草彅剛がザンパノ役で魅せる肉体美、
音楽劇『道』フォトコール&囲み取材

1957年にアカデミー賞を受賞した、フェデリコ・フェリーニ監督の『道』(LA STRADA)は、人間の愛や葛藤をリアリズムで描いた美しくも残酷な物語で、フェリーニの代表作にして最高傑作とも言われている。そんな不朽の名作の舞台版、音楽劇『道』が、12月8日(土)に日生劇場にて初日を迎えた。開幕に先立ち行われたフォトコールと囲み取材の様子をお伝えする。
音楽劇『道』舞台写真
主演の草彅剛は、粗暴な大道芸人・ザンパノ役だ。見る前は正直「あのザンパノを、草彅が?」と思ってしまい、想像がつかなかった。しかし、舞台上の草彅は、これまで彼に抱いていたイメージがすべて吹き飛ぶような、紛れもなくザンパノだった。鎖を胸筋の力で引きちぎるほど鍛え上げられた肉体、すぐに暴力を振るう乱暴者、その迫力と凄みが伝わってきて、にらみを利かされると思わず客席で縮み上がってしまうほどだ。
音楽劇『道』舞台写真
そんなザンパノに付き従う純粋無垢なジェルソミーナを、蒔田彩珠が瑞々しくもどこか儚げな存在感で見せている。フォトコールという限られた場面のみではあったが、フェリーニが映画で描いた世界観が、時に重く暗く、時に弾けるようにビビットに、美しさを持って舞台上に広がっていることが十分に感じられた。あの感動のラストシーンを、デヴィッド・ルヴォーがどのように演出し、草彅がどのように演じるのか。ぜひ劇場で確かめて欲しい。
音楽劇『道』舞台写真

フォトコール後の囲み取材には、演出のルヴォーと主演の草彅が登場。草彅は舞台上で披露した肉体美について問われると「あれはCGです。照明やボディメイクです。ルヴォーマジック、日生マジックです。筋トレは1日3秒」と、冗談を言ってとぼけて見せた。しかしルヴォーによると「稽古場で剛が見当たらなくて、探すと部屋の隅でウェイトトレーニングをしていたんだよ」とのこと。草彅は「ゴリラのように野性的な“ゴリラマッチョ”でがんばっています」と少し照れ臭そうに話した。また、声色がいつもと違う、という質問には「低音の声をルヴォーさんが引き出してくれたんです」と答え、「ルヴォーさんはシーンごとに哲学的にひも解いて演出をつけてくれました。日生劇場はルヴォーさんの好きな劇場だそうで、僕はこの劇場に立つのは初めて。20日間ザンパノを頑張れば、何か見えてくるんじゃないでしょうか。芝居をやってきてよかったと思っています」と語った。
音楽劇『道』囲み取材 写真左からデヴィッド・ルヴォー、草なぎ剛
またルヴォーは「剛と共に新作を創り上げるという冒険ができてとても楽しかった。剛は物語を知的に理解することができていて、作品の全体像をよく見ている。いい演出家になれるんじゃないか」と絶賛。草彅が「またルヴォーさんと一緒に仕事ができるようがんばりたい」と来年の抱負を語ると、ルヴォーも「ぜひ!」とにこやかに応じた。
今年一年を漢字一文字で表すと? という質問に草彅は「地図の“地”」と回答。「『新しい地図』を広げて二年目。好きなことができているので、周囲の仲間や皆さんに感謝です。地面を踏みしめて一歩一歩進んでいくことが大事、それを少しは実現できたかな」と笑顔を見せた。
同じ事務所の稲垣吾郎は『No.9‐不滅の旋律‐』、香取慎吾は『日本の歴史』とそれぞれが舞台に出演中で、しかもこの日は稲垣吾郎の誕生日。草彅は「お互い刺激し合って、違う作品だけど3人が同じ日に舞台に立てるのはとても幸せ。吾郎さんの誕生日、ハッピーな一日になりますように」と締めくくった。
音楽劇『道』囲み取材 写真左からデヴィッド・ルヴォー、草なぎ剛

本公演開幕に際し、蒔田彩珠、海宝直人、佐藤流司のキャスト3名のコメントが届いた。
ジェルソミーナ役/蒔田彩珠
どうなるか全く想像もつかなかった稽古も、あっという間に終わって、気がついたらもう公演。楽しみな気持ちと緊張でいっぱいです。
ルヴォーさんをはじめ共演者の方や、みんなで創り上げている舞台です。毎公演新しい発見をし、それを次に繋げ、最後の公演まで進化していけたらいいなと思っています。
イル・マット役/海宝直人
イルマット役の海宝直人です。ルヴォーさんの演出はとてもクリエイティブで妥協が無く、日々溢れ出すインスピレーションに導かれて来ました。
とても美しく残酷な世界。
観に来てくださった方々それぞれが何かを感じて、持って帰っていただけたら嬉しいです。
モリール役/佐藤流司
いよいよこの舞台の幕が開きます。
今回の舞台は自分の役者としての新たな挑戦でありながら、キャストの皆様から学ばせてもらう事の多い、一石二鳥とも三鳥とも言える舞台だと感じております。
かなり奥深い作品だと思いますので、前日はしっかりと睡眠をとってからいらっしゃる事をお勧め致します。
それでは最後までよろしくお願い致します。
取材・文・撮影=久田絢子

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