南国ハワイの風に包まれた別れを感じるさだまさし「虹の木」

南国ハワイの風に包まれた別れを感じるさだまさし「虹の木」

南国ハワイの風に包まれた別れを感じ
るさだまさし「虹の木」

さだまさし 虹の木
空港には旅立ちが渦巻いている。旅行先、留学先、仕事場、実家などそれぞれが向かっていく場所は様々だ。この曲の2人が向かう先は、別れ。
タイトルにもなっている「虹の木」はハワイにある街路樹、レインボーシャワーツリーのことを指す。
その名の通り、黄色とピンクの花びらが虹のように美しく入り混じるこの木は、風に吹かれると花びらがまるで風の輪郭をなぞるように舞い散っていく。
可憐に散っていくその花びらに自分たちの終わりゆく恋を重ねる彼の姿が、ぼんやりと浮かんでくる。
長い空港の廊下を抜けたら、あとは別々の道に歩き出すだけだ。そんな事実にたまらず歩き出す彼に、彼女は「ALOHA MAHALO」と言葉をかける。
「ALOHA」は、ハワイで挨拶として使われるが”愛している”という意味もある。そして、「MAHALO」はハワイ語で”ありがとう”という意味だ。
2人が別れる理由が曲中で明らかにされることはない。しかし彼女にとって彼との関係は、別れ際にきちんと”ありがとう”と伝えたいと思う、そんな大切な関係だったのだとわかる。
心地よい切なさと痛みが身に染みる名曲
歌う様なさよならとは、どんなものなのだろう。
ハミングする様な柔らかいさよなら?それとも相手を傷つけない為の優しいさよなら?この曲の歌詞が描き出す情景に、そっとそんな想像が巡る。
片方のエンジンしか動いていない「片肺飛行」の様に、彼女に色んな物を背負わせていたと悔いる主人公の男性と、そんな自分に最後に”ありがとう”と告げる彼女。
その対比が尚更、恋の終わりの切なさやもどかしさを膨らませていく。自分を責める言葉や別れ、切なさが確かにこの曲には含まれている。
しかし、歌詞の所々で描かれるハワイの風景なのか、アコースティックの音色なのか、それともさださんが紡ぐ言葉なのか、とにかく「虹の木」は心地よい切なさと痛みがある。
南国ならば、別れさえも穏やかなものになるのかと錯覚してしまう程だ。
曲の最後で演奏されるのは、ハワイを代表する名曲「Aloha 'Oe」。
そこにも注目して頂ければ、さらに南国の風に包まれた別れを感じてもらえるだろう。

TEXT:柚香

UtaTen

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