「劇場版Fate/stay night [Heaven's
Feel]」リレーインタビュー(4)中
田譲治&関智一 “僕いちばん”と思
っているのがギルガメッシュ

 「劇場版 Fate/stay night [Heaven's Feel] ll.lost butterfly」リレーインタビューの最終回には、第1回で単独で話を聞いた中田譲治(言峰綺礼役)と、綺礼と縁の深いギルガメッシュ役の関智一が登場。2人のキャラクターへのアプローチは対照的で、これまでのシリーズの思い出話を交えながらの、ざっくばらんな対談となった。(取材・構成:五所光太郎/アニメハック編集部)
―― 「Fate[HF]」第1章を振り返って、どう思われますか。
中田:僕はufotableさんが手がけた劇場版「空の境界」の初号試写を見たときに言葉にできないぐらいの衝撃があって、試写の会場で拍手しようと思ったぐらいでした。その後、「Fate」シリーズが新たにアニメ化され、ゲームなどでも裾野が広がっていくなかで、「Heaven's Feel」が劇場3部作で映像化されることが発表されました。劇場版の「Fate」ということで僕らの期待も大きかったですが、第1章はそうした期待を見事に上回ってくれて、「これはいけるな」との印象が最初からありました。
関:まわりから良い評判ばかりを聞きますね。お客さんからもギルガメッシュとして声をかけてくれることが増えて、皆さんに愛されているなと思います。
中田:ギルは、いろいろな「Fate」関連作品にでている愛されキャラだよね。
―― 第1章のギルガメッシュの出番は、言峰綺礼と一緒に登場するところなどが主で少なめでした。アフレコのときのことを覚えておられますか。
関:第1章は皆さんとは別に録ったので、「なんだかひとりだったな」というのが思い出ですかね。ギルガメッシュは王様で孤高な存在ですから、孤独をかみしめながら(笑)、アフレコをしていました。
 アフレコをしていて思ったのは、「Heaven's Feel」のギルガメッシュは、教会の中や路地裏など地べたに下りていることが多かったなということです。いつもは柱の上に立って、みんなを見下ろしているじゃないですか。
―― たしかにそうですね。
関:ギルガメッシュは高いところにいたほうが調子いいのかもしれませんね。そんなこともあって、第1章の彼はおとなしかったのかなと思いました。
中田:ギルの真骨頂は、やっぱり「Fate/Zero」や「UBW(Fate/stay night [Unlimited Blade Works])」で、たしかに「Heaven's Feel」ではおとなしいほうだよね。
関:以前から桜ルートが映像化されることは聞いていて、そのときからギルガメッシュの出番は少ないと言われていたんですよ。ですから、思っていたよりは出ているなという印象でした。
(c) TYPE-MOON・ufotable・FSNPC―― 中田さんが言われてたように、これまでのギルガメッシュの活躍を見ている我々としては、少しの出番でも圧を感じるところがありました。関さんは演じるにあたって、これまでのシリーズのことは意識されるのでしょうか。
関:僕はほとんど意識をしません。ゲームだと別人格になることもあるので、そうした説明を受けたときは寄せるように頑張りますが、特に言われないときには、僕の中にあるギルガメッシュの導くままにやっているだけといいますか。最初のテレビシリーズの音響監督だった辻谷(耕史)さんから「ギリシャの神殿で星々と対話するように演じてほしい」と言われて、そこからずっとそんな気分です。
―― 「星々と対話する」ですか。
関:はい。演劇みたいな感じというか、ちょっと大仰にやるようにしています。
中田:ギルには「雑種」という良いセリフがあって、ファンの人たちが「雑種、雑種」と言いあって遊んでくれたり、「慢心王」と言われたりして、不遜なやつなのに、ちょっと抜けたところがかわいがられていますよね。
関:たしかに(笑)。「Fate/Zero」のときもそうでしたが、たまにいいところを見せるんですよね。浪川(大輔)君が演じたウェイバー(・ベルベット)をちょっと助けるようなところが、みんなの心をくすぐるのかもしれません。
中田:王だから、人たらしな魅力があるんでしょうね。
関:あまり出てきませんが、彼には親友(※エルキドゥ)がいますよね。彼との過去にトラウマがあって、そうした部分が垣間見ることができると、人のいいところがでてくるのかなと思っています。
―― 杉山紀彰さんにもうかがいましたが、第1章の綺礼は、中華料理店で麻婆豆腐を食べるシーンも印象的でした。演じてみていかがでしたか。
中田:「Heaven's Feel」のような息詰まる物語のなかで、あのようなシーンを演じるのはなかなか難しかったです。綺礼もギルガメッシュと同じ悪人で、みんなから「外道」と言われているぐらいですから(笑)。また、彼は原作ゲームでも日常や私生活をあまり見せたことがありませんよね。そういう意味でも難しかったです。
(c) TYPE-MOON・ufotable・FSNPC―― なるほど。
中田:今回の映画では、そうした部分を見せたほうがいいのか、見せないほうがいいのかということは考えました。ただ、そうした僕の考えとは別に、原作ファンで言峰綺礼を愛してくれている方には、泰山で麻婆豆腐を食べるところはインパクトがあったようで、そういう意味でも大事なシーンだったと思います。ああいうかたちで入れてもらえて僕個人としても楽しかったですし、「これはきっと見てくださる方も喜んでくれるだろう」と思いながらやりました。おかげさまで、上映中に劇場の下の中華料理屋さんの麻婆豆腐が飛ぶように売れたところもあるそうです(笑)。
―― 綺礼とギルガメッシュはセットで登場することが多いですが、不思議な信頼関係で結ばれているようにもそうでないようにも見えます。おふたりは、どんなふうに感じられていますか。
中田:やっぱりギルは食えないやつですよね。扱いが相当難しいし、並のマスターだったら歯牙にもかけず、言うことを聞いてくれないところがあります。僕らはマスターとサーヴァントの主従関係というより共闘関係みたいな感じで、お互いの利害が一致するから一緒にいるのでしょうね。ギルからしたら、「(遠坂)時臣よりは面白そうなヤツだ」と思っているぐらいかもしれませんが。
 また、綺礼としては、第四次聖杯戦争から第五次聖杯戦争にいたるまでに、精神的にも肉体的にもギルがいなければならなかったとも感じています。現在の綺礼が誕生した元凶がギルなんだと思います。
関:ギルガメッシュにとっての綺礼も食えない存在だと思います。中田さんが演じる雰囲気とあいまって、「彼は一体何を考えているのだろう」という感じがでていて。ただ、ギルガメッシュはみんなのことは馬鹿にしたふうに振る舞いますが、綺礼の言うことは案外ちゃんと聞いていて話しあったりもしていますよね。だから、特別な存在なのだろうなと思っています。
中田:「Fate/Zero」の綺礼は、裸のギルガメッシュ(アーチャー)と話してもいましたし(笑)。
関:そんな場面もありましたね(笑)。綺礼とは付き合いが長いですし、唯一ちゃんと喋ってコミュニケーションをとっている相手なんです。「Fate/Zero」のときは、大塚(明夫)さんが演じるライダーとのやりとりも印象深かったですけれど。
中田:お互いの温度があっていて、あそこもいいシーンだったよね。
関:他はもう大体みんな馬鹿にしている感じで……(笑)。川澄(綾子)さんが演じるセイバーにちょっと執着しているぐらいで、あとはまともな会話をかわした記憶がほとんどないです。

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