【特集 インタビュー vol.1】植田真
梨恵、ライブを語る「物語の主人公と
して、心を空っぽに」

2019年にメジャーデビュー5周年を迎える植田真梨恵が、『祝5周年!5作連続リリース!』と題して濃度の高いアニバーサリーを展開中だ。わずか4ヵ月間の間にリリースされる作品群は、2つの配信シングル、ライブ映像作品、2つのコンセプトミニアルバムという全5作。集大成というにはあまりにも現在進行形を駆け抜ける植田真梨恵自身が反映されたリリース攻勢となる。
BARKSでは、“5周年”“5作連続”に重ね合わせて、“5本のインタビュー”から植田真梨恵のパーソナルに深く迫る。その第一弾は“パフォーマー:植田真梨恵”。1月23日にリリースされるライヴBlu-ray『Live of Lazward Piano “bilberry tour” at 東京グローブ座』を題材に、弾き語り、ピアニストとの2人編成の<Lazward Piano>、通常バンド編成、全力で歌うことに特化した<utautau>など、さまざまなステージ形態を持つ植田真梨恵にロングインタビューを試みた。果たして表現者:植田真梨恵が目指す“ライブとは?”

なお、
では未公開カットを含む33点の写真を掲載中だ。こちらも併せてお楽しみいただきたい。

   ◆   ◆   ◆

■2人編成って人数は少ないけど
■どんなバンドよりすごいぞという気持ち

──メジャーデビュー5周年イヤーが、いよいよスタートしました。5連続リリースが決定ということで、その第1弾となる配信シングル「FAR」が先ごろ発売され、第2弾としてLIVE Blu-ray『Live of Lazward Piano“bilberry tour”at 東京グローブ座』が1月23日に発売されます。今回のインタビューでは、植田さんのライブやパフォーマンスについてのお話を伺っていこうと思っています。まず、収録された東京グローブ座での<Lazward Piano“bilberry tour”>は2018年3月に行われましたが、このときはどういうコンセプトでしたか?

植田:<Lazward Piano>自体、2年ぶりだったんですね。2013年に<Lazward Piano>の原型となるライブ<カレンダーの13月>を初開催して、そこから毎年冬になるとこの編成でツアーをやってきていたんですけど、初めて1年間の時間が空いたんです。新たに、もう一度冬の<Lazward Piano>をみなさんにお見せするにあたって、“より凝縮された、濃密な、今までの<Lazward Piano>のおいしいところだけ全部”みたいなライブになるといいなという気持ちで臨みました。
▲植田真梨恵 画像ページ【1】へ

──セットリストや構成なども、より考えたステージですか?

植田:そうですね。特に<Lazward Piano>に関しては私よりも、私のマネージャーがその良さを一番理解していると思っているので。一緒に話をしながら、どういうふうに見せていきたいかというところと、<Lazward Piano>とはなんぞや、というところを立ち返って見つめたライブだったと思います。

──その<Lazward Piano>とはなんぞやの、ひとつの答えみたいなものって見えた感じはあるんですか?

植田:<Lazward Piano>という名前自体も、実はマネージャーがつけてくれたものだったんです(笑)。“lazward”はアラビア語で青を意味するもので、“青”がコンセプトとしてあって。穏やかな海の青、真っ暗闇に近い洞窟の青、海底の深さの青、空のすごく遠いところの青、揺らめく炎の青とか、そういういろんな“青”を感じていただくようなイメージなんです。そのくらい、一言で<Lazward Piano>とはなんぞやって言おうとしても難しいところはありますね。ゆったりとしたバラードもあれば、むちゃむちゃドラマチックで幻想的なものもあれば、切々と語るものもあれば、めまぐるしいジェットコースターのような曲もある。その一瞬一瞬の空気の入れ替わりこそが<Lazward Piano>の良さなのではないかなと思います。

