Anly、eill、NEIGHBORS COMPLAIN、R
ude-α 4つの個性が響き合う特別な夜
ーー 三度目の『Sing N' Play』をレ
ポート

Sing N’ Play 2018.12.19 (Wed) 梅田Shangri-La
今をときめく選りすぐりのアーティストたちが、それぞれのライブに加えこの日限りのコラボレーションで特別な夜を演出するライブイベント『Sing N' Play』。これまでにReiとAnlyLeolaとchayがとっておきの共演を果たしてきたが、3度目である今回は梅田にあるShangri-LaにAnly、eill、NEIGHBORS COMPLAIN、Rude-αという個性的な4組が集った。
開演前のフロアは、老若男女、出で立ちもさまざまな観客たちで賑わっている。すでに幕が上がった状態のステージには、楽器が所狭しと並んでいた。定刻を過ぎるとそこにAnly、eill、NEIGHBORS COMPLAINのOTO(Vo/Key)、Rude-αの4人が颯爽と現れる。
Sing N' Play
驚きを隠せない観客たちが静かに見守る中、AnlyのアコースティックギターとOTOのキーボードの旋律に合わせ、4人はThe Chainsmokersの「All We Know」を歌い始めた。原曲よりうんとミニマムで素朴なサウンドにeillのハイトーンボイスが心地よく溶け、Rude-αが紡ぐオリジナルのラップがアクセントとなる。各々がアイコンタクトをとりながらそっと1曲を届けたあと、暖かい拍手の中にAnlyを残し、eill、OTO、Rude-αは速やかにステージを後にした。
Anly
黒いパーカーに細身のダメージジーンズというラフな装いのAnlyは、自身の奏でるギターとボーカルをループペダルで重ねながら、たったひとりで音楽を生み出してゆく。「COFFEE」の歯切れ良いラップで観客たちをロックオンすると、挑発的とさえ感じる鋭い眼差しで「大阪いけるか!」と叫び、「FIRE」の終盤にはピックを投げ捨ててギターのボディーを両手で叩きながら感情を露わにした。
Anly
2曲続けたところでギターを置き、Anlyは貴重なコラボレーションのためにNEIGHBORS COMPLAIN のOTO、GOTTI(Gt/Cho)、KASH(Ba/Cho)、TAKA(Dr/Cho)を呼び込んだ。「この曲をこんなふうにやれるのは最初で最後かもしれないです。」紫色の照明と、NEIGHBORS COMPLAINによるバンドアレンジでムーディーに生まれ変わった「Moonlight」では、AnlyとOTOののびやかなハーモニーが響いた。
NEIGHBORS COMPLAINを送り出すとAnlyは再びギターを持ち、極限まで明かりを落として「Dream On」をしっとりと歌う。「わたしのライブは次が最後の曲です」と前置きし披露したのは「Distance」。その歌声はすり抜ける風のように切なく、情緒的で美しかった。
Anlyのライブが終わり、短い転換を経て現れたのはビートボクサーのISSEIだ。伝記映画が大ヒットしているQueenの「We Will Rock You」を迫力のあるビートボックスで表現すると、熱を帯び始めた観客たちは「Rock you!!」と声を上げた。そこへマイクを握ったRude-αが勢いよく飛びこむと「19」に突入し、向かい合ったRude-αとISSEIはスキルフルなラップとビートボックスを互いにぶつけ合う。「この夜を忘れられない夜にしたい!俺たちの音楽はおまえらのためにあるんだぜ!」 Rude-αの一言を合図にミラーボールが回り始め、彼のライブにおけるアンセムともいえる"Mirror Ball"にフロアは大きく揺れた。
Rude-α
続いたのは「この夜をこえて」。ダンサブルなビートの上を転がるフロウ、ステージを所狭しと動き回る軽快な身のこなし、時折飛び出すダブポーズ。Rude-αの隙のないパフォーマンスに誰もが釘付けだ。3曲を終えたところで、彼は唐突に先日人間ドッグを受けたことを報告し、「(人間ドックの費用)3万円、21歳にはキツかったぜ〜!」と笑いを誘った。
Rude-α
