ハニガン役・早見優、グレース役・蒼
乃夕妃、リリー役・服部杏奈~丸美屋
食品ミュージカル『アニー』2019制作
発表レポート/THE MUSICAL LOVERS
ミュージカル『アニー』第28回

【THE MUSICAL LOVERS】

Season 2ミュージカル『アニー』【第28回】
2019年の丸美屋食品ミュージカル『アニー』(主催・製作:日本テレビ放送網/協賛:丸美屋食品工業)の制作発表が2018年12月11日、都内で行われた。
日本テレビ主催により1986年から日本での上演がスタートしたミュージカル『アニー』の舞台は、世界大恐慌直後の1933年、真冬のニューヨーク。誰もが希望を失う中、本当の両親が迎えに来る「明日」を信じて生きている孤児・アニー。そんなアニーをとりまく個性あふれる孤児たち、一筋縄ではいかない大人たちが繰り広げるストーリー展開と、「Tomorrow」をはじめとする名曲の数々が、これまでのべ176万人もの観客に感動を与え続けてきた。
34年目となる2019年公演は、4月27日(土)~5月13日(月)に新国立劇場中劇場で開催される(8月より大阪・松本・仙台・広島・名古屋でも上演)。4月30日をもって平成31年が終了となり、5月1日からは新元号の元年となるので、二つの時代を跨ぐ公演となる。2017年・2018年に引き続き、演出は山田和也、音楽監督は佐橋俊彦、振付・ステージングは広崎うらんが担当する。
(左から)岡 菜々子・山﨑 玲奈
今回発表された大人キャスト、新役はハニガン役、グレース役、リリー役だ。
アニーたちに早朝から掃除をさせ、ドレスを縫わせるなど厳しくあたる孤児院の院長ハニガン役には早見優(はやみゆう)。「夏色のナンシー」や「PASSION」などのヒット曲で一世を風靡した歌手にして、1997年『レ・ミゼラブル』コゼット役で初舞台以降、『グリース』『オズの魔法使い』といったミュージカル等の舞台でも活躍している。『NEWヒロイン~女たちよタフであれ!~』以来、今回が7年ぶりの舞台出演となる。グアム、ハワイで育ったバイリンガルであり、その国際感覚を生かして多方面で活躍。フィットネス・インストラクターや、ワインエキスパート、アロマテラピー検定1級など、多方面の才能とセンスを持つ。2人の女の子を持つ母親でもある。
ハニガン役、早見優
大富豪ウォーバックスの秘書グレース役には蒼乃夕妃(あおのゆき)。2002年に宝塚音楽学校入学、2004年に宝塚歌劇団に入団。翌2005年星組トップ・柚希礼音主演バウホール公演『それでも船は行く』でヒロインに抜擢された。2010年に『スカーレット・ピンパーネル』で月組トップ娘役に就任。2012年4月に宝塚歌劇団を退団後は、『アニー』の舞台でもあるニューヨークでダンスを学んだ。現在は舞台を中心に活躍中である。2016年には俳優・ダンサーの中河内雅貴と結婚している。
グレース役、蒼乃夕妃
リリー役には服部杏奈(はっとりあんな)。2006年の『アニー』トゥモロー組アニー役(第21代目)で、2018年の『アニー クリスマスコンサート』でも、ゲストとしてその歌声を聴かせてくれた。ミュージカル等の舞台に出演する傍ら、ジャズシンガーとしてのライブ活動もおこなう。アニー役から大人キャストへの抜擢は、今回の彼女が初となる。
リリー役、服部杏奈
会見では、はじめに日本テレビ放送網株式会社 廣瀬健一取締役執行役員が「日本テレビは今年2018年、65周年の節目を迎えました。『笑点』が1966年から今年まで52年、『24時間テレビ』が1978年から41年続いています。1986年に始まった日本テレビ主催の『アニー』は、来年2019年に34年目を迎えます。『アニー』はブロードウェイで1977年に開幕し、翌1978年にこのツアーバージョンが生まれ、世界中で数世代にわたり支持されてきた演目です。そういった伝統をふまえ、毎年オーディションで新しいアニーを選んでいる日本ならではの新しいチャレンジもしています。2019年の公演の最中には新しい元号になり、昭和・平成・新元号の3つの元号にわたっての上演となります。2019年は広島公演という新たなチャレンジも行います」と挨拶を述べた。
日本テレビ放送網株式会社 廣瀬健一取締役執行役員
次いで丸美屋食品工業株式会社 阿部豊太郎社長が登壇、「丸美屋の『アニー』への企業協賛が、2019年で17年目となり、日本テレビでの上演(34年間)の半分を協賛してきたことになります。『アニー』の特長は、ストーリーもさることながら、子役たちが元気いっぱい歌って踊り、演技することで元気をもらえることです。数千名の中から選ばれた子どもたちが一所懸命演じます。その元気を感じていただけたら。我々も舞台裏に丸美屋製品を差し入れし、元気の一杯の役に立ちたい」と語った。