──それは実際にライブを見ていても思いましたね。会場となった東京グローブ座の雰囲気もあって、“bilberry tour”は、よりお芝居を見ているような感覚が強かったです。うねりやドラマ、演者ふたりの掛け合いの緊張感も高くて。西村広文さんのピアノと、植田さんの歌とギターだけというシンプルな構成ですけど、表現としてとても奥深く、面白いライブに成長しているなって思いました。

植田:それは大変光栄に思います。お芝居みたいと言っていただきましたけど、この編成でよくライブハウスに出ていた頃、神戸のライブハウスの店長さんにも、そう言っていただいたことがあって、今、それを思い出しました。バンドばかりのブッキングのなかに、このふたり編成で出演することにこだわっていた時期があったんですよ(笑)。人数は少ないけど、誰よりもどんなバンドよりもすごいぞっていう気持ちで。

──濃いものを見せるぞという。

植田:そうです、そうです(笑)。この編成で、ふたり以上の、むしろ4人、5人以上のものを出すっていうイメージを忘れず、飽きずに、やっていくということがとてもポイントになっていますね。
▲植田真梨恵 画像ページ【1】へ

──これはきっと、練習を重ねただけで出来るわけではないというか、ライブのステージ上でもとにかくスリリングなバチバチ感があるんですよね。

植田:はい。ありますね、バチバチ感(笑)。

──変に合わせようとしてない、お互いに仕掛けあっているなっていうのは、見ていても思うので。どうやって出来上がっているんだろうなって。

植田:やっている私たちはとても楽しいですし、“あれ、なんか緊張してるな”とか“もっときてよ”とか、その時々の瞬間瞬間で感じることも互いにあるんです。そういうリアルな部分がステージ上に出てしまうからこそ、ワクワク感が大事だし、あとはトラブルも楽しめる編成だなとも思います。昨年末の<COUNTDOWN JAPAN 18/19>で、フェスでは初めてこの編成でライブをやったんです。それが妙にしっくりきたというか。フェスってお客さんがワーイってなっているんだけど、会場が広いから空気がずっとざわざわしているんです。そういう意味で、すごくいい環境でストリートライブをさせてもらっているような感じがして。

──ふたりでお客さんを捕まえにいく感覚ですね。

植田:それがすごく“音楽をしている”っていう感じがあって。とてもしっくりきました。


──元々、ふたりでのライブ<Lazward Piano>はどんなふうにスタートしたものなんですか?
植田:私が大阪に来て、初めて出たライブハウスがヒルズパン工場っていうライブハウスなんですけど、そこの店長をしている方に「真梨恵ちゃんに合いそうな鍵盤弾きの人がいるんだよ」って言われまして、それが西村さんだったんです。実際に初めてお会いしたのは、、2011年かな。OSAKA MUSEというライブハウスで対バンした時でしたね。ただ、すぐにその場で意気投合したというわけでは実はなくて。西村さんって変わった方で、人見知り…ではないと思うんですけど、初対面のときはほとんど一言もしゃべらなかったんですよ。ずーっとうつむいて顔の間近10センチくらいの近さでスマホを見ていて……半径50センチくらいで生きているような印象というか。とても話しかけづらく、さぞ難しい方なんだろうなと思っていたんです。

──今のところ、そんなに褒めてない感じですけど(笑)。

植田:でも、本当にピアノが素晴らしくて。たぶん、これまで聴いてきた音楽とか、好んできた音楽の趣味がわりと近いんだろうと思うんです。
■“最強!!”じゃなくて
■“楽しい!!”っていう無敵感

──西村さんとは、どの辺りが共通していますか。

植田:特にJ-POPですね。西村さんもすごく幅広いライブラリーで音楽を聴く人で、J-POPの流行みたいなものが頭に入ってる方なんです。高校時代のあだ名が、“歩くTSUTAYA”だったとかで(笑)。私も物心がつくくらいからずっと、ランキング番組とか見てJ-POPにかじりついていたので。

──体験が近かったんですね。

植田:嵐の「A・RA・SHI」という曲の“はじけりゃ”“Yea!”、“素直に”“Good!”って掛け合いがすぐにできるとか(笑)、瞬間瞬間にふと出てくるフレーズが似てるんですよ。出会いは、そんな感じだったんですが、ふたりでの初ライブは、2011年のアップルストア心斎橋店でのインストアライブでしたね。
▲植田真梨恵 画像ページ【2】へ

──そこで、いい手応えがあったんですか?

