OBLIVION DUST、
全17公演の全国ツアー
狂騒渦巻く最終日をレポート
2018年12月2日よりスタートしたOBLIVION DUSTの全国ツアー『Us Against Them Tour 2018 - 19』。16都市全17公演に渡って日本各地を熱狂の坩堝と化してきた今ツアーが2019年1月27日、東京・渋谷TSUTAYA O-EASTにて最終日を迎えた。
すでに公にアナウンスされている通り、残すところあと5公演とツアー完走まであと一息に迫った熊本公演の直前にK.A.Z(Gu)が左手首を骨折。しかしメンバーのKEN LLOYD(Vo)、RIKIJI(Ba)は固い意志でツアーの続行を決断、以降、K.A.Zの不在を余儀なくされながらも、サポートメンバーも含めたバンド一丸となってこの予期せぬ逆境を乗り越え、ついに辿り着いたファイナルだ。詰めかけたファンもそうした事情は了承済みなのだろう、彼らと一緒にK.A.Zの分までも今日のライヴを楽しみ尽くし、最高の一夜を作り上げようという尋常ならざる意気が会場全体に充満しているのがわかる。
開演時刻と同時に暗転した場内を爆音で揺るがしたのは「Sink The God Remix」、K.A.Zが手掛けたこのオープニングSEが歓声をいっそう不穏に煽り立てる。そうして“カモン!”とKENの雄叫び一発、1曲目「Sink The God」がシームレスにオーディンスを狂騒へと誘った。いつにも増してゴリゴリと挑発的なRIKIJIのベースライン、スペシャル・サポートギターとしてこの日駆けつけたRYO(from NYF)のフレーズも随所に光る。レギュラーでサポートを務めてきたYUJI(Gu)とのコンビネーションも抜群だ。サポートドラマー・ARIMATSUの重いビートが炸裂する「Microchipped」で興奮のメーターは早くも針を振り切った。凄まじい勢いで波打つフロア、それを迎え撃ってステージから迸る熱も途方もない。まるでバンドとオーディエンスが互いに鼓舞し合い、さらなる高みを目指そうとするかのような光景にも見える。K.A.Zの不在をただの不在にはしない、ステージもフロアもそんな気迫にみなぎっている。
“渋谷、お元気でしょうか。ツアーラストになりますが、みなさんとともに暴れて塊になれればいいなと思っております。えー、今日はありがとうございました”
まだ序盤にも関わらず、これが最後のような挨拶をするKENに爆笑するフロア。もちろんジョークも含んでいるのだろうが、むしろ“ここから全曲、ラストのつもりでかかってこい”という宣戦布告のようにも聞こえる。本気を証明するかのようにギターを肩に掛け、「Goodbye」を弾き歌うKEN。ツアーに先立って開催された昨年のFC限定ライヴで数年ぶりにギターを演奏し、ファンを驚喜させた彼だが、今回の事態を受けて急遽、この曲のみこうした形で披露することにしたらしい。普段はなかなかお目にかかれない勇姿と、トリプルギターで奏でられる壮麗なヘヴィチューンにはただ陶然と酔いしれるほかないだろう。RYOのギターが引き金となってパンキッシュなバンドサウンドが弾丸のごとく繰り出された「Girlie Boy Imitation #6」、どこかエキゾチックかつ呪術的な匂いも孕んだ「No Medication」ではグッと光量を絞った照明も妖しさに拍車をかけてこの場を息苦しいほどの緊迫感に満たしていく。
一転、「Gateway」での壮大なる解放感から、OBLIVION DUST随一とも呼びたいバラードナンバー「Your Yesterday」への美しいリレーション。未発表曲ながら今やライヴのキラーチューンとして猛威をふるう「Satellite」、RIKIJIとARIMATSUのリズムアンサンブルにKENのアグレッシヴな歌声が絡んでいくスリリングな展開が何にも代え難く痛快だ。気づけば「Nightcrawler」まで実に8曲、ノンストップで駆け抜けていた。
“一応、説明すると、今ここで(ギターを)弾いているのはK.A.Zが大きくなったわけではなく……”と冗談めかしつつ、改めてRYOを紹介したあとは“新曲を聴いてください”と「D.O.A」に突入。歪んだ分厚いリフの層としなやかでエモーショナルなヴォーカルとが見事に融合したラウドなナンバーにまたも激しくフロアが猛る。「Death Surf」ではクラウドサーフするオーディエンスが引きも切らず、「You」ではKENとともに全員がサビの“F○ck you”を叫んだ。
