【リミックスコンテスト審査員対談】
ワクワクするようなモンスト音楽を

スマホアプリ『モンスターストライク』のメインテーマを元にした「【XFLAG公式】リミックスコンテスト」が、2018年12月21日にスタートを切った。文字通りモンストのテーマ曲を対象に、世界のクリエイターたちからリミックス作品を募集するというもので、様々な視点から作品を讃えクリエイター支援を目指すという取り組みだ。

今回のコンテストで最も特徴的なポイントに、「ドラム」と「サックス」のパラデータ(演奏音源)が無料公開されている点がある。モンスターストライクメインテーマを演奏したもので、ドラムサウンドは五十嵐公太(ATOMIC POODLE/元JUDY AND MARY)が、サックスは武田真治がプレイしており、このリミックスコンテストのためにわざわざレコーディングされたという貴重な生音源だ。

五十嵐公太や武田真治を筆頭に、「様々な可能性を支援する」という志に賛同を示したアーティストやクリエイター、企業や団体/メディアがREMIX JUDGES(審査員)を務め、様々な価値観と多角度からリミックス作品を評価すると同時に、それらは『B.B.Q. with SOUND CREATORS vol.1』という名のコンピレーション・アルバムとして、日本コロムビアからリリースされることもすでに決定している。

旗を振るのは株式会社ミクシィ内のXFLAG スタジオで、統率を執っているのがXFLAG SOUND統括リーダーを務める高津戸勇紀という人物だ。モンストを始め、まるでバーベキューのように友達や家族とワイワイ楽しめるアドレナリン全開のバトルエンターテインメントを創出し続けるXFLAGだが、彼らが始めたリミックスコンテストには、アマチュアからプロまで幅広いクリエイターが参加できる懐の深い設計がなされている。そして何より「コンテスト自体をワクワク楽しみたい」というシンプルな思いが企画推進の原動力になっており、そこにはいろんな夢や興奮が見え隠れしている。

なぜXFLAGがリミックスコンテストを始めたのか。高津戸勇紀氏に話を聞いた。
▲高津戸勇紀(XFLAG SOUND 統括リーダー)

──そもそも「【XFLAG公式】リミックスコンテスト」をスタートさせたのは、なぜですか?

高津戸:僕が所属するXFLAGサウンドチームは、XFLAGにおけるサウンドまわりを担当しているんですが、もともと会社の理念が「ユーザーサプライズファースト」なんです。つまり「お客さまに驚きといった想像以上の価値を与えていこう」ということ。モンスターストライクから派生して、動画/イベント/アニメ…と多岐にわたるコンテンツを作っていますが、様々なクリエイターに手助けしてもらっているんですね。我々自身「クリエイターが働ける場所になっていきたい」という想いもありますし、クリエイターの支援/手助けとなるような企画が打てないだろうか…というところから、このコンテストの開催に至りました。

──クリエイターの支援?

高津戸:バーベキューにようにクリエイターが一同に集まってワイワイ楽しくやれるような、このリミックスコンテストを通じて、クリエイターや業界の方々が自由に情報を交換しつながっていく場も作っていきたいと思っているんです。その辺のゴールも見据えて、このコンテストを実施しようと思いました。

──単に「楽曲」コンテストではなく「リミックス」としたのはどうしてですか?

高津戸:垣根なく、いろんな業界の人から参加してほしかったからです。要するにゲーム業界のクリエイターの方だけでなく、音楽業界/ミュージシャンにも参加してほしい。老若男女問いませんし、腕利きの方も初めての人にもトライして欲しい。学生さんでも将来クリエイターとして働きたいと思っている方も。動画、イベント、アニメ…業界が違うとクリエイターのスキルも変わってきますけど、「いい物を作りたい」というクリエイターの想いは一緒で、そういう人たちとの出会いはものすごい刺激になるんです。交流の場として機能すれば、クリエイターやミュージシャンが刺激を受けられる場になるんじゃないかと。

