そらまふうらさかの原点を感じさせた
“年に一度の大切なお祭り” 年越し
ライブをレポート

そらまふうらさかのふゆやすみ!~年越し忘年会~

2018.12.31 TOKYO DOME CITY HALL
終わりよければ全てよし、の言葉がある一方で。幸先の良いスタートを切る、という言葉もあることを思うと、いずれにせよ終わりも始まりも良いに越したことはない、ということなのだろう。
2018年の大晦日から2019年の元旦未明にかけての、1年の終わりと始まりへの橋渡しとなった数時間。TOKYO DOME CITY HALLにてこのたび行われたのは『そらまふうらさかのふゆやすみ!~年越し忘年会~』だ。ここ数年、同会場ではAfter the Rainまふまふそらる)や彼らと交友のある人々によって毎年のように年越しライブが行われ、昨年はAtRのツアーファイナルに浦島坂田船からうらたぬき&あほの坂田が参戦するかたちで『そらまふうらさか年越し会』として実施されたのであるが、今年は初めてまふまふ、そらる、うらたぬき、あほの坂田の4人発信でのイべントとして、その名も『そらまふうらさかのふゆやすみ!~年越し忘年会~』が実現することになった。
ちなみに、まふまふ、そらる、うらたぬき、あほの坂田の4人は音楽活動を通してのからみも多いが、そもそもはゲーム仲間としての親交も深いそうで、プライベートな面での友人関係であることはファンの間でもよく知られているところ。
そらる、まふまふ
実際、今回のライブではその事実が随所から感じられるものとなっており、ステージセットや4人の衣装もゲームをモチーフとしたデザインが施されていたのだった。そんな中、この夜の1曲目として選ばれていたのはまさにゲーム『荒野行動』がモチーフとなっている楽曲「エフピーエス」。それぞれが武器を構えながら歌唱していくさまは、普段のプレイ模様を具現化したようなパフォーマンスで、なんとも微笑ましい。2曲目の「しんでしまうとはなさけない!」も、これまたゲームをモチーフとしたボカロ曲であり、バーチャルな世界での機微と悲哀を4人が歌い上げていくさまは実際にそれを体験している者だからこそ表現しうる、ある種のリアリティに満ちていた。
そらまふうらさかのふゆやすみ!-年越し忘年会-
「さぁ、今年もカウントダウン・ライブがやってきました!まふまふと」(まふまふ)
「そらると」(そらる)
「うらたと」(うらたぬき)
「坂田でーす!」(あほの坂田)
「というわけで、なんとあと1時間ほどで今年が終わろうしておりますが。皆さん、大切な時間を僕らにくれてありがとー!」(まふまふ)
「だって、今日凄いんやろ? 紅白があるやん。ガキ使もあるし。そん中で僕たちを選んでくれたんやもんな。皆さん、ほんと最高です!!」(となりの坂田)
そらる

まふまふ

イベント性の高いライブは数あれど、 “年越し忘年会”はやはり特別感が高いのは事実のはず。限られたプレミアムな時間を心ゆくまで楽しもうとするオーディエンス側にとっても、その思いを精一杯に受け止めながら熱量の高いパフォーマンスで返そうとする“そらまふうらさか”の4人にとっても、やはりこのライブは年に一度の大切なお祭りとなっているようだ。
かくして、前半戦ではいわゆるボカロ曲を中心に4人全員での歌唱をしたり、曲によってはそらる+あほの坂田、あるいはまふまふ+うらたぬきという組み合わせでの歌を聴かせたほか、途中には個々がソロで歌う曲もしっかりと組み込んだセットリストで、彼らはオーディエンスを魅了してみせることに。
そらる、まふまふ

