天才エルトン・ジョンの
職人芸が冴えわたる
一大傑作『黄昏のレンガ路』
本作『黄昏のレンガ路』について
当初はジャマイカでレコーディングされる予定であったが、録音機材があまりに貧弱だったようで、結局は前作前々作と同じフランスで行なわれることになった。アルバムに収録された楽曲群はジャマイカ滞在中の数日で書き上げられ、収録できなかった数曲に関しては、シングルのB面に収められることになる。
収録曲は全部で17曲。アルバムに先行してリリースされた「土曜の夜は僕の生きがい(原題:Saturday Night’s Alright For Fighting)」と、タイトルトラック「黄昏のレンガ路」が世界中でヒットし、その影響もあってかアルバムも大ヒット(全米全英ともに1位)しただけでなく、リリース後2年間にわたりチャートに残り続けている。
「風の中の火のように(原題:Candle In The Wind)」は当初アメリカではシングルカットされなかったが、87年にライヴバージョンがシングルリリースされると全米6位となるスマッシュヒットを記録している。なお、この曲はマリリン・モンローに捧げられたものであったが、ダイアナ妃が亡くなった時にリメイクされ「キャンドル・イン・ザ・ウインド〜ダイアナ元英皇太子に捧ぐ〜」(‘97)のタイトルで再び大ヒットしている。また、「ベニーとジェッツ」はエルトンの曲で初めてR&Bチャートに登場した独特のグルーブ感を持つナンバーで、彼の新たな側面が聴ける(15位)。これら以外の収録ナンバーも、ポップス、フォーク、ロックなどバラエティー豊かで、どの曲もエルトンの絶好調さが窺える佳曲揃いである。
もし、エルトン・ジョンのアルバムを聴いたことがないなら、2枚目の『僕の歌は君の歌』(‘70)から9枚目の『キャプテン・ファンタスティック』(‘75)まで、どれも負けず劣らずの名作なので、ぜひ聴いてみてください♪
TEXT:河崎直人