『FGO』制作スタジオが新たにオリジ
ナルボードゲームを手がける ディラ
イトワークス発表会レポート

11月12日、ディライトワークス株式会社(以下、ディライトワークス)は、日本を代表するボードゲームデザイナーであるカナイセイジ氏(カナイ製作所 代表)の協力のもと開発した初の完全オリジナルボードゲーム2作品『The Last Brave』と『CHAINsomnia〜アクマの城と子どもたち〜』の詳細を発表した。
ボードゲームの多様性に潜む「面白さの本質」
まずメインスピーカーとして登壇したのは、FGO PROJECTのクリエイティブプロデューサーであり、今回の商品企画の責任者であるディライトワークス株式会社 クリエイティブオフィサー 塩川洋介氏。
(c)DEAR SPIELE Inc.
最初に、ボードゲーム業界の状況などスライドを使った説明があり、ボードゲームを作るに至った背景や想いを語る。
まず、ドイツ・エッセンで行われた世界最大級のボードゲームフェアのスライドから。その来場者数は19万人。日本国内で行われているAnime Japanが25万人、東京ゲームショウは23万人なので、海外ではデジタルゲームやアニメのイベントに匹敵する規模となっていると語る。
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また、国内でも2000年に来場者数400人から始まったゲームマーケットが10数年かけて、昨年の実績で2万人まで増えており、特にここ数年で急成長している。ボードゲームの市場が伸びる要因、魅力として、ゲームデザイナーが自由自在に考えて内容物からルールまで作って組み立てていくところに、多様性があり、様々な発想で毎年たくさんのゲーム生まれているなかに、ディライトワークスが求めている「純粋に面白いもの」「面白さの本質」がボードゲームにあると塩川氏は語る。
塩川氏は、そういったボードゲームから色々なことを学んで、これから制作していくボードゲームはもちろん、デジタルゲームを作る活動に生かしていけたらという想いがあるという。
『The Last Brave』は“カナイ節全開”
次に、今回発表された2作品の制作・監修を手掛けたカナイセイジ氏が登壇し、自身がデザインした『The Last Brave』についてゲームシステムなどの説明があった。
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カナイセイジ氏は、ボードゲーム先進国ドイツにて、毎年、その年を表す代表的なボードゲームを選出する「ドイツ年間ゲーム大賞」に於いて『ラブレター』という作品で日本人初の入賞(推薦リスト入り)を果たした日本を代表するボードゲームデザイナーのひとり。
『The Last Brave』は、カナイセイジ氏がゲームデザインを手掛けた“勇士創像バトルロイヤルカードゲーム”で、最大プレイ人数は7人。約2400通りのキャラクターの組み合わせと、ゲームの序盤と終盤で大きく変化する戦況を見極めて戦う戦略性が特徴だと言う。
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ゲームで用意されているカードは「プレイヤーカード」「職種」「属性」「武器」の4種類が各7枚で計28枚。これらのカードをランダムに各種1枚ずつ配り、各プレイヤー、カードを4枚持った状態でゲームスタートとなる。この4枚のカードの組み合わせで様々なキャラクターが構成され、プレイヤーはこの構成されたキャラクターを操り、他のプレイヤーを攻撃し、倒すことで生き残りを目指す。
ゲームスタート時は全てのプレイヤー、所持している4枚のカードは伏せられており、誰がどのようなキャラクター能力を持っているか分からない。他のプレイヤーから攻撃を受けることでそのカードの内容が明らかになり、攻撃力や防御力が付与され、特殊なスキルも使えるようになるため、攻撃をどのように受けるか、手の内をどこまで見せるかなどの駆け引きがある。
遊んでみた印象としては、「様々なキャラクターがその能力を駆使して戦うカードゲーム」という「カナイ節全開」な作品。比較的短時間で終わるため、カジュアルに何回も楽しめる。この辺もいつものカナイ節と言える。今回はプレイしなかったが、陣営要素を取り入れた選択ルールを採用して多人数で遊ぶのも楽しそうだ。
カナイ氏によれば、『The Last Brave』は、ディライトワークスのメインコンテンツの一つである『Fate/Grand Order』を意識し、『Fate/Grand Order』のユーザが楽しめるような世界観をカードゲームで表現したいという想いで制作した作品だと言う。カナイ氏自身も『Fate/Grand Order』のヘビーユーザである旨の発言も会見中に飛び出した。