キャッチーな「Take Me Back」を挟むと、Rude-αは自身の音楽にこめた思いを吐露する。「上京して3年目だけど、1年目には辛いこともあった。うまくいかなくて沖縄に帰ろうかなと思ったこともあるけど、そんなときに末期癌のじいちゃんが「自分が決めたことをやり遂げるまでは帰ってくるな」と言ってくれた。家族の愛に気づくことができて、だからこそ俺は音楽を続けられる。21年しか生きていないけど人生って素晴らしいと思うし、これからも辛い思いを歌にして幸せや喜びを伝えたい。」
Rude-α
「Happiness」ではISSEIがマイクで優しく添えるビートに乗せ、Rude-αは言葉を丁寧に手渡してゆく。それまでのエッジィなラップとは異なるストーリーテリングのようなアプローチが胸に沁みた。来る3月23日に大阪で行う自主企画の知らせを残し、最後に爽やかなダンスナンバー「Boy Meets Girl」で会場をひとつにすると、Rude-αはステージを去った。
eill
ひとりで現れるや否や、暖色のライトに照らされながら「初恋」の澄み渡ったアカペラで魅了したのはeill。"ONE"に差し掛かると「よかったら、一緒に"No.1"をやってください!」と声をかけ、観客たちは人差し指を突き上げる。歌声のもつ深いグルーヴとは裏腹に、帽子を脱ぎ捨てて見せるダンスはとびきりキュートで、そのギャップがたまらない。ここでNEIGHBORS COMPLAINからGOTTI が迎えられ、 eillの飛躍のきっかけでもある「MAKUAKE」を華やかなカッティングで盛り上げた。歳上の男性との恋の駆け引きを描く「Hush」にはNEIGHBORS COMPLAIN全員が登場し、eillの弾力のあるボーカルを芳醇な演奏で飾った。5人が笑顔を交わしながらセッションを楽しむ様は、なんとも眩しい。
eillは最後に「FUTURE WAVE」をNEIGHBORS COMPLAINとともに歌った。バンドアレンジで聴くこのポップチューンはスマートかつ情熱的で、eillが激しくジャンプしながら聴かせる自在なフェイクには感嘆するほかない。沸き起こる拍手にはにかみながらeillが去ると、OTOが言った。「お待たせしましたNEIGHBORS COMPLAINです!まだ体力残ってますか!」
NEIGHBORS COMPLAIN
大歓声を浴びながら「Aurora」でライブをスタートさせた彼らは、「Night Drivin'」でオーディエンスを一人残さず煌びやかな夜のドライブへと誘う。GOTTIとKASHは前方で鮮やかな手さばきを見せつけ、OTOは熱いトークボックスを炸裂させた。AnlyとRude-αを迎えた「Got It Going' On」では、再びRude-αがこの楽曲のためのオリジナルバースで花を添えた。
Sing N’ Play
AnlyとRude-αを送り出し、NEIGHBORS COMPLAINの面々は感謝を口にした。「今日出演している他の3組からすごく刺激を受けています。本当にいいイベントです。ここでできたての新曲をやっていいですか!」 クールなブルーのライティングに切り替わり、スタイリッシュさと懐かしさが共存する"LST/D"が一糸乱れぬアンサンブルで届けられる。"Gotcha Feelin"では「今夜はSpecialなシャングリラで Will be one」と歌詞を変え、ダンスホールと化したShangri-Laは一層ヒートアップさせた。手を叩く人、気ままに体を揺らす人、すべての観衆が自由に束の間のひとときを楽しんでいた。
NEIGHBORS COMPLAIN
最後にNEIGHBORS COMPLAINがAnly、eill、Rude-αを呼び込み、出演者全員で贈ったのはBlack Eyed Peasの「Where Is The Love?」だ。Anlyが滑らかな英語で力強いラップを披露すると、Rude-αは日本語で即興ラップを放ち、そこへeillが柔らかな歌声を注ぎ、NEIGHBORS COMPLAINの4人が織りなすハーモニーがすべてを包みんだ。歌い終えた全員が一列に並ぶと、Shangri-Laは暖かい拍手と歓声に満ちた。
Sing N’ Play
さまざまなシーンに身を置くアーティストたちが、一夜に同じ舞台に立つかけがえのない機会を、もっと素敵な時間に。オムニバスライブイベントの粋な在り方を提示する唯一無二のプロジェクト、『Sing N' Play』の今後が楽しみでならない。
取材・文=河嶋奈津実 撮影=渡邉一生

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