植田:楽しかったですね。とにかく弾き語りかバンド編成しかないと思っていたときに、より歌というものをちょうどいい大きさで届けられる──歌もピアノも生で、音量的にもそうだし、電気を通さない状態でも音が鳴ることがすごく自然体だと思えたし、可能性が広がって面白かったんですよね。

──これは自分にとってライブの軸になるかもしれないなという感覚だったんですか?

植田:初めて心斎橋でやったときは、そこまではまだわからなかったですね。この編成でスタジオに入って“この曲やってみますよ”っていう作業って、ほとんど編曲なんですよ。“ここでこういうことを弾いてください”っていうふうに、私が口ずさんだフレーズをパパパパっと弾いてもらったり。そこで合わせたときのグルーヴから生まれていく展開が、流れとしてすごく自然だったんです。なんの違和感もなく1曲が出来上がっていくこと自体が、とても面白かったですね。

──アレンジで自分の曲がもう一回生まれ変わっていく感じですね。

植田:そうですね。むしろ、そうすることで曲が元々あるべき姿になったこともありましたし。それに、ピアノだけでここまでのパワー感を出せると思っていなかったんです。“これ本当にふたりでやるの?”っていうバンドアレンジの曲をふたりでやってみたら、バンド以上のエネルギーが出せたり。そういう面白さ。ただ、そこに気付くきっかけはライブではなくレコーディングだったと思います。「ソロジー」と「朝焼けの番人」を出会ってからわりと早い段階でレコーディングしたんです。その時にプリプロも含めて、顔をつき合わせて二人だけで一からアレンジを作り上げることで、二人でやる基礎みたいなものが出来上がった気がします。だから、編曲作業の面白さと、素の状態でステージに出たときの無敵感……“最強!!”じゃなくて“楽しい!!”っていう無敵感。そういう新たな風が吹いた感覚でした。私が音楽をやる上でとても大切な編成になりましたね。

──ふたりでやってみることで、ライブに対する考えとか、自分の音楽に対する思いが変わった感覚も強かったですか?

植田:例えば、舞台上で弾き語りを始めた瞬間に、スポットライトひとつで世界が見えるようなステージに憧れがあったんです。ただ、ひとりで弾き語りをやっていたときは、うまく言葉にできていなかったと思うし、それを意識できていなかったんです。ピアノとアコギの編成でライブをするようになって、その部分は変わりましたね。息をひと吸いしてブレスから曲に入るところとか、ふたりで呼吸を合わせることで、ひとつの時間を空間として作っている感覚が強いのかな。もともとお芝居みたいなライブが好きだし。
▲植田真梨恵 画像ページ【2】へ

──確かに<Lazward Piano>は、始まるぞっていう緊張感が頭からありますね。お芝居っぽくありたいっていうのは、自分がライブをする上で、最初のほうからあったんですね。

植田:物語が好きなので、それは書いてきた曲にも表れているとも思うんです。歌い始めたら、“その物語の主人公として、心を空っぽにして歌いたい”。それは、わざわざ言わなかった願望だけど、そういうところはずっと大事にしていたかもしれないですね。ふたりでのライブをやったことで、そこがより浮き彫りになったと思います。

──アルバムツアーなどでのバンド編成のライブや、<たったひとりのワンマンライブ>をはじめとする弾き語りライブ、また<Lazward Piano>があるほか、2014年には<UTAUTAU>がスタートしています。<UTAUTAU>はどういう経緯ではじまったもので、アルバムツアーなどでのバンド編成ライブとはどういう違いがありますか?