うらたぬき、あほの坂田

そして、そうこうしていると……気付けば時刻はついに年明けまで20分ほど、という頃合いになっており、一斉にステージ上ではスタッフ陣が日本の冬の風物詩である“こたつ・みかん・お茶”という三種の必須アイテムを揃え始めたのであるが、これは昨年の年越しライブでも垣間見られた光景にほかならない。いくら彼らが時代の先端を行くネット発のアーティストであろうとも、日本人として迎えるゆく年くる年には、それのトラディショナルで庶民的な“つきもの”がどうしても必要であるということらしい。また、この場面での4人は先ほどまでのゲームキャラ的な衣装とは一転して、それぞれのイメージカラーを使った袴姿へとお色直し。もはや、信念を迎える準備は万端!
そらまふうらさかのふゆやすみ!-年越し忘年会-
その後、そらまううらさかの4人と場内の全員で威勢よくカウントダウンをして「ハッピーニューイヤー」を迎えたあと、すかさず始められた「脱法ロック」を歌い初めの1曲としてブチあげてみせると、「エイリアンエイリアン」や「彗星ハネムーン」などダンサブルな楽曲たちを中心によりパーティーモードが加速していき、聴衆側のボルテージも増していく一方となったのである。
「このライブはですね、いつもの公演とは違って純粋に皆で楽しくやろうよ!ということで皆でここまで話しあってきました。選曲に関しても、今回はオリジナル曲よりボカロとか“歌ってみた”が多いと思いませんでしたか? 最近はライブでオリジナルをやることも多いですが、僕らはボカロも歌っています!ということをあらためて打ち出すようなライブもやってみたいよね、と今回はなったんですよ」(まふまふ)
「原点に戻ってね!」(うらたぬき)
「だから、今日は最後に僕らにとって思い出の曲を最後に聴いてください」(まふまふ)
ここで歌われたのは、先ほど歌われていた「しんでしまうとはなさけない!」の続編でもある「ぼうけんのしょがきえました!」。それこそ原点に戻ったうえでのゲームが好き、音楽が好き、歌が好き、仲間とつるむのが大好き、という彼らのスタンスがここではわかりやすいかたちで受け手側にも伝わったのではないかと思う。
あほの坂田
うらたぬき
「今日はありがとうございました。今年はさらに楽しいことを、いろいろとやっていきたいと思います」(そらる)
「皆さん楽しかったですか? 仲の良い友だちと一緒に何かをやるって、意外と学校を出ちゃうとあんまりないんですよね。だから、僕たちみたいなこういう4人がこの場に集って、それをこうして観に来てくれる人がいるって本当に凄いことだと思ってます。自分はこんな人生を送れるなんて思っていませんでしたけど、2018年はいろいろと凄い景色も見せていただけました。2019年はもっと凄い景色の場所まで、今度は俺が!連れてってやるぜ!!」(まふまふ)
「2018年はここが人生のピークだったんじゃないか?というくらいとても良い年だったんですが(笑)、ここからは過去にすがらず2019年も絶対に良い年にしていこうと思います!」(あほの坂田)
「みんなの笑顔をみられるのが、僕にとっては最高の幸せです。2019年もまたこうしてみなさんの笑顔をみせてくれると嬉しいです。これからも、僕ら4人をよろしくお願いします!」(うらたぬき)
そらまふうらさかのふゆやすみ!-年越し忘年会-
なお、最後に選曲されていたのは、このライブにこそ相応しいその名も「ロールプレイングゲーム」。そらまふうらさかの原点を感じるのに、これほどうってつけのオリジナル曲はほかにない。
年の終わりも、始まりも、あるいはそれ以外の時でも。「ロールプレイングゲーム」の歌詞のごとく、<一生旅していたいから>と歌う4人の悲喜こもごもな旅は、これからもずっと続いていくことになるに違いない。

文=杉江由紀 撮影=小松陽祐(ODD JOB)、堀卓朗(ELENORE)
未掲載カット含む全ライブ写真は【こちら】
1月20日に横浜アリーナで行なわれた『そらまふうらさかのふゆやすみ!~明けまして新年会~』レポートは、明日・2月7日(木)18:30に公開予定。

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