丸美屋食品工業株式会社 阿部豊太郎社長
いよいよ出演者たちの紹介だ。ハニガン役の早見優、グレース役の蒼乃夕妃、リリー役の服部杏奈に続いて、「チーム・バケツ」アニー役の岡 菜々子(おか ななこ)、「チーム・モップ」アニー役の山﨑玲奈(やまさき れな)が登壇。
岡は主な出演作に、ミュージカル『冒険者たち~この海の彼方へ~』忠吉役(2016年)、ミュージカル『メリー・ポピンズ』ジェーン・バンクス役(2018年)。山﨑は松山市民ミュージカル『リトルマーメイド』フランダー役、音楽劇『チンチン電車と女学生』春日文子役(2017年)がある。
大富豪ウォーバックス役を演じる藤本隆宏は、ビデオ・メッセージで登場。2017年から3年連続『アニー』にキャスティングされたことについて、「菜々子ちゃんと玲奈ちゃん、2人と歌って踊ってお芝居ができるのを心待ちにしています。早見優さん、蒼乃夕妃さんをはじめ、素敵な大人キャストの皆様との共演も楽しみです。2017年に演出が新しくなり、演出、ステージングも年々少しづつ変化しています。昨年を超えるウォーバックスをお見せいたします」と、『アニー』に対して気持ちのこもったメッセージを届けた。
大富豪ウォーバックス役、藤本隆宏(ビデオ・メッセージ)
孤児院の院長ハニガン役の早見優は、「小さい頃にハワイで『アニー』の映画を観て、2007年には自分の娘2人と3人で丸美屋食品ミュージカル『アニー』を観ました。そのころから娘たちも私も『アニー』が大好き。まさかハニガン役をつとめさせていただくとは! 自分はこれまで舞台『オズの魔法使い』でドロシーを、『レ・ミゼラブル』ではコゼットという、可愛い役ばかりで、今回も、アニー役かしら?!と思ったくらい(笑)。初のイジワル役で、普段優しいから(笑)できるかしら。どうやってこんなに可愛いアニーちゃん達をいじめちゃおうかしら。娘たちは『いつものママの地を出せばいいんじゃないの?』と言ってくれています(笑)」と告白し、場内を笑わせた。
ウォーバックスの秘書グレース役を演じる蒼乃夕妃は、「ロングランミュージカルである『アニー』に出演できて嬉しい。(アニーたちを見て)彼女たちは子役…と言っては失礼な、立派な女優さんですが、私は子どもたちと一緒に舞台に立つことが初めての経験です。宝塚のOG、事務所の先輩も演じてきた役であり、大切に演じたいです」と微笑んだ。
ルースターの恋人であり、アニーたちをだますリリー役の服部杏奈は、『アニー』出演時の思い出と今回への意気込みを問われ、「まさか自分が『アニー』に戻って来られるとは夢にも思わず、今、衣裳を着ていても、夢かな?と思ってしまいます。(2006年に出演した時は)6年間受け続けてアニー役をやっと掴み、稽古に必死に食らいついたキラキラした毎日を思い出します。今回悪だくみされる側からする側になり、一歩一歩頑張りたい」と、抱負を語った。
アニー役から大人キャストへの抜擢が初、ということについては、「今日この場で知った」という服部。アニーの2人へアドバイスを問われ、「自分はジョエル・ビショッフ演出で、今の山田和也さんの演出とは違うが、新演出もすごく好き。アニーの力強さ、明るさ、勇気は一貫しているので、自由に『アニー』の舞台を楽しんでください」と二人の新アニーに声をかけた。
オーディション3回目で合格した岡は、アニー役以外は出演しないという覚悟で挑んだという。「孤児役で受かると、次の年に受けることができないから、今年はアニー役だけにしました。受かった時はもう嘘みたいで頭が混乱し、練習を頑張ってきて良かったと思いました。山田和也さんの指導で成長するのが楽しみ。暗い道でも明かりを照らせるアニーになりたい」
「チーム・バケツ」アニー役、岡 菜々子
オーディション合格後、学校でのあだ名は“岡さん”から“アニー”になったそうだ。そして好きな『アニー』の楽曲は「Tomorrow」と、ウォーバックスがアニーに養子になってほしいと頼む「Something Was Missing」とのこと。
今回、2度目の挑戦で合格した山﨑。「1回目はダンスで落ちたので、主にダンスのレッスンをしてきました。1回目より成長し、自信が持てました。稽古で楽しみなのは、犬のサンディとの稽古。大型犬はおろか犬自体と触れ合ったことがないので、サンディに認められるように頑張ります。優しくて皆に元気を与えられるアニーを目指します」