植田:いろいろな出会いやきっかけがあって、自分で作詞作曲したり、ギターを弾いて歌ったり、アートワークを手掛けたりっていう様々なことをさせてもらっていると思っているんです。そのなかでも、とにかく歌手になりたかった私が、“歌を歌う”ということに徹して真っ向から豪速球をストレートに投げるライブって、すごくカッコいいのではないか?っていうところから始まりました。歌が好きな私が、お客さんにもたくさん歌ってもらいたいって思いながらお届けしているライブ。<Lazward Piano>とは対極に位置しているのが<UTAUTAU>ですね。ドラマチックさとか幻想的っていうところと、<UTAUTAU>は遠いんです。表現するのが難しいんですけど……デニムにスニーカーを履いて、というイメージ。

──会場一体となって盛り上がるようなライブですよね。

植田:そうですね、伸び伸びと歌うイメージが<UTAUTAU>にはあるから。楽器隊のひとりひとりもそう。ギタリストにも歌を歌うみたいにギターを弾いてほしいと思っているから。

──そういうことはバンドメンバーとも共有しているんですか?

植田:<UTAUTAU>では自然とそうなりましたね。<Lazward Piano>のようにカッコつけないし、ドラマチックとかロマンチックを目指さない素顔の<UTAUTAU>が、泥臭くて、それはそれで好きなんです。
■当時の弾き語りと今とでは
■全然違うものになってるかな

──いろいろな形のライブのなかでも、いちばん暑苦しいライブですかね(笑)。そういう<UTAUTAU>と、弾き語りライブはまた違うものですよね?

植田:全て私がやっているものなので、そんなに差はないと思うんですけど(笑)。でも、なんでしょうね。2018年は<たったひとりのワンマンライブ vol.3 “good-bye stereotype”>というアコギ1本持って回る弾き語りツアーが3年ぶりにあって。それこそ、自分の手の届く範囲のライブだったんです。もちろん一番後ろの人に届くように大きな声でも歌うけど、その空間で聞こえるだけの音量でしか歌を発さない瞬間もあったり。テンポも揺れながらだったり、その時々で歌詞に自分で疑問をもってみたり。そういう意味では、気づきがあったツアーだったんです。これも泥臭いんですけども、“イエーイ”っていうタイプのものではないんです。

──もっと自分と向き合うようなものですかね。

植田:ひとりずつと目を合わせながら、聞こえる音量で届ける。昨年のツアーはそれがすごく良かったんです。今までも、リリースイベントとかで弾き語りをやってきたんですけど、弾き語りって、それこそリハーサルを見ているお客さんから「あの曲やって」って言われたらやる、みたいな。そのくらいの距離感での歌というか、私がお守りみたいに思っている歌を歌う時間ですね。私が、そこにそのままいるだけのライブを見てもらうというか。
▲植田真梨恵 画像ページ【3】へ

──お客さんからリクエストが来たらやっちゃう感じなんですね。

植田:最初から最後までそれだと緊張感はないですけど(笑)。場所にもよりましたが、昨年のツアーではその場所場所でリアルな反応があったんですよね。それってリリースイベントから繋がっているラフさというか。ほんとにね、ただ歌ってるだけのお姉ちゃんなので(笑)。そういう距離感も気持ちいいんですよね。

──もともと植田さんのライブの原点って弾き語りで歌うような感じですよね。

植田:言われてみれば、そうかもしれません。さすがに、アコギを持って弾き語りをはじめた17歳とか18歳の頃に、お客さんから「あの曲やって」と言われて、それをやる強さはなかったですけどね(笑)。当時は、“こうありたい”とか“こうあるべき”という憧れに対する意識が強かったし、それこそお芝居じゃないけど、ひとりで世界観を作り上げるのに必死だったので。当時の弾き語りと今とでは、全然違うものになってるかなと思います。

──“ひとりで世界観を作り上げるのに必死だった”感じから、“歌ってるお姉ちゃん”とか“歌うのを楽しんでいる”感じになるのって結構な違いじゃないですか。どんな変化があったんでしょう?

