で今季もトップ10でスタートを切った。長年アイスホッケーで培った技術で、安定してファイナル進出を遂げている。昨季の最終戦では自己最高の4位をマーク。今季は表彰台なるか?

【最後に結論】
アイスクロス・ダウンヒルは、「最後まで何が起こるかわからない」。
選手たちはゴールを目指し、集中のボルテージを最大限に高め、氷上を駆け抜ける。お気に入りの選手を見つけてもいいし、ただただレースに夢中になったっていい。
最速が一番。
いろいろ書いたけれども、何も知らなくたって、見ればわかる。華があって単純で面白い。それがこの競技の最大の魅力なのだ。
(※RedBull公式サイトより転載)

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