──「【XFLAG公式】リミックスコンテスト」は、ドラムとサックスの音が素材として無償公開されているのが特徴的ですね。初心者にとっては手に取りやすい一方で、上級者にとっては使いこなしスキルが問われるポイントになりますから。
高津戸:トップクリエイターが作り込むのも楽しみですが、iPhoneに入っているGarageBand(音楽制作アプリ)で「ドラムとサックスと自分の鼻歌で作りました」でもいいんです。「頒布素材を組み合わせてみたら1曲できた」というところから人生が開ける人がいてもいいし、そういう作品が選出されるかもしれないコンテストでもあるんです。「ひとつのルールで大賞を決めましょう」ではなく、「自分がいいと思うものを選びましょう」という価値観です。クオリティで勝負してもいいしアイディアで勝負してもいい。いろんなチャレンジがあっていいと思っているんです。BARKSさんにも審査に入っていただきたいと思ったのは、音楽メディア視点で素晴らしいと思った作品を選出してほしいからですね。

──何の知識も制約もない小学生とかにも参加してほしいと思いますが、そもそも「リミックスってなんですか?」という心配もあります。

高津戸:何でもいいですよってことなんです。ルールは、公開しているドラムとサックスの音を使ってくださいということだけです。

──それをどのように加工してもいいんですよね?
高津戸:はい。条件はそれだけで、どんな形に仕上げても構わないです。音楽って「音を楽しむ」ですから、遊び場みたいなところで「いいねいいね」って評価されながら輪が生まれたら素晴らしいし、だからこそ頑張って飛び込んできた作品/クリエイターを応援したい。何でもありです。

──ミュージシャンにとってオーディエンスに評価されることが一番のご褒美だから、自分の味を出すことを楽しんでほしいですね。

高津戸:まさにその通りだと思います。YouTubeなんかいい例ですよね。画質の善し悪しとか品質の高さではなく、そもそも何が面白いのかという尺度で評価されるでしょう?サウンドクオリティの善し悪しは初めての方には難しいかもしれないけれど、コンテンツとして面白いとか尖っていれば共感してもらえる。そういう場でありたいですね。

──オリンピック選手の超絶技もすごいけど、幼稚園児が鉄棒前回りに奮闘している姿のほうが感動的だったりしますからね。
▲左:高津戸勇紀、右:BARKS編集長 烏丸哲也

高津戸:素晴らしい例えですね。人の感動のさせ方もいろいろある。もちろん素晴らしいテクニックも大事かもしれないですけど、うまくなくたって響くものがあればそれを大事にしたいです。

──参加しようと考えている人に、なにかアドバイスはありませんか?

高津戸:自分がやりたいことを各々の形でやる。とにかく、制限をつけずにやるっていうことをぜひ意識していただきたいし、「こんなんでいいのかな…」と恐れるのではなく、まず一歩踏み出してやってみてもらえたら嬉しいなあと。

──実際にドラムとサックスサウンドを用いて制作されたデモ音源が4曲公開されていますが、そこには何かテーマを設けたのでしょうか。

高津戸:あくまでデモ音源ですから、サンプルとしてわかりやすいもの/参考になるものとして「どんなものを作ってもらおうか」、「ロックっぽいものとジャズっぽいものと…」といった話も当初していたんですが、最終的にはそのようなリクエストは全部破棄しました。それは主旨に反しているからです。それぞれのクリエイターが鳴らしたいものを作る。それで似たような作品が並んでも、それはそれでいいじゃないかということです。だってそういうコンテストなんですから。

──今回、どんな作品が集まるでしょうか。
高津戸:楽しみですね。普通に考えたらドラムサウンドはそのまま使うのが一般的だと思うんですけど、あれがどう料理されていくんでしょう。EDM系の打ち込みと組み合わせるとか、そうきたか!っていう突拍子もない作品が出てくるんじゃないのかな。15秒でもいいし、オーケストラで30分の大作でもいい。テンポも自由です。

──最終的に選出された優秀作品は、コロムビアからリリースされるというのも嬉しいご褒美ですね。

高津戸:クリエイター支援の一環で、その売り上げはクリエイターに還元する形を取ります。

──参加者に伝えておくべきことは?

高津戸:投稿できるのは一人1曲です。まだ検討中ですが、募集締め切りのあと発表に至る審査の途中状況なども生配信できたらいいなあとも思います。初めての試みですし、うまくいかないこともあるとは思いますが、改善していきながら、面白いことにチャレンジしていきたいと思っています。
取材・文:BARKS編集長 烏丸哲也

次回告知:DÉ DÉ MOUSE×近谷直之(SHADOW OF LAFFANDOR)×BARKS編集長烏丸による審査員鼎談、2019年1月中旬に公開予定

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