植田:メジャーデビューをさせてもらってからというもの、キャンペーンでラジオ局とかいろんなところを回って、その1日の終わりに、夜7時とか8時にインストアライブをさせてもらうことが多いんですけど、そのアコギで歌う時間が大好きで、本当に自分にとってご褒美だなっていつも思うんです(笑)。

──「ようやく歌えるぞ!」って。

植田:「やっとこの時間が来た!」って(笑)。お客さんと会って「歌います!」って歌える時間がとても楽しくて嬉しくて、緊張している場合じゃなかった。その感じが、弾き語りツアーに繋がっていったんでしょうね。楽しいだけになりすぎないように気をつけたりもしてますけど(笑)。そういう気持ちになれたメジャーデビュー以降、弾き語りがすごく好きになったかもしれない。
▲植田真梨恵 画像ページ【3】へ

──ギター1本と歌とで勝負するんだ!みたいな、変な緊張感はなかったんですね。

植田:そういう緊張感は、マネージャーから「弾き語りでライブをしましょう」って提案された10代の頃はあったと思います。最初は本当にイヤで(笑)。なんでイヤかというと、私は歌手になりたかったからで。アコースティックギターを弾き語りするシンガーになりたいわけじゃなかったんですよ。自分のイメージしている歌手像とは違ったんですよね、弾き語りは。でも、自分で作った曲を自分でアコースティックギターを持って歌うという行為は、とても手軽で自然な流れじゃないですか。最初は違和感があったんですけど、“やるならちゃんとやろう!”と思って練習をして。

──そこから、弾き語りを練習したんですね(笑)。

植田:アコギすら持ってなかったですからね(笑)。初めてアコギを買って練習して、そこからライブハウスのブッキングをしてもらって出演、という。

──マネージャーさんは、どうして植田さんに弾き語りを勧めたのでしょうか?

マネージャー:当時、“歌さえ聴いてもらえたら惹きつけられる”と思っていたので、植田真梨恵を知らない人がいる場所、特にオープンスペースで歌える場所を探していて、弾き語りがいちばん身軽でした。結果的に、年間50本以上のライブを行うようになっていったので、その全部をバンド形態でまわることが難しかったということもあります。でも、植田さんはすぐにギターを弾きたがるクセがあったので、嫌がっていると当時は全く思ってなかったですね(笑)。

植田:武者修行的にアコギをはじめたら、段々と弾き語りが大好きになったし、むしろそれでしか出せない空気感もあるということを知りました。昨年のツアーは本当に面白かったですしね。
■みなさんの人生と重なったり共振したり
■同じ夢を見るようなことができたら

──じゃあ10代の頃は、習いたてというか覚えたてのギターで歌うみたいな感じですよね。

植田:そうですね、当時弾き語りで歌うシンガーの参考にしていたのが、Ken Yokoyamaさんがアップルストアの前でひとりで座って弾いてる姿で(2005年、渋谷アップルストアでのフリーアコースティックライブ)。あれが、弾き語りをするロックミュージシャンのあるべき姿だって思っていたんです。

──予想外の名前が出てきて驚いたんですが、まさか入り口がKen Yokoyamaさんだったとは(笑)。

植田:目指しましたね、10代の私は。当時はバンドものばかり聴いていたので、単純に弾き語りをしているカッコいい人で思い浮かんだのが、Ken Yokoyamaさんだったんです。だから、自分もアップルストアでライブをしたいなって思ったという(笑)。その一方で、アコギを持って歌うにつれ、“アコギでは成立しないような曲のイメージでありたい”っていう気持ちが余計に強まったかもしれない(笑)。
▲植田真梨恵 画像ページ【4】へ

──反骨心もあったわけですね。

植田:“いわゆるアコースティックギター弾き語りのシンガーを目指しているわけじゃないよ”っていう、当時はそういう気持ちもありました。でも、むしろ苦しめられるんですけどね、弾き語りでやりやすい曲がなさすぎて。それで、アコースティックギター1本で映える曲を書こうっていうシーズンも、その後にやってきます(笑)。それが「よるのさんぽ」とかにも繋がっていくんですけど。

──弾き語りをはじめたことは、自身の音楽活動のターニングポイントにもなったなと思いますか?

