2018年12月15日 at duo MUSIC EXCHANGE

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【ましのみ ライヴレポート】
『MashinomiX Vol.1』
2018年12月15日
at duo MUSIC EXCHANGE

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 ましのみが9月のワンマンの際に発表した時から企画色の強いものになると宣言していた『MashinomiX Vol.1』が12月15日、duo MUSIC EXCHANGEにて開催された。タイトルの“miX”が意味するところである、コラボゲストとしてイラストレーターのフクザワが参加する同公演。会場に入るとクラブさながらに軽快なEDMが流れていて、プロジェクターを用いた視覚効果も。また、ステージにはセンターにいつものキーボード、後方にはサポートメンバーのキーボード機材と電子ドラム、そして上手前方には大きなキャンバス、さらに下手前方にはターンテーブルが。確かに、通常のライヴとは違ったものになりそうだ。これから繰り広げられるショーへの期待がそそられるーー。

 オープニングSEに乗って登場したましのみは、いきなりラップで前口上。観客のクラップを誘い、「プチョヘンザしちゃだめ」のイントロに合わせてターンテーブルを操り、テンポチェンジしたり、パットを叩いたり、スラッチを入れながら、コール&レスポンスで一気に会場を温める。そして、ハンドマイクを手に複雑な嫉妬心を描いたナンバーを軽快に歌い出すと、キャンバスの前ではフクザワがライヴペイントをスタート。ペンギンが描かれ、その目には涙、名札には“ななし”の文字。誰もがこのあとに控えていること必至のキラーチューン「名のないペンギン空を飛べ」を想起したことだろう。

 その後も人気曲「エゴサーチで幸あれエブリデイ」「ナンセンスに逆戻り」で会場を盛り上げると、MCでは2リットリのペットボトルの水をゴクゴク。そして、“せっかくのワンマンライヴだから、冬なんだけど夏の歌いたい”と描かれたペンギン相手に一人芝居を始め、「どうせ夏ならバテてみない?」改め「どうせ冬ならバテてみない?」を披露する。“夏”を“冬”に変えて歌ったとはいえ、そこは爽快なポップチューン。さらに場内の熱気をぐいぐいと高めていく。

 中盤でもお馴染みのひとり芝居タイムが。浮気性の彼を持つ“たみちゃん”とのやり取りから「ハッピーエンドが見えません」へ。華やかなサウンドに乗せて元気良く歌い、こじれている女の子の恋心を描いた歌詞もユニークなのだが、その陰にある切なさが染みてくるのが彼女の楽曲の特徴でもある。逆にその“切なさ”がダイレクトに響いたのが、キーボードのみの弾き語りによる「リスクマネジメント失敗」。ピアノの音色に押し出されるにように届く、情感たっぷりの歌に引き込まれた。毎回のことだが、この曲には心を持っていかれてしまう。

 “ここから盛り上がっていこうと思いますが、みなさんいけますか?”とターンテーブルを触りつつフロアーを煽り、いよいよライヴは後半戦へ…というムードの中、フクザワが描き終えたペンギンに目をやり、“ここからみんなと盛り上がろうとしているけど、それじゃあ、ななしペンギンくんがかわいそうじゃないですか? ほら泣いている”とましのみ。周りの鳥たちは空を飛んでいるのに飛べないで悲しい表情を浮かべているペンギンと自分自身を重ねて意気消沈し、しんみりとしてしまうが、ドラムのカウントから「名のないペンギン空を飛べ」に突入。アッパーなサウンドに合わせてフロアーではクラップも起こり、場内が一気に華やぐ中、フクザワがペンギンに加筆し始める。名札を消し、涙も消し、足は宙に浮き、空を羽ばく。《どうせ飛べない鳥だ なんでもやってみようか》とポジティブな気持ちで歌い終わった時には、そのペンギンの表情にも高揚感が感じれた。

 そして、スパート! ハンドマイクでステージを行き来し、飛び跳ねて歌った「Hey Radio」、キュートでポップな「ストイックにデトックス」で加速させ、
“わくわくする新曲でも聴きますか?”と「美化されちゃって大変です」を披露。タイトルもそうだし、歌詞に並ぶ言葉であり、その視点やセンスには脱帽だ。本編ラストは彼女がグランプリを獲得した2016年の『The 10th Music Revolution 東日本FINAL STAGE』の会場が、ここduo MUSIC EXCHANGEで、その時から“ここでワンマンをやりたい”と思っていたと語り、同コンテストで歌った「Q.E.D」を歌唱。周りの鳥たちのように飛べずに泣いていた名前のなかったペンギンが、もがき続けながらも頑張り続けているうちに、気付けば空を飛んでいた…そんなイラストのストーリーと重なり合う結実がここにあった。

 9月のワンマンでも歌われたメロウな新曲「フリーズドライplease」でスタートしたアンコールでは3つの重大発表が。無料ファンクラブサイトのオープン、2月20日に2ndアルバム『ぺっとぼとレセプション』発売、同アルバムのリリース記念ワンマンライヴの開催が告知され、さらに本公演のラストナンバーとして『ぺっとぼとレセプション』からのバラード「錯覚」をしっとりと聴かせる。アンコールのステージは前述のペンギンが降り立った新たな場所ということで、新曲で締め括った…というのは考えすぎだろうか。『ぺっとぼとレセプション』には思い入れの強い「Q.E.D」も収録されており、彼女のネクストへの意気込みが感じられたのだが。

撮影:まくらあさみ/取材:土内 昇


セットリスト

  1. 1.プチョヘンザしちゃだめ
  2. 2.エゴサーチで幸あれエブリデイ
  3. 3.ナンセンスに逆戻り
  4. 4.どうせ冬ならバテてみない?
  5. 5.2コードのシティポップ
  6. 6.ミスター
  7. 7.灰かぶり姫
  8. 8.ハッピーエンドが見えません
  9. 9.リスクマネジメント失敗
  10. 10.やりくりゲーム
  11. 11.名のないペンギン空を飛べ
  12. 12.Hey Radio
  13. 13.ストイックにデトックス
  14. 14.美化されちゃって大変です(新曲)
  15. 15.Q.E.D
  16. <ENCORE>
  17. 1.フリーズドライplease(新曲)
  18. 2.錯覚(新曲)
ましのみ プロフィール

ましのみ:1997年2月12日生まれ。キーボード弾き語りスタイルで活動している現役女子大生シンガーソングライター。2016年にヤマハグループが開催する日本最大規模の音楽コンテスト『Music Revolution 第10回 東日本ファイナル』で約3,000 組の中からグランプリを獲得。これまでインディーズ盤にて『ハッピーエンドが見えません』『ましのみのサブアカウント』をリリース 。5週連続でタワーレコードの“タワクル”の売り上げ第1位をキープし話題となった。18年2月、アルバム『ぺっとぼとリテラシー』でメジャーデビューを果たした。ましのみ オフィシャルHP

OKMusic編集部

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