7人までプレイできる本作だが、カナイ氏によると4~5人くらいで行う比較的コンパクトなプレイをオススメしたいとのことだった。
もうひとつのタイトルは「新入社員」による共同制作
2タイトル目、『CHAINsomnia〜アクマの城と子どもたち〜』の紹介に移ると、ディライトワークス2018年度入社の社員5名が紹介される。
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制作するうえで、『ハコオンナ』に影響を受けたと語られた『CHAINsomnia〜アクマの城と子どもたち〜』は、このディライトワークスの新入社員5人が「面白さの本質」とは何かを考え、柔軟な発想を以て企画・開発を行い、カナイセイジ氏と白坂翔氏(JELLY JELLY CAFE 代表)が監修した“探索✕協力型脱出ゲーム”。
プレイヤーはそれぞれ異なる能力やステータスを持つ6人のキャラクターから1人を選択し、それぞれのキャラクターが持つAP(アクションポイント=行動回数)を使って、プレイヤー同士で相談し、助け合いながら城の探索・移動、時にはアクマと戦うことで城からの脱出を目指す。それぞれどのようなアクションを使って適切に攻略していくかを考えるうえでの戦略性があり、ダイス目やランダムで生成される城のマップには適度な運の要素もあるため、幅広い層に向けて何度でも新鮮な感覚で遊べる作品となっている。
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ゲームの内容は、確かに『ハコオンナ』や、ドイツゲームで言えば『エスケープ』や、2017年にドイツ年間ゲーム大賞にノミネートされた『マジックメイズ』よろしく、全員で協力をしながらまずはゴール地点を探しつつ、ミッション(アクマの除去)を達成して、最終的にゴールに多とりつくことを目的としたもの。ダイスロールで一喜一憂する楽しさもあり、本作が初めてのボードゲーム制作とは思えない安定した面白さがそこにある。
難易度は高めに設定されており、攻略が難しいうえに、クリア後もその達成の内容によって異なるエンディングが用意されており、非常に遊びごたえのある作品。是非「真END」への到達を目指して欲しい。
先行販売は『ゲームマーケット2018 秋』
この2つのオリジナルオリジナルボードゲームは、2018年11月24日(土)から11月25日(日)に東京ビッグサイトで開催される『ゲームマーケット 2018 秋』のディライトワークスブースにおいて特別価格で先行販売される。ディライトワークスのブースでは、『The Last Brave』のキービジュアルのステッカーと、カードをカスタマイズして遊べるシールも配布するというので要チェックだ。
また、ゲームマーケット 2018 秋に先駆け、2018年11月14日(水)より、JELLY JELLY CAFE 4店舗にて先行試遊も実施される予定で、『The Last Brave』に関しては、2018年12月13日(木)より、各専門店や量販店での一般販売開始も決定している。
今後の製品情報については、12日付で開設された新しい公式twitterアカウント「ディライトワークス PRODUCTS(@DW_products)」にて随時発信が予定されている。このアカウントは、ボードゲームに限らず、ディライトワークスの製品やサービス、イベントの開催・出展などの情報を発信していく。
ときめきを、デザインするスタジオ
同日、ディライトワークスは、ディライトワークス内に設立した6つの制作部の1つである第1制作部について、スタジオ名を「DELiGHTWORKS SWALLOWTAIL Studios(略称:DSS)」とすると発表した。DSSは塩川洋介氏がスタジオヘッドを務め、「ときめきを、デザインする。」をスタジオの理念とし、ゲームを含む様々なエンタテインメントを通じ、人のこころを動かすことを志向して、常に“新しいこと”に挑戦し続ける開発スタジオにしていくとのこと。
ディライトワークス発のオリジナルボードゲームをはじめ、初のアーケードゲーム『Fate/Grand Order Arcade』、初の自社パブリッシング企画『Fate/Grand Order Memories』などのプロジェクトをDSSが手掛けており、これらのほかにも多数の挑戦的なプロジェクトも手掛けており、現在はスタジオ化にあわせ、新規オリジナルゲームのプロジェクトも始動しているとのこと。今後も新作ボードゲームも含め、様々な「ときめくコンテンツ」の登場が期待できそうだ。

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