「臼井孝のヒット曲探検隊
~アーティスト別 ベストヒット20」
総合的なヒット分析で
松任谷由実の真の名曲を探る

アルバムの名曲がずらりと
総合TOP20入り

11位以下にも12位に「リフレインが叫んでる」、13位に「恋人がサンタクロース」、15位に「DESTINY」、そして18位に「中央フリーウェイ」と、やはりアルバムオリジナルの名曲がずらり! それぞれかいつまんで触れてみたい。

「リフレインが叫んでる」は88年のアルバム20作目『Delight Slight Light KISS』に収録。緊迫感の伝わるイントロの演奏音と《どうしてどうして僕たちは 出逢ってしまったのだろう》のフレーズのインパクトや、タイアップとなった三菱自動車CMソングに相応しい車を題材としたアップテンポのナンバーで、アルバム曲ながら有線放送で89年度年間9位になるほどの大人気に。

「リフレインが叫んでる」/松任谷由実

「恋人はサンタクロース」は80年のアルバム10作目となる『SURF&SNOW』に収録。今や日本のポップス界の中で殿堂入りのクリスマスソングとなっているが、本作がまだ家族でケーキを食べる程度だった昭和(戦後)のクリスマスを恋人たちの一大イベントに変えたといっても過言ではないだろう。その後、87年の映画『私をスキーに連れてって』の挿入歌となりその傾向は確固たるものとなった。また、同主題歌の「サーフ天国、スキー天国」も収録されたアルバムということで、『SURF&SNOW』は87年~88年に再ヒットし、累計42万枚超の大ヒットに。

「恋人がサンタクロース」/松任谷由実

「DESTINY」は79年発売の8thアルバム『悲しいほどお天気』に収録されたアップテンポのナンバーで、多くのLIVEでも客席が総立ちとなり、全員がサビの部分で腕を愉快に動かす様子は圧巻だ(それゆえ、98年のベストアルバム『Neue Musik』発売時のファン投票でもシングルを差し置いて1位になるほどの人気に)。

歌詞は振られて未練タラタラの女性が元彼の車に愛のメッセージを残し、いつか再会を願っていたのに、会った日に限って履いていたのが安いサンダルだったという、ユーミンにしては珍しくちょっと不格好な女性が主人公だ。でも、だからこそ諦めて次の恋に行くのが運命というふうに促しているから、エールソングにも取れる。脈略もなく、翼を広げたり、奇跡を起こしたりといったものとは一線を画している。

「DESTINY」/松任谷由実

そして、「中央フリーウェイ」は76年の4thアルバム『14番目の月』収録の、穏やかに車が駆けていきそうな画像が浮かぶようなミディアム調のナンバー。もともとはかまやつひろしと番組共演するにあたって彼のために書いた楽曲らしく、確かにムッシュのちょっと突き放したような歌声とよく合っている。

なお、サントリー武蔵野ビール工場や東京競馬場など実際に中央自動車道から見えるさまざまな景色が描かれており、まだ23区内の高井戸-調布間の高速道路が開通していなかった為、“調布基地”を追い越したところから「中央フリーウェイ」が始まっているというのも時代を感じさせる。

「中央フリーウェイ」/荒井由実

これだけアルバム曲ばかり並べても全然語った気になれない、それこそが彼女の偉大さなのだろう。どうかご容赦いただき、あとはご自分でそれぞれの魅力を見つけていただきたい。

OKMusic編集部

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