“OBLIVION DUSTはわりと毎回ツアーでいろいろあるバンドなんですが、その中でもトップクラスにいろんなことがあったツアーだなと思います。でも、おかげでOBLIVION DUST自体がいい意味で大きくなれた、とてもプラスになるツアーでした。そう思えるのもみんなのおかげ。中指立てて“F○ck you!”言った直後になんですけど……感謝しています”
終盤に差し掛かってのMCで、KENは今ツアーを振り返り、半ば照れくさそうに、でもはっきりとそう口にした。さらにはいつも支えてくれているスタッフ、今日のライヴに参加してくれたRYOへの感謝も。
“あとは今日来てないヤツが早く復帰してくれれば、と。じゃあ、ヤツがいない残りの時間を大いに楽しんでいってください”
そうしてバンドは「Never Ending」をドロップ、パワフルなアンサンブルが場内に明るい一体感を生む。息つく暇も与えずに「Sail Away」「Evidence」とライヴの鉄板曲を畳み掛け、ラストナンバーは「Haze」。感傷などもはやひとかけらもない。
終演後、これもまたK.A.Zの手掛けた「Under My Skin Remix」がBGMに流れる中、会場備え付けのスクリーンにK.A.Zからのメッセージが流れた。そこには自身不在の中、力を合わせてツアーを完走してくれたメンバーへの感謝や、いつしか失いかけていた結束力や温かさを改めて感じられたこと、できるだけ早く戻れるようにしっかりリハビリをして、また自身の音楽を届けたいという前向きな想いが綴られていた。蛇足ながら不在の間のセットリストはすべてK.A.Zによるものだったこともここに付記しておきたい。
振り返るにOBLIVION DUSTはこれまでも幾多の困難に打ち当たっては、それを打破し、復活を果たしてきたバンドだ。今回の出来事もきっと彼らの遠くない未来の糧になるだろう。このファイナルはそれを確信させてくれた。それを裏付けるように、K.A.Zのメッセージのあとには新たに7月から始まる夏のツアー告知も。立ち止まらないOBLIVION DUSTの背中をどこまでも追いかけていきたい。
すでに公にアナウンスされている通り、残すところあと5公演とツアー完走まであと一息に迫った熊本公演の直前にK.A.Z(Gu)が左手首を骨折。しかしメンバーのKEN LLOYD(Vo)、RIKIJI(Ba)は固い意志でツアーの続行を決断、以降、K.A.Zの不在を余儀なくされながらも、サポートメンバーも含めたバンド一丸となってこの予期せぬ逆境を乗り越え、ついに辿り着いたファイナルだ。詰めかけたファンもそうした事情は了承済みなのだろう、彼らと一緒にK.A.Zの分までも今日のライヴを楽しみ尽くし、最高の一夜を作り上げようという尋常ならざる意気が会場全体に充満しているのがわかる。
開演時刻と同時に暗転した場内を爆音で揺るがしたのは「Sink The God Remix」、K.A.Zが手掛けたこのオープニングSEが歓声をいっそう不穏に煽り立てる。そうして“カモン!”とKENの雄叫び一発、1曲目「Sink The God」がシームレスにオーディンスを狂騒へと誘った。いつにも増してゴリゴリと挑発的なRIKIJIのベースライン、スペシャル・サポートギターとしてこの日駆けつけたRYO(from NYF)のフレーズも随所に光る。レギュラーでサポートを務めてきたYUJI(Gu)とのコンビネーションも抜群だ。サポートドラマー・ARIMATSUの重いビートが炸裂する「Microchipped」で興奮のメーターは早くも針を振り切った。凄まじい勢いで波打つフロア、それを迎え撃ってステージから迸る熱も途方もない。まるでバンドとオーディエンスが互いに鼓舞し合い、さらなる高みを目指そうとするかのような光景にも見える。K.A.Zの不在をただの不在にはしない、ステージもフロアもそんな気迫にみなぎっている。
“渋谷、お元気でしょうか。ツアーラストになりますが、みなさんとともに暴れて塊になれればいいなと思っております。えー、今日はありがとうございました”