植田:うーん、徐々にそうなっていった感じですかね。ターニングポイントと呼ぶよりは……最初は怖かったんですよ。自分が思い描いていた“歌手”のイメージとかけ離れていくことが。それが徐々に楽しくなっていったことは大きな出来事だったし、確かにターニングポイントではありましたね。

──いろんな形態でのライブを行なってきましたが、今後、こういうライブをやってみたいというヴィジョンはありますか?

植田:“いつかやってみたい”ということではオーケストラでのライブですね。<Lazward Piano>の延長線上にあるような感じですけど、きれいな会場で、最高にきれいな弦楽器がいっぱい入ったフルオーケストラでのライブをやってみたいです。

──自分でそういうライブやショーも見たりします?

植田:ディズニー!
▲植田真梨恵 画像ページ【4】へ

──やはり、ああいったファンタジックな世界観は、自分のライブの参考にもなっていますか。

植田:なっていると思います。行くとやっぱり刺激をもらえるし、アイデアが枯渇しないんです。制作で煮詰まってググっと小さいところにフォーカスしてガチガチになっていたところで、そういうショーを見てブワッと気持ちがほどけた瞬間、“ああそうか”って気づいたりすることもあるので。

──あの場所、あそこでのショーには何があるんですか?

植田:何が始まるかわからない、何が表現されるのか未知数という、導入部分から引き込んで離さないんですよ。後半に出てくる夢の素晴らしさを分かちあうために悪夢があるとか、その見せ方の振り幅が素晴らしいんです。ディズニーのショーには、物語と現実とを橋渡ししてくれる、導いていくキャラクターがいるんです。例えばエレクトリカルパレードだったらティンカーベルが明かりをつけるところから物語がスタートするとか。そういうものを見ていると勉強になるんですよね。

──自分の舞台、ステージも、現実と地続きであり、その先を見せるものでありたいという思いがある。

植田:ワクワクして、ドラマティックで、素敵で、かわいいものが見たいけど、それが自分とまったく無関係だと、深く感情移入できないんじゃないかなと思うんです。私の生活とか人生とか、頭のなかにあって素敵だなと思えるものが、みなさんの生活や人生と重なったり共振したり。同じ夢を見ることができたら、というものにしたいですね。

──3月に<Live of Lazward Piano-凍てついた星座->を開催することが決定しています。こちらはどんなライブになりそうですか。

植田:“bilberry tour”に引き続き、濃密な<Lazward Piano>になると思います。今回、札幌のバプテスト教会は、お客さんから見てステージの後ろが一面のガラスになっているんですよ。寒い冬の夜の<Lazward Piano>であり、星座を眺めながらのライブになる。<Lazward Piano>ではきっとみなさんも緊張して、固まって見てくださると思うので(笑)。凍てついた星座のように、緊迫感のなかで行なうきれいなライブになるのかなと思います。今回はどの会場も素晴らしいんです。ファイナルの大阪は大阪市中央公会堂なんですが、みなさんベルばらの気分で来てほしいくらいの雰囲気がある素敵な場所で(笑)。シックにお洒落をして来てくれたらいいなと思ってます。

