六本木歌舞伎第3弾『羅生門』製作発
表 海老蔵、歌舞伎初心者に「三宅健
を観ていればいい」と大胆アドバイス
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六本木歌舞伎の第三弾として芥川龍之介の代表作『羅生門』が、2019年2月22日(金)~3月10日(日)東京・EXシアター六本木で上演される(3月には大阪、札幌を巡演)。本作の製作発表会見が、2月4日(月)都内にて行われ、市川海老蔵と今回歌舞伎初挑戦となるV6の三宅健、演出の三池崇史が松竹株式会社副社長・演劇本部長の安孫子正と共に出席した。
まずは安孫子より挨拶。「海老蔵が歌舞伎の古典、そして成田屋の伝統を継承しながら一方で新しい歌舞伎を想像したいと発案し、三池監督と今までにない新しい歌舞伎を作ろうと始めた」と六本木歌舞伎の成り立ちについて説明。そして今回上演する『羅生門』への出演を三宅にオファーした理由について「3年前から『滝沢歌舞伎』に三宅さんが出演されてご縁ができた。その時に三宅さんとたくさん話をして、芝居に対する情熱や愛情の強さを知り、また日本の芝居に挑戦したいという三宅さんの想いも伺っていた」と振り返り、今回の六本木歌舞伎で海老蔵と三宅の「夢の共演」を実現させる事となったと話した。
安孫子正
過去2作に続き今回も演出を務める三池は「追い詰められた感じです。ヒリヒリとした気分を感じながら日々過ごしている状況」と今の心境を述べる。この日海老蔵、三宅と共に紋付羽織袴という正装に身を包んだ三池は「千歳飴でも持って写真を撮ろうかな」と口にすると、隣に座る三宅がニコッと笑顔を浮かべて三池の顔を見上げていた。
なお三池にとっては「市川海老蔵が歌舞伎そのもの。海老蔵さんは伝統を守りながら何を生み出せるのか、そこに自分自身も興味を感じ、また使命をも感じている。六本木歌舞伎でも最初は宮藤官九郎さんに脚本を依頼して僕が演出をつけるなど、海老蔵さんは歌舞伎の世界に閉じこもらず、違う世界に蓄えたエネルギーを噴射して増幅している。三宅さんも交えカオスになっている世界が初日にどうなっているのかまだ分からない。初日をご覧になるお客様はかなり楽しめると思う」と本作の仕上がりに期待を持たせていた。
三池崇史
海老蔵は三池、三宅とタッグを組んで芥川龍之介の名作に挑む事について「どんな変化が起き、普段歌舞伎をやっている者として、自分の中のいつも以外の引き出しが開くのか、自分が気が付いていない事に気付けるような時間を稽古で過ごし、初日を迎える時には具体的に具現化し、多くの方々に何かを感じていただけるような作品になると思います」と力を込める。また黒澤明監督の映画でも有名な『羅生門』の舞台化について、「エゴイズムがテーマになっているこの作品を“三池ワールドとしてのエゴイズム”を咀嚼して我々に見せてほしい」と三池に依頼したと語った。
市川海老蔵
今回歌舞伎初挑戦となる三宅は「私、御年39歳になるんですが、人生の中でまさか歌舞伎に出演させていただくことになるとは本当に考えもしなかった。今隣にいらっしゃる海老蔵さんは小さい頃からお稽古事をなさって修練されていらした歌舞伎役者さんです。そんな方とズブの素人の私が同じ舞台に立たせていただけるなんて、生涯のうちに一度あるかないかの事。これが最初で最後のつもりで、捨て身で、無我夢中の境地で挑みたい」と決意を露わにすると、横から海老蔵が「最後なんだ?」と三宅の緊張をほぐすように茶々を入れ和ませる。続けて三宅は「これをきっかけに僕たちやジャニーズのファンの方々が本物の歌舞伎に触れるのはすごく素敵な事。いろいろな方に観ていただきたい」と二つのエンターテインメントの橋渡し役となるべくコメントした。
明日からの稽古に向けて今は台本を読んでいる最中という三宅。「三池さんがアレンジを加えて人間のエゴイズム、生と死を台本に描いているんですが、僕たちの中にも生と死は隣りあわせで存在すると思うので、普段はあまり考えないそういった事を舞台を観て持ち帰っていただけるような作品にしたい」と胸の内を表した。
三宅健
質疑応答では海老蔵と三宅に、お互いの印象について質問が飛ぶ。まずは三宅が「普段から海老蔵さんを扱うドキュメンタリー番組を欠かさず観ていて、身体も鍛えていて凄いストイックな方というイメージ」と海老蔵の印象を語ると、海老蔵は「私の方が若い時から三宅さんを知っている。TVに出演されていましたし。(ジャニーズには)いろいろなグループがあって誰がいちばんかっこいいか? と思いながら観ていたんですが、V6デビューの時にいちばんかっこいいのは三宅さんだと思っていました。この人モテるんだろうなーって(笑)」その言葉に思わず三宅が噴き出す。松竹関係者などから三宅の良い評判をたくさん聞いていたが、それでも海老蔵からみたイメージは「この人はモテる人」のままだったと笑う。その言葉に三宅は小さな声で「ありがとうございます。恐縮です」と照れていた。
気になる役どころだが、海老蔵は「老婆」「渡辺綱」そしてまだ明らかになっていない1役と「海老蔵」本人役を、三宅は「下人」「右源太」の2役を演じ分ける。海老蔵は「『羅生門』と言えば渡辺綱が茨木童子の腕を切り落としたという話が」と歌舞伎「茨木」をイメージさせるが、「ただ、カットされなければ、の話です」と役どころに変更が入る可能性を示す。また六本木歌舞伎恒例となる「海老蔵」役については「皆さんの中で市川海老蔵をどうとらえているかによりますが……『市川海老蔵』を演じる事に全精力を注ぎたい」というと三宅も三池も堪えきれず笑っていた。
続いて三宅は「鍵となる下人の役を演じますが、右も左も分からない歌舞伎というものに出演させていただくことになるので、何者か分からない『下人』は今の自分の境遇と似ているのかも」と役どころに触れ、「原作をいつ、どんな時に読むかでその人に訴えかけてくるものが変わってくる小説であり、読む側の人間が『羅生門』が訴えてくる答えを求めてしまうような作品だと思うので、この物語の核となる部分を稽古でつかみたい」と一言一言大事に言葉を紡いでいた。
いいコンビになりそうな予感!
質疑応答の最後には歌舞伎を初めて観る人へのアドバイスが求められた。すると海老蔵は「三宅さんのファンが初めて歌舞伎を観る、という想定でお答えしますと……基本的に三宅健を観ていればいいのでは?」その言葉に会場はドッと沸き、三宅は「いえいえダメですよ! 海老蔵さんを観なきゃ!」と発言を止めようとする。が、海老蔵は話を続け「三宅さんを観ながら『歌舞伎ってこういう風にやっているんだ』と興味を持っていただければ」と「三宅健効果」に期待を寄せていた。
取材・文・撮影=こむらさき

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