まだ序盤にも関わらず、これが最後のような挨拶をするKENに爆笑するフロア。もちろんジョークも含んでいるのだろうが、むしろ“ここから全曲、ラストのつもりでかかってこい”という宣戦布告のようにも聞こえる。本気を証明するかのようにギターを肩に掛け、「Goodbye」を弾き歌うKEN。ツアーに先立って開催された昨年のFC限定ライヴで数年ぶりにギターを演奏し、ファンを驚喜させた彼だが、今回の事態を受けて急遽、この曲のみこうした形で披露することにしたらしい。普段はなかなかお目にかかれない勇姿と、トリプルギターで奏でられる壮麗なヘヴィチューンにはただ陶然と酔いしれるほかないだろう。RYOのギターが引き金となってパンキッシュなバンドサウンドが弾丸のごとく繰り出された「Girlie Boy Imitation #6」、どこかエキゾチックかつ呪術的な匂いも孕んだ「No Medication」ではグッと光量を絞った照明も妖しさに拍車をかけてこの場を息苦しいほどの緊迫感に満たしていく。
一転、「Gateway」での壮大なる解放感から、OBLIVION DUST随一とも呼びたいバラードナンバー「Your Yesterday」への美しいリレーション。未発表曲ながら今やライヴのキラーチューンとして猛威をふるう「Satellite」、RIKIJIとARIMATSUのリズムアンサンブルにKENのアグレッシヴな歌声が絡んでいくスリリングな展開が何にも代え難く痛快だ。気づけば「Nightcrawler」まで実に8曲、ノンストップで駆け抜けていた。
“一応、説明すると、今ここで(ギターを)弾いているのはK.A.Zが大きくなったわけではなく……”と冗談めかしつつ、改めてRYOを紹介したあとは“新曲を聴いてください”と「D.O.A」に突入。歪んだ分厚いリフの層としなやかでエモーショナルなヴォーカルとが見事に融合したラウドなナンバーにまたも激しくフロアが猛る。「Death Surf」ではクラウドサーフするオーディエンスが引きも切らず、「You」ではKENとともに全員がサビの“F○ck you”を叫んだ。
“OBLIVION DUSTはわりと毎回ツアーでいろいろあるバンドなんですが、その中でもトップクラスにいろんなことがあったツアーだなと思います。でも、おかげでOBLIVION DUST自体がいい意味で大きくなれた、とてもプラスになるツアーでした。そう思えるのもみんなのおかげ。中指立てて“F○ck you!”言った直後になんですけど……感謝しています”
終盤に差し掛かってのMCで、KENは今ツアーを振り返り、半ば照れくさそうに、でもはっきりとそう口にした。さらにはいつも支えてくれているスタッフ、今日のライヴに参加してくれたRYOへの感謝も。
“あとは今日来てないヤツが早く復帰してくれれば、と。じゃあ、ヤツがいない残りの時間を大いに楽しんでいってください”
そうしてバンドは「Never Ending」をドロップ、パワフルなアンサンブルが場内に明るい一体感を生む。息つく暇も与えずに「Sail Away」「Evidence」とライヴの鉄板曲を畳み掛け、ラストナンバーは「Haze」。感傷などもはやひとかけらもない。
終演後、これもまたK.A.Zの手掛けた「Under My Skin Remix」がBGMに流れる中、会場備え付けのスクリーンにK.A.Zからのメッセージが流れた。そこには自身不在の中、力を合わせてツアーを完走してくれたメンバーへの感謝や、いつしか失いかけていた結束力や温かさを改めて感じられたこと、できるだけ早く戻れるようにしっかりリハビリをして、また自身の音楽を届けたいという前向きな想いが綴られていた。蛇足ながら不在の間のセットリストはすべてK.A.Zによるものだったこともここに付記しておきたい。
振り返るにOBLIVION DUSTはこれまでも幾多の困難に打ち当たっては、それを打破し、復活を果たしてきたバンドだ。今回の出来事もきっと彼らの遠くない未来の糧になるだろう。このファイナルはそれを確信させてくれた。それを裏付けるように、K.A.Zのメッセージのあとには新たに7月から始まる夏のツアー告知も。立ち止まらないOBLIVION DUSTの背中をどこまでも追いかけていきたい。
photo by 緒車寿一
text by 本間夕子
text by 本間夕子
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