取材・文◎吉羽さおり
撮影◎野村雄治
※特集ページでは未公開カット33点公開中。
■【第二弾】LIVE Blu-ray『Live of Lazward Piano “bilberry tour” at 東京グローブ座』
2019年1月23日(水)リリース
【Blu-ray + LIVE CD】GZXA-8034 ¥6,500 (Tax out)
※初回生産分のみ、新曲「bilberry song」収録 8cm CD封入(音源がダウンロードできるQRコード付)
▼Blu-ray 収録曲
<植田真梨恵 Live of Lazward Piano “bilberry tour”>2018.3.25@東京グローブ座
01. 壊して
02. きえるみたい
03. 流れ星
04. スメル
05. S・O・S
06. hanamoge
07. メリーゴーランド
08. 優しい悪魔
09. a girl
10. 灯
11. 勿忘にくちづけ
12. I was Dreamin’ C U Darlin’
13. 夢のパレード
14. 心と体
15. センチメンタリズム
16. FRIDAY
17. 変革の気、蜂蜜の夕陽
18. よるのさんぽ
19. さよならのかわりに記憶を消した
encore
EN-1 REVOLVER
EN-2 旋回呪文
EN-3 サファイア!
EN-4 朝焼けの番人
▼LIVE CD 収録曲
<植田真梨恵 Live of Lazward Piano “bilberry tour”>2018.2.18@京都文化博物館 別館ホール
01. ハルシネーション
02. 白い月
03. スメル
04. JOURNEY
05. シンクロ
06. ザクロの実
07. ソロジー
08. 僕の夢
09. アリス
10. ハイリゲンシュタットの遺書
11. ペースト
12. 心と体
13. センチメンタリズム
14. FRIDAY
15. 吠える虎


【第三弾】二作連続コンセプトミニアルバム『F.A.R.』

2019年2月20日(水)リリース


【初回限定盤 (CD+DVD)】GZCA-5284 ¥2,500(Tax out)
※紙ジャケ仕様
01. FAR
02. ロマンティカ
03. プライベートタイム
04. さなぎから蝶へ
05. 苺の実
06. softly
(07. EXIT)
▼初回限定盤 特典DVD
たったひとりのワンマンライブ vol.3 “good-bye stereotype”
2018.10.19 久留米シティプラザ 久留米座よりLIVE映像13曲収録
01. アリス
02. 最果てへ
03. 砂漠の果てに咲く花
04. カルカテレパシー
05. 210号線
06. よるのさんぽ
07. 雨にうたえば
08. 勿忘にくちづけ
09. 花鬘
10. ペースト
11. 心と体
12. 変革の気、蜂蜜の夕陽
encore
en1. コンセントカー
DOCUMENT MOVIE まわりくるめロケ -ふるさと編-
【通常盤 (CD ONLY)】GZCA-5285 1,800 (Tax out)
01. FAR
02. ロマンティカ
03. プライベートタイム
04. さなぎから蝶へ
05. 苺の実
06. softly
(07. EXIT)


【第四弾】デジタル配信シングル「タイトル未定」

2019年3月13日(水)リリース
Coming Soon


【第五弾】二作連続コンセプトミニアルバム『W.A.H.』

2019年4月17日(水)リリース
Coming Soon


■<Live of Lazward Piano -凍てついた星座->

2019年3月10日(日) 長崎・旧香港上海銀行長崎支店記念館
OPEN 18:00 / START 18:30
(問)キョードー西日本 0570-09-2424
2019年3月17日(日) 東京・日本橋三井ホール
OPEN 16:45 / START 17:30
(問)H.I.P. 03-3475-9999
2019年3月21日(木・祝) 北海道・札幌バプテスト教会
OPEN 17:00 / START 17:30
(問)マウントアライブ 011-623-5555
2019年3月23日(土) 大阪・大阪市中央公会堂 大集会室
OPEN 17:15 / START 18:00
(問)サウンドクリエーター 06-6357-4400
▼チケット
一般発売日:2019年2月9日(土)

関連リンク

BARKS

BARKSは2001年から15年以上にわたり旬の音楽情報を届けてきた日本最大級の音楽情報サイトです。

新着