「チーム・モップ」アニー役、山﨑玲奈
オーディション合格後、女の子からは“アニー”と呼ばれるが、男の子からは“ポンコツアニー”と呼ばれているという山﨑は、「なぜにポンコツ?」と、独特の言葉で語った。好きな楽曲を問われると、全員の口から「トゥモロー」が飛び出す中、山﨑だけは「2人でいればいい(I Don't Need Anything But You)」一択で挙げていたのも印象的だった。
記者からの質問で、お互いの印象について問われた岡と山﨑。
岡「山﨑ちゃんは、優しくて頼りがいがある。面白くて、一緒に稽古するのが楽しみ」
山﨑「菜々子ちゃんは、明るくてヤンチャで笑わせてくれて、緊張がほぐれる。今日も緊張をほぐしてくれた。日常でも仲良くしていきたいです」
そんな2人のアニーに、大人キャストは皆、早くもメロメロだ。
早見「岡さんが緊張していると、山﨑さんが『緊張しない魔法をかけてあげる』と言っていたので、私もかかるように近づいていきました(笑)」
蒼乃「鏡を見ていると、『グレースだ~』と寄ってきて可愛らしい」
服部「私がアニー役だった時にWキャストだった加藤茜ちゃんとは今でも仲良しです。この経験はかけがえのない宝物。新しいアニーの2人がこれからどう共有していくのか見るのがすごく楽しみです」
いつも笑顔でいる秘訣は?という問いには、
早見「年も年なので、体が元気だと笑顔になります」
蒼乃「映画やミュージカルを観るのが大好き。心も自由になる、とても大切な時間です」
服部「演劇は稽古や拘束時間が長い。同じ人と毎日いるので、休憩時間に一緒にいて仲良くなると笑顔が増えます。『アニー』でサンディが出てくると笑顔になるように、実家で犬と触れ合う時も笑顔になります」
岡「家族で一緒に美味しいごはんを食べているとき。自分の好きな舞台をやっているときは、ずっとキラキラの笑顔です!」
山﨑「好きなものを食べているとき、好きな人形やテレビを見ているときです」
現在、足を骨折中だという早見は、「英語では舞台の前に、(グッドラックの意味合いで)『Break a leg!』と言うんです。足1本でも折っとけ!と。そう考えると、スタートは結構いい感じですね」と、前向きに会見を結んだ。
丸美屋食品ミュージカル『アニー』の本公演は2019年4月27日(土)~5月13日(月)、新国立劇場 中劇場で上演。8月より大阪・松本・仙台・広島・名古屋にて公演を行う(日程は下記参照)。チケットは2018年12月15日(土)10時より発売(12/11現在イープラスにてプレオーダー受付中)、全席指定8,500円。ただし、5月8日(水)13時チーム・バケツ公演 / 17時のチーム・モップ公演は「スマイルDAY」特別料金で全席指定6,500円。また、5月10日(金)13時チーム・モップ公演 / 17時チーム・バケツ公演は「わくわくDAY」として、来場者全員に『アニー特製Tシャツ(非売品)』がもれなくプレゼントされる。Tシャツカラーは4月に日本テレビ公式HPで発表予定。色・サイズによっては数に限りがあり、先着順となる。
2019年は4月27日(土)から10連休となり、さらに5月には平成から元号が変わる記念すべき公演だ。平成最後の公演は2019年4月30日(火)12時からチーム・モップ、16時30分からチーム・バケツが担当。新元号最初の公演は5月2日(木)12時からチーム・バケツ、16時30分からチーム・モップが担当する。
なお、ローズベルト大統領は、『ジャージー・ボーイズ』でジップ・デカルロ役やゴキゲンなラジオDJ等を演じた記憶も新しい阿部裕に決まった。2019年のルースター役、および大人アンサンブルキャストは後日の発表となる。
なお、2019年アニーのお披露目は「丸美屋食品ミュージカル『アニー』クリスマスコンサート2018」で行われる。同公演には、2017・2018・2019年アニー&アニーズ、2017年・2018年ウォーバックス役の藤本隆宏、2010年ハニガン役の森口博子の出演が決定している。2018年12月22日(土)12:00/15:00/18:00、12月23日(日・祝)12:00/15:00、新国立劇場 中劇場にて上演。今回が記念すべき20回目のクリスマスコンサートとなり、『アニー』でおなじみの曲やクリスマスソングが楽しめる。チケットは12/11現在発売中。
取材・文=ヨコウチ会長  写真撮影